剣士アスカ・グリーンディの日記

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第1章 ドラゴンバスター

竜の信仰(for five days)

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ウイプル王国軍の北の遠征。

帰ってきたよ。

僕はこの遠征で、多くの兵を斬り倒し、そして生き残った。

しかし、この国はまだまだ小さい。

もう少し、領土を広げ、国も民も、もっと豊かにする必要がある。

でも。

それは、どうでもいいか。

15歳になって、戦闘に遅れを取る事も少なくなった。

この日記を書く事も下らないけど、まあいい。

お母様のくれた命だ。

望む様に。


サビィエルの3日
                  サンマータ王城見張り台にて

___________________

国王マイクリーハが、王城の後ろにそびえるザンギント山の洞窟にある竜の祭壇にて、祈りを捧げている。

3年ほど前に、翼竜が死んだ場所だ。

その翼竜の魂がその身に宿り、戦で無敵の力を発揮する様にと訪れるという事だ。

都合の良い捉え方をしている。

ここに連れて来られると、耐え難い苛立ちと吐き気に見舞われる。

だけど、護衛の一人の僕が、この場を離れる事を許してはくれないだろうな。

それに、これは僕にとって、
罰なのだから。


サビィエルの4日
                  竜の祭壇近くの岩場にて

___________________

石造りの家々を抜けると、草原が広がる。

幼馴染のミスルタが、薬草を取りに行きたいという事だったから、一緒に来てはみたけど。

暇だ。

僕は、町の番兵ではないのに。

幼馴染とは、便利なものを見つけたな。

でも、安らぐ時もあるから。

悪くはないのか。

そう。

悪くはないのか。

サビィエルの5日
                  フィルン草原にて

___________________

僕の瞳の色は、緑だ。

皆と違う色と訊くと、何故僕が不機嫌になるのと訊かれるけど、不機嫌になるのが分かっているのなら、訊くなという事だ。

お前は、何故茶色の瞳をしているのか。

ウイプル人だから?

では、違う瞳の色をする者は、ウイプル人じゃないと言いたいのか。

だとしたら、何故僕は、ウイプルの騎士団として戦っている?

ウイプル人ではない、そう言いたいのならば。

それでもいい。

ウイプルなど、滅んでしまえばいい。

滅ぼしてしまおうか。


サビィエルの6日
                  バリエル岩場の家にて

___________________

この大陸には、多様な宗教が栄えているが、ドメイル教を崇拝する国々は、聖戦という名を盾に、無益な戦争を繰り返す。

邪教国さ。

火の粉が降り懸からぬ内に、先手を打つべきだと、国王は思っている様だけど。

この様な小国が、今どうこうできる訳がない。

滅ぼされるだけだ。

この国ウイプルが、信仰しているのは、竜神だ。

明確な名前など、知らないだろう。

竜を信じているのさ。

本当は。

信じていないのさ。

サビィエルの7日
                  バリエル岩場の家にて
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