剣士アスカ・グリーンディの日記

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第4章 貴方へ愛の言葉を

あと少し(for three days)

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港町テディーザから檻車かんしゃを乗せた船を出し、川を西へ下る。

中立国パークドイルの港町ゲヤローフに入るまでの間、囚人のバルケーは歌を歌っていた。

護衛兵の注意も訊かず、歌い続けた。

聞き慣れない歌だ。



ウイプルのものではないだろう。



アルタイ岩頭院かセケメント地域のものだろうか。



その歌は、バルケー自身を、慰めようとも、勇気づけようとも、している気がした。



カインハッタ監獄の中では、その様な勝手は許されないはずだ。



その歌にどんな思いがあるのかは、興味がないけど。



いいさ。





船の中、大した人数も乗せてはいない。





今のうちなら。





思いを乗せたその歌を。





気が済むまで、歌えばいいさ。



ジスマリアの1日
                     船の一室にて

________

ゲヤローフの船着き場で僕らを見るパークドイルの民の目つきが印象的だった。

檻車かんしゃの中にいるバルケーよりも、僕らに対して批判的な目を向けていたな。

僕らが向かう先も、わかっているのだろう。



これから向かうカインハッタ監獄は、そういう者達もいるという事だろうか。





無実の囚人。







このバルケーは、国王の暗殺を企てたのだから、無実で済ますという事にはならない。



この理由を、他国の民に報告する必要もない。



バルケーも、すでに覚悟を決めているだろう。



ジスマリアの2日
                     舟の一室にて

________

西へ川を下っていた僕らの船は、広大な海に抜けた。

目についた遠くの孤島、高い崖の上にそびえる建物をしばらく見つめていた。



巨大な黒い要塞の様な建物がただ一つ。




カインハッタ監獄。




思った以上に、とてつもなく大きい。



一体何人の囚人が収容されているのか。



暴動など、起きてはいないだろうか。



あんな所に行くなんて、初めてだ。



しばらくあそこの牢獄に身を置く事になるけど。



与えられた監獄での役割をこなしながら、囚人と話でもしてみるか。



普段耳にしない事を、訊かせてくれるかも知れない。




ジスマリア3日

                 船の一室にて

________
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