剣士アスカ・グリーンディの日記

sayure

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第4章 貴方へ愛の言葉を

侵入者の正体

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僕を待たず、例の侵入者は再び動き出した。



ミノタウロスを越えて追いかけてくるとは思わなかったか。





侵入者は、移動しながらも、壁や床を突き抜けたりはせず、長い廊下をただ、駆けていく。







壁をすり抜ける必要がないのか。









それとも。









この、迷宮では、それができないのか。










青い炎を体から浮かばせて、駆けるその姿を、その時の僕の目は、捕らえていた。









囚人は、身分が一定以上であれば、武装と見なされない服装であれば、それを許可され、囚人部屋で着たい物を着る事ができる。











看守は、腰から下は鎧で、上は灰色の衣服姿。下に鎖を着ている。








僕は、リガード竜騎士団の着る鎧姿のままだ。








目の前を駆けていた侵入者の服装は、紺色の上下の固い布製の衣服を着ている。










青い炎が僕の視覚を惑わせていないのであれば、それは間違いない。










その服装は、何度か見た事がある。

















何処へ向かっている?










その侵入者は、看守長の元へ向かってもおかしくはないと思っていた。









お前が必死になって目指すものは。










看守長ゲーベルドンの首ではなかったとしたら。











一体、何があるのか、と。










緩やかな長い曲がり道を進む侵入者。本来、そんな道などこのカインハッタ牢獄内にはない。









ミノタウロスがカインハッタ牢獄の構造を変えたせいだ。










でも、その歪めたカインハッタ牢獄も、じきに元の姿を取り戻すだろう。










ミノタウロスが、先ほどの僕の攻撃で、息絶えるのも、時間の問題だった。










僕は、目の前の侵入者の正体を確かめる様に、名前を大きな声で呼んでみたんだ。









すると、目の前を駆ける侵入者は、その僕の声に反応し、後ろに顔を向けた。









侵入者のその目は、僕の言葉に対し、いぶかったわけでもなく、








驚き、目を見張った。











そうか、と。









この侵入者の正体が、その時にわかったんだ。









その服装、その体から感じる威厳の質。











牢獄の長。











看守長ゲーベルドン、当本人。










今までに会っていた、偽者のゲーベルドンじゃない。












ゲーベルドンは、たくさんの大きな釘を打ちつけてある行き止まりの壁まで行くと、僕の方へ振り返った。











そして、僕を真っ直ぐに見つめてきた。その表情からは、感情が読み取りづらかった。









ただ、何か、覚悟を決めた様な目をしている、










そんな気がしたんだ。
























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