剣士アスカ・グリーンディの日記

sayure

文字の大きさ
上 下
92 / 113
第4章 貴方へ愛の言葉を

綺麗な月に見る儚い夢

しおりを挟む
今日は、月が綺麗だ。






幼い頃、お母様は僕が寝る前に本を読んでくれた。







夜空の月が部屋を明るく照らす日は、燭台のロウソクは、消された。







月明かりが、部屋に夜空を投影する様で、僕は心が踊った。









広い夜空の中、僕はお母様の話の世界に深く入り込めるからだ。








たくさんの話を訊かせてくれた。








そのほとんどが、僕の興味を引いたんだ。








だから、月が綺麗な時は、僕はまるで誕生日でも迎えるかの様に、嬉しい。








この月は、貴方の部屋の天井から、見えているか。








ベリオストロフ・グリーンディ。








不思議だよ。










お母様と。










僕と。











貴方が。










初めて、一緒にいる気がするんだ。









貴方は、僕が実の息子のアスカ・グリーンディだと知ったら、









今も僕を、殺そうと思うのだろうか。









僕はこの体内を流れる人間と竜の血を、誇らしく思うよ。








人間と竜の絆を作る架け橋に。









なる様に。









竜は、そんなに化け物扱いしなくても、いいんだよ。










ブルーシーズは、自分の同族の仲間を殺された。そして、その殺した相手は人間だったんだ。






その人間とブルーシーズは、幼い頃から絆が深かった。






その人間は、ドメイル教団からの圧力に屈して、ブルーシーズの仲間を殺した。






もしかしたら、ブルーシーズの家族も一緒にいたのかも知れない。







ブルーシーズは、もちろん敵討ちをしようとしたんだ。











でも、その人間も、ブルーシーズにとって、大切な仲間だったんだよ。







最後の最後で、その人間を守って、命を落とした。







竜も人間と同じ様に、想う心を持っているんだよ。











僕は、竜を贔屓目ひいきめで見過ぎているのかな。











僕はこの竜の血がね、好きではなかったんだよ。










お母様、







ブルーシーズ、







ベルベッタ、








シルファリアス。










僕は、みんなのおかげで、段々と、この竜の血を誇りに思える様になっていったんだ。









ベリオストロフ・グリーンディ、僕は貴方に真実を伝える気はない。








安心して。











安心して、今日は綺麗な月を見ていよう。









ジスマリアの17日
     カインハッタ牢獄内にて
______________
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

望んでいないのに転生してしまいました。

ナギサ コウガ
ファンタジー
長年病院に入院していた僕が気づいたら転生していました。 折角寝たきりから健康な体を貰ったんだから新しい人生を楽しみたい。 ・・と、思っていたんだけど。 そう上手くはいかないもんだね。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました

toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。 残酷シーンが多く含まれます。 誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。 両親に 「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」 と宣言した彼女は有言実行をするのだった。 一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。 4/5 21時完結予定。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

処理中です...