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第3章 竜の涙
書室の疑問(for two days)
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ディオガルーダは、ゴブリン大部隊の侵攻を受けた時、
ダルレアス自治領を守っていた訳じゃなかった。
紫雷刀身竜を守ろうとしていただけ。
だから、ダルレアス自治領やウイプル自体は、どうなろうと、大して気にしてはいなかっただろう。
ただ、ディオガルーダがゴブリン大部隊を寄越した敵国のジーダペンス王国の兵だったとは、思わなかった。
欺かれた、そう思った。
でも、このディオガルーダは、ジーダペンス王国の正式な兵ではないという事も、明かしたんだ。
ジーダペンス王国からディオガルーダの国へ依頼がきて、それを受けた。傭兵の様な立場。
ディオガルーダはゴブリン大部隊のダルレアス自治領襲撃の計画は訊いていなかったため、予想外だったと言った。
でも、ジーダペンス王国側に立つつもりなら、このウイプルに住む者達を相手にディオガルーダは、剣を抜くつもりなのか?
見極めが難しかった。
このウイプルに、ジーダペンスから放たれたオーバーシルゾが3匹向かっている。
ウイプルは試される。
このオーバーシルゾを倒せなければ、ウイプルの民の大半が死ぬ事になるのだと、ディオガルーダは言った。
我が王は、人の弱さに気づこうとしている。
そして砂一粒の思いやる心を完全に消し去ろうとしている今、
あらゆる手段を用いても必ず、この大陸、そして世界への支配を進めるだろう、と。
人間の弱さ?
思いやる心を消し去る?
君の国の事は、まだわからないけど。
ディオガルーダ。
僕が、オーバーシルゾにやられると思っているのか。
ベルベッタとラリュナピュートのいたこのウイプルを、
やらせはしない。
守ったとしても、金呼鈴福竜のベルベッタはもう戻っては来ないけど。
オーバーシルゾは、僕が命に換えても殺すから。
その後は、ウイプルを。
ウイプルの民みんなで、この国を救うんだ。
できるだろう?
勇敢な、ウイプルの民なんだから。
シュリエルの14日
竜の祭壇にて
________
ディオガルーダは、ジーダペンスを利用しようとしている。
そして、この僕までもか。
オーバーシルゾの情報は、ウイプルでも掴んでいる。
まるで、オーバーシルゾを倒して欲しい様だ。
オーバーシルゾを倒せば、どう都合がいい?
僕に、ジーダペンスの兵だと明かして、そして僕をどう利用するつもりだ。
正直、誰も信用できないな。
僕は、お母様の託したこのウイプルを、リガード竜騎士団の一員として、守る事が、今、そしてこれからも、やるべき事だと。
わかっているよ。
そんな事、わかっているんだよ。
でも、僕は僕自身を説得しきれないでいる。
僕は、駄目な男だ。
どうして。
僕を救ってくれたベルベッタを、僕は救えなかった。
どうして、ベルベッタが姿を変えて僕の側にいた時に、気づかなかった?
もっと側にいてやれば、良かった。
ブルーシーズも、
ベルベッタも、
僕を救ってくれた竜達は、死んでしまった。
そして、僕はまた竜を?
真意のわからないディオガルーダとの戦いも、避けられない様な、気がした。
ディオガルーダの、ダルレアス自治領での戦いで、雷刀身竜を通じて流れてきた僕への感情が、わからないままだ。
何故、僕に悲しみの感情を持った?
ディオガルーダの目は、竜の目を感じさせる。伝わる感覚も、同じ竜だと感させる。
彼の口からは、まだその事を訊いてはいないけど。
僕も、奴に伝えてはいないから、それは同じか。
ディオガルーダか彼の竜族に関する事、お母様の書室の書物の中に、何か手がかりはないのか。
しかし、書物は、意図的に破られてなくなっていたものもある。
まさか。
お前か。
ディオガルーダ、
お前の仕業なのか?
シュリエルの15日
竜の祭壇にて
________
ダルレアス自治領を守っていた訳じゃなかった。
紫雷刀身竜を守ろうとしていただけ。
だから、ダルレアス自治領やウイプル自体は、どうなろうと、大して気にしてはいなかっただろう。
ただ、ディオガルーダがゴブリン大部隊を寄越した敵国のジーダペンス王国の兵だったとは、思わなかった。
欺かれた、そう思った。
でも、このディオガルーダは、ジーダペンス王国の正式な兵ではないという事も、明かしたんだ。
ジーダペンス王国からディオガルーダの国へ依頼がきて、それを受けた。傭兵の様な立場。
ディオガルーダはゴブリン大部隊のダルレアス自治領襲撃の計画は訊いていなかったため、予想外だったと言った。
でも、ジーダペンス王国側に立つつもりなら、このウイプルに住む者達を相手にディオガルーダは、剣を抜くつもりなのか?
見極めが難しかった。
このウイプルに、ジーダペンスから放たれたオーバーシルゾが3匹向かっている。
ウイプルは試される。
このオーバーシルゾを倒せなければ、ウイプルの民の大半が死ぬ事になるのだと、ディオガルーダは言った。
我が王は、人の弱さに気づこうとしている。
そして砂一粒の思いやる心を完全に消し去ろうとしている今、
あらゆる手段を用いても必ず、この大陸、そして世界への支配を進めるだろう、と。
人間の弱さ?
思いやる心を消し去る?
君の国の事は、まだわからないけど。
ディオガルーダ。
僕が、オーバーシルゾにやられると思っているのか。
ベルベッタとラリュナピュートのいたこのウイプルを、
やらせはしない。
守ったとしても、金呼鈴福竜のベルベッタはもう戻っては来ないけど。
オーバーシルゾは、僕が命に換えても殺すから。
その後は、ウイプルを。
ウイプルの民みんなで、この国を救うんだ。
できるだろう?
勇敢な、ウイプルの民なんだから。
シュリエルの14日
竜の祭壇にて
________
ディオガルーダは、ジーダペンスを利用しようとしている。
そして、この僕までもか。
オーバーシルゾの情報は、ウイプルでも掴んでいる。
まるで、オーバーシルゾを倒して欲しい様だ。
オーバーシルゾを倒せば、どう都合がいい?
僕に、ジーダペンスの兵だと明かして、そして僕をどう利用するつもりだ。
正直、誰も信用できないな。
僕は、お母様の託したこのウイプルを、リガード竜騎士団の一員として、守る事が、今、そしてこれからも、やるべき事だと。
わかっているよ。
そんな事、わかっているんだよ。
でも、僕は僕自身を説得しきれないでいる。
僕は、駄目な男だ。
どうして。
僕を救ってくれたベルベッタを、僕は救えなかった。
どうして、ベルベッタが姿を変えて僕の側にいた時に、気づかなかった?
もっと側にいてやれば、良かった。
ブルーシーズも、
ベルベッタも、
僕を救ってくれた竜達は、死んでしまった。
そして、僕はまた竜を?
真意のわからないディオガルーダとの戦いも、避けられない様な、気がした。
ディオガルーダの、ダルレアス自治領での戦いで、雷刀身竜を通じて流れてきた僕への感情が、わからないままだ。
何故、僕に悲しみの感情を持った?
ディオガルーダの目は、竜の目を感じさせる。伝わる感覚も、同じ竜だと感させる。
彼の口からは、まだその事を訊いてはいないけど。
僕も、奴に伝えてはいないから、それは同じか。
ディオガルーダか彼の竜族に関する事、お母様の書室の書物の中に、何か手がかりはないのか。
しかし、書物は、意図的に破られてなくなっていたものもある。
まさか。
お前か。
ディオガルーダ、
お前の仕業なのか?
シュリエルの15日
竜の祭壇にて
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