剣士アスカ・グリーンディの日記

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第3章 竜の涙

竜族(for two days)

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珍しいものが空から降った。

雨だ。

この地帯は、雨季を過ぎると、あまり雨が降る事はない。



僕は、雨が苦手なんだ。




何だか、悲しくなる。





そして今は、憎しみさえも。








ジーダペンス王国軍、進軍の数は不明。

ただ、ジーダペンス王国のオーバーシルゾ3匹は移動し続けていて、付き添う形のジーダペンスの兵は100、今もまだ、進行方向は、ウイプルではない。

そのうち、軌道修正して、ウイプルへ向かってくるのだろうか。



ディオガルーダの話だと、そう訊こえた。




ウイプル最大の砦、ウレリアに設置された大砲が3門ある。精度は高くはないけど、オーバーシルゾが射程内に入った場合、威嚇には使えるはず。



毎日の様に、リガード竜騎士団の騎士長アーマンが、僕の所へやって来て、励ましてくれるんだ。





ベルベッタは、死んでしまった。






でも、気遣いはいらない。





僕は、ウイプルの兵だから。




お母様の望む、このウイプルを。





守るつもり。






シュリエルの16日
                     自分の家にて
________

ダルレアス自治領のザシンに呼ばれ、クフト城へ向かった。

今さら、何を言うつもりだと思った。



貴方の役立たずのツォルバ竜騎士団は、ベルベッタを警護していたんじゃなかったのか?



守れなかったのに。



僕を呼びに、こいつらを寄越したな。




僕がクフト城、謁見の間に入ると、ザシンは奥の玉座から、待ち切れない様に、かけ寄ってきた。



彼の顔に疲労がはっきりと見て取れた。



ベルベッタの事、どうなったかを知っているからだ。



僕に会わせたい者がいると言い出した。



ザシンの眼光が鋭い。



何かを決意した様な目をしていた。



僕には、わかったんだ。



何者に会わせたいかを。





そして、クフト城から威厳山いげんざんへ繋がる壁画のある洞窟、この間、ザシン本人が案内してくれた場所まで、来た。



ここから先は、1人で向かって欲しいと言われて。



松明を片手に、進んでいった。





初めて、会う事になる。





松明の灯りで先を照らしても、奥に見えるのは、暗闇ばかり。





でも、この先にいるのは、気配でわかっていた。






しばらく歩くと、大きな扉があり、




その扉に何かの光が走ったかと思ったら、その扉は鈍い音を立てて開いた。






初めまして。







紫雷刀身竜ゲボルトベルザスドラゴン


_______

黒色に近い紫色の肌色、鱗が周囲に剣でも向けている様に、鋭く逆立っている。

何て攻撃的な体をしているんだ。

この大きな竜が、紫雷刀身竜ゲボルトベルザスドラゴン

瞳の色は黄金色。その瞳は、僕を威圧している様にも感じた。僕の背中に冷や汗を感じる。



でも、息をするのも、辛そうだ。



老いを感じる。



相当な年月を生きたのだろう。



もう、戦う事もできない。



そして、ここから出る事も。





僕に、心で語りかけてきた。



金呼鈴福竜コードペイリンカドラゴンは役割を終え、それをお前が継ぐ事でお前の心に生き続ける、と。



このウイプルで私は、竜と人間との可能性を見出した。我ら多くの竜がウイプルの民と共に戦い、守ってきた事を決して忘れず、語り継いでほしい、と。





覇王竜ダイダロス直系竜族の思い通りにはさせたくはない、とも言った。




ダイダロス直系の竜族。





何を、企んでいるんだろうか。





紫雷刀身竜ゲボルトベルザスドラゴンは、


ウイプルの民との絆を断てば、やがてお前もダイダロス直系の竜族と同じ様に世を破壊してまでも覇権を手に入れようと思うかも知れない、と言った。








そして、お前はウイプルと共に生きろ、と。






最後に告げた言葉が、僕の正体を知る事になったんだ。












偉大なる破壊巨神魚竜バハムートの子、アスカよ、

と言ったんだ。








シュリエルの17日
                      自分の家にて

_______
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