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第3章 竜の涙
それが君の運命(for two days)
しおりを挟む 「そんな、ルイン!!」
奴は急いで倒れた黒豹の元へと走る。
「冒険者よ、お前の相手はこの私だ!」
リノが奴に切りかかるが、奴は凄まじい反応速度で攻撃を受け止めると、獄炎よりも煮えたぎった怒りを露わにする。
「邪魔をするなぁ!!」
化け物みたいな怪力でリノを振り払う。吹っ飛ばされたリノは岩に強く体を打ってしまう。奴はそのまま黒豹の元へと歩いていく。
「そんな…ルイン…!」
奴は黒豹を抱きかかえてその場で泣いた。
「お前達は生きて返さんぞ…」
ーーーアサイラム領 ダビネスーーー
「失礼します。魔王様、リノさんから通信が来ました。」
エレーナが自室にいたレオに話す。
「リノから?」
通信魔道具を付けると、弱ったリノが一生懸命に説明した。
「魔王様、私とジョーカーは武闘派クランネメシスの副団長、ルーシアと戦闘しています!ですが、ジョーカーが倒れて、奴は彼を狙っています。私も負傷したので、増援をお願いしたいです!」
「なんだと?いいだろう。今すぐケーレスを送る。」
通信が終了すると、急いでエレーナに言う。
「エレーナ、至急アルファを呼んできてくれ。」
ーーー戦闘場所ーーー
「そいつに指1本触れるんじゃない!」
リノが滑らかな動きで刀を振る。しかしどれも奴に避けられてしまう。
「邪魔するな!獄炎!」
あと少しで届きそうだったが、惜しくも奴の獄炎によって距離を取られてしまう。
「パレント・タケミカヅチ、グラディウス!」
次の瞬間、リノが風のように奴の獄炎を避けて懐に入り、奴に切りかかる。
そして1本の腕が血と共に宙を舞った。それは奴のものではなかった。ボトッと落ちたその腕は、リノのものだった…
次の瞬間、彼女は歯を食いしばって残った左腕で奴に殴りかかるが、奴はその腕を力いっぱいに握った。
メキメキと音を立ててリノの左腕は使い物にならなくなった。彼女はその場で膝をついた。
「死ね、東洋人。」
奴はそう言うと、リノの腹部に剣を一刺しした。
彼女は吐血して、その場で仰向けに倒れた。
「まお…さま。すみ、ません…。」
そう言うと彼女はそっと目を閉じて息を引き取った。
「ルーシアさん、こっちに桁違いの魔力を持った奴が接近してます。撤退しましょう!」
「仇は取ってやる。ルイン…魔王をこの手で倒してみせるからな。」
奴はそう言うと冒険者と共にその場から去っていった。
奴らが去ってからすぐにガルムが到着した。
だが、既にそこに立っているものは誰一人いなかった。
ガルムはジョーカーの元へと駆け寄る。
「おい、無事か?」
ジョーカーはなんとか息をしていた。掠れた声で彼が喋る。
「お、おい…リノは…?」
それを聞いたガルムは急いでリノの元へと向かう。
だがそこには片腕は切られ、もう1つの腕は粉々に変形した無惨なリノの姿が。
「リノ…」
ーーーアサイラム領 ダビネスーーー
ガルムが帰ってきたのは夕方の頃だった。1人の負傷者とひとつの死体を抱えて。
「私がついた頃には既に…」
嘘だ。リノが負けるはずがない…死ぬはずがないだろう!ふざけるな。
その時、レオの血反吐を吐くような叫びが響く。
「クソがあああ!!!」
その叫びは近くの森をビビらせた。木々は揺れ、動物は巣に籠り、川は水しぶきを立てた。
「ケーレス。」
そう言うとレオの目の前に瞬時にケーレスが集合する。
「はっ。」
「ネメシスの外道共を一匹残らず殺してこい。」
「御意!」
「ルーシアは残せ。奴はこの俺が父の元へと案内してやる…」
そう言うレオの目からは膨大な闇が溢れそうになっていた…
奴は急いで倒れた黒豹の元へと走る。
「冒険者よ、お前の相手はこの私だ!」
リノが奴に切りかかるが、奴は凄まじい反応速度で攻撃を受け止めると、獄炎よりも煮えたぎった怒りを露わにする。
「邪魔をするなぁ!!」
化け物みたいな怪力でリノを振り払う。吹っ飛ばされたリノは岩に強く体を打ってしまう。奴はそのまま黒豹の元へと歩いていく。
「そんな…ルイン…!」
奴は黒豹を抱きかかえてその場で泣いた。
「お前達は生きて返さんぞ…」
ーーーアサイラム領 ダビネスーーー
「失礼します。魔王様、リノさんから通信が来ました。」
エレーナが自室にいたレオに話す。
「リノから?」
通信魔道具を付けると、弱ったリノが一生懸命に説明した。
「魔王様、私とジョーカーは武闘派クランネメシスの副団長、ルーシアと戦闘しています!ですが、ジョーカーが倒れて、奴は彼を狙っています。私も負傷したので、増援をお願いしたいです!」
「なんだと?いいだろう。今すぐケーレスを送る。」
通信が終了すると、急いでエレーナに言う。
「エレーナ、至急アルファを呼んできてくれ。」
ーーー戦闘場所ーーー
「そいつに指1本触れるんじゃない!」
リノが滑らかな動きで刀を振る。しかしどれも奴に避けられてしまう。
「邪魔するな!獄炎!」
あと少しで届きそうだったが、惜しくも奴の獄炎によって距離を取られてしまう。
「パレント・タケミカヅチ、グラディウス!」
次の瞬間、リノが風のように奴の獄炎を避けて懐に入り、奴に切りかかる。
そして1本の腕が血と共に宙を舞った。それは奴のものではなかった。ボトッと落ちたその腕は、リノのものだった…
次の瞬間、彼女は歯を食いしばって残った左腕で奴に殴りかかるが、奴はその腕を力いっぱいに握った。
メキメキと音を立ててリノの左腕は使い物にならなくなった。彼女はその場で膝をついた。
「死ね、東洋人。」
奴はそう言うと、リノの腹部に剣を一刺しした。
彼女は吐血して、その場で仰向けに倒れた。
「まお…さま。すみ、ません…。」
そう言うと彼女はそっと目を閉じて息を引き取った。
「ルーシアさん、こっちに桁違いの魔力を持った奴が接近してます。撤退しましょう!」
「仇は取ってやる。ルイン…魔王をこの手で倒してみせるからな。」
奴はそう言うと冒険者と共にその場から去っていった。
奴らが去ってからすぐにガルムが到着した。
だが、既にそこに立っているものは誰一人いなかった。
ガルムはジョーカーの元へと駆け寄る。
「おい、無事か?」
ジョーカーはなんとか息をしていた。掠れた声で彼が喋る。
「お、おい…リノは…?」
それを聞いたガルムは急いでリノの元へと向かう。
だがそこには片腕は切られ、もう1つの腕は粉々に変形した無惨なリノの姿が。
「リノ…」
ーーーアサイラム領 ダビネスーーー
ガルムが帰ってきたのは夕方の頃だった。1人の負傷者とひとつの死体を抱えて。
「私がついた頃には既に…」
嘘だ。リノが負けるはずがない…死ぬはずがないだろう!ふざけるな。
その時、レオの血反吐を吐くような叫びが響く。
「クソがあああ!!!」
その叫びは近くの森をビビらせた。木々は揺れ、動物は巣に籠り、川は水しぶきを立てた。
「ケーレス。」
そう言うとレオの目の前に瞬時にケーレスが集合する。
「はっ。」
「ネメシスの外道共を一匹残らず殺してこい。」
「御意!」
「ルーシアは残せ。奴はこの俺が父の元へと案内してやる…」
そう言うレオの目からは膨大な闇が溢れそうになっていた…
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