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第1章 ドラゴンバスター
望むもの
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ウレリアの砦にある大砲は、他国同様、精度が低く、時間がかかる。
ただ、牽制するには、効果的だ。
マッドク王国軍は、躊躇いもなく、突撃してきた。
敵軍は、大隊列を3つに割いている。その真ん中に、敵軍の大将ブドルガ率いる第一軍がいる。
僕らリガード竜騎士団率いる大部隊を第一軍として、短期決戦、そのまま敵軍の第一軍と相対する。
竜騎士団騎士長アーマンが、僕に声を掛けた。
そのあだ名を口にされると、僕は死ねはしない。
心臓を失くしても、戦えというかの様に。
そうだ。
それは、僕の逃れようもない、罪。
そして、重責。
ドラゴンバスター。
___________________
左翼の隊列が大きく崩れた。
僕らの第三軍は、間も無く崩壊する。
そう感じた。
この砦は、険しい岩山に囲まれているため、砦を経由して抜けなければ、ウイプル王国本拠地への侵攻はできない。
すぐに砦を突破される事はない。
ただ、第三軍が崩壊すれば、その相対していた敵軍が、僕ら第一軍の横または背後等の死角から、挟み撃ちで攻撃できる様になる。
竜の国、ウイプルは。
領土を減らされながらも、残された場所で、平和に暮らしていた方が、幸せだったのかも知れない。
お母様の大好きな、ウイプルが。
壊され、ない様に。
___________________
僕は、時間を失くしている。
あの時から、時間は止まったまま。
あんな事は、余計だったんだ。
そうだ。
みんなと同じ様に、生きていくなんて、それは、望んではいない。
それは、お母様の、望みだ。
望みは、ない。
残されたものは、絶望。
戦いの最中、そんな思いが頭を回った。
戦いは、僕の心を慰めてくれるかの様だ。
何故だろう?
僕が抱えた、絶望を、
斬り殺した相手に、なすりつけられるからか?
もう、いいだろう。
周りに合わせながら、戦わなくても、いい。
失うものは、
もう残っていない。
さあ、
僕の奥底に眠る、
この冷酷で、獰猛なもの。
マッドク兵のお前達に、見せてやろう。
そして、
逝け。
___________________
僕が我に返った時には、周りは、敵兵の死体の山が築かれていた。
錆臭いと思ったら、
返り血を多く浴びていた。
鮮血に染まる僕に、恐怖し、隊列を崩す敵兵がいる。
敵将ブドルガは、僕らの騎士長アーマンにより深手を負い、マッドク王国軍は撤退していった。
ウイプル兵も、僕を見て、引き攣る顔を見せる。
誰も、近寄らない。
まるで。
僕が、敵と同じ、
とでも、言うかの様に。
フフフ。
そう、僕は笑っていたんだ。
この時。
僕でも、笑う時が、あったか。
お母様、まだ、ウイプルは、滅びなくて、すみそうだよ。
そう。
よかったでしょう?
そう。
よかった、よね。
サヴィエルの30日
ウレリアの砦にて
___________________
ただ、牽制するには、効果的だ。
マッドク王国軍は、躊躇いもなく、突撃してきた。
敵軍は、大隊列を3つに割いている。その真ん中に、敵軍の大将ブドルガ率いる第一軍がいる。
僕らリガード竜騎士団率いる大部隊を第一軍として、短期決戦、そのまま敵軍の第一軍と相対する。
竜騎士団騎士長アーマンが、僕に声を掛けた。
そのあだ名を口にされると、僕は死ねはしない。
心臓を失くしても、戦えというかの様に。
そうだ。
それは、僕の逃れようもない、罪。
そして、重責。
ドラゴンバスター。
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左翼の隊列が大きく崩れた。
僕らの第三軍は、間も無く崩壊する。
そう感じた。
この砦は、険しい岩山に囲まれているため、砦を経由して抜けなければ、ウイプル王国本拠地への侵攻はできない。
すぐに砦を突破される事はない。
ただ、第三軍が崩壊すれば、その相対していた敵軍が、僕ら第一軍の横または背後等の死角から、挟み撃ちで攻撃できる様になる。
竜の国、ウイプルは。
領土を減らされながらも、残された場所で、平和に暮らしていた方が、幸せだったのかも知れない。
お母様の大好きな、ウイプルが。
壊され、ない様に。
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僕は、時間を失くしている。
あの時から、時間は止まったまま。
あんな事は、余計だったんだ。
そうだ。
みんなと同じ様に、生きていくなんて、それは、望んではいない。
それは、お母様の、望みだ。
望みは、ない。
残されたものは、絶望。
戦いの最中、そんな思いが頭を回った。
戦いは、僕の心を慰めてくれるかの様だ。
何故だろう?
僕が抱えた、絶望を、
斬り殺した相手に、なすりつけられるからか?
もう、いいだろう。
周りに合わせながら、戦わなくても、いい。
失うものは、
もう残っていない。
さあ、
僕の奥底に眠る、
この冷酷で、獰猛なもの。
マッドク兵のお前達に、見せてやろう。
そして、
逝け。
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僕が我に返った時には、周りは、敵兵の死体の山が築かれていた。
錆臭いと思ったら、
返り血を多く浴びていた。
鮮血に染まる僕に、恐怖し、隊列を崩す敵兵がいる。
敵将ブドルガは、僕らの騎士長アーマンにより深手を負い、マッドク王国軍は撤退していった。
ウイプル兵も、僕を見て、引き攣る顔を見せる。
誰も、近寄らない。
まるで。
僕が、敵と同じ、
とでも、言うかの様に。
フフフ。
そう、僕は笑っていたんだ。
この時。
僕でも、笑う時が、あったか。
お母様、まだ、ウイプルは、滅びなくて、すみそうだよ。
そう。
よかったでしょう?
そう。
よかった、よね。
サヴィエルの30日
ウレリアの砦にて
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