剣士アスカ・グリーンディの日記

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第3章 竜の涙

ディオガルーダ(for three days)

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幼い頃、お母様に内緒で、ベルベッタの背に乗り、湖の向こう側にある山に行って、冒険をした。

果樹になっていた黄色の果実を取って、食べてみたら、おいしかったから、最後の1個も食べたら、ベルベッタは声を上げて怒り、飛び立って僕を置いていこうとした。

でも、すぐに仲直りして、お前の果実を探しに冒険を続けたね。

夜になり、月が浮かんでいた。

綺麗な満月が空に見えて、僕とベルベッタは、見つからなかった黄色の果実を思い浮かべて、眺めていたんだ。

あの果実は、とてもおいしかった。

あれを、食べたかったよね。



僕は、気が利かない男だ。



アスデンの上級兵ダラメイズは、お前の女姿に好意を寄せ、声をかけたけど、うまくいかず、腹を立てて剣を抜いたという話なんだろう?

目撃した市場の者達が言っていた。

ダラメイズは酒に酔っていた様だけど、それは何の言い訳にもならない。



でも、国王マイクリーハは、僕の家族が殺されたという話を訊いても、堪えろ、と。

勝手な行動は厳罰を受ける事になる、と。

騎士長アーマンは、ウイプルがこの同盟を崩せば、これを好機と見て、ドメイル教信仰国が襲いかかるだろうと言った。

そして、

許してくれ、と続けた。



ベルベッタ。



お前は、ウイプルが好きか?



ねぇ。



お前、ウイプルのために許してくれるか。



ウイプルのために。



シュリエルの12日
                      自分の家にて
_________

あの時、ツォルバ竜騎士団の騎士達は、死んだベルベッタの体を僕から引き離して、ダルレアス自治領の方へ運んでいった。

手厚く埋葬する、と約束していった。

あのままだと、姿が戻り、大騒ぎになるから、と。

竜の姿に、か。



そして、今日。



ダルレアス自治領のザシンが僕の所までやって来た。

もう、あの子の正体は、知っているんだろう、と。

もちろんだ、と答えたら。

彼女を殺したアスデンの兵に復讐をするなら、手を貸すと言ってきた。

リガード竜騎士団は動かないだろう。

それなら、

ツォルバ竜騎士団を動かす、と。



やめてくれと言った。



ウイプルとダルレアス自治領にまで亀裂を走らせてしまえば、それこそ、邪教国にとって都合がいい。



僕と、



ベルベッタが、



我慢すればいい。



それでいいだろう。



可哀想なベルベッタ。



でも、



我慢しなければいけないんだ。



ウイプルの、



ウイプルのためなんだ。



ベルベッタ。




シュリエルの13日
                     竜の祭壇にて
 _________

僕は竜の祭壇に寄りかかって、座っていた。

何も考えずに。


遠くから近づいてくる男。



僕が、会いたくなかった男。



黒い鎧の男、ディオガルーダ。



もう、ここに用もなくなったから、行く、と。



勝手に行けばいい。



何故、僕にいちいち伝えに来たんだ、と思った。



ウイプルも、ダルレアス自治領も、もう滅びて構わないと、言ってきたんだ。



ダルレアス自治領も?



紫雷刀身竜ゲボルトベルザスドラゴンもいるのにと思ったけど、

奴の続けた言葉でわかったんだ。

助け出す予定だった者が、この国を出ていく事を拒んだからだ、と。



じきに大きな脅威に晒されるのに、と。



そこまで僕に明かしたか?



お前は、一体何者だと、奴に言った。 



ディオガルーダが予想外の事を言ったので、僕は言葉を失ってしまった。





俺は、ジーダペンスの兵だ、と言ったんだ。


…………
         ……………………
_________
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