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第3章 竜の涙
竜の涙(for three days)
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ウイプルで、たまに見かけるツォルバ竜騎士団の騎士達。相変わらず厳しい目をして、エスタイラス市場で、何を見ている?
他国の兵が交流会で訪れているんだ。警備の意味でも、助かるか。
国王マイクリーハが、ザシンに依頼でもしたのか。
まぁ、どうでもいいか。
その後、市場を回っていった。
赤茶色の髪の女シュペリは僕を見つけて、元気良く声を上げて、手を振っていた。
君は、一体。
昔、僕と会っている?
やっぱり何か、懐かしい。
最近、幼い頃の記憶が浮かぶんだ。
よく思い浮かべるあの人は。
僕に、何て言っていたかな。
確か、
それが、君の運命。
それが、口癖だった様な気がする。
ませた子供だよ。
何年も時が過ぎ、今、君は何処で何をしている?
その君は、もしかしてシュペリなのか?
いや、違う気がするな。
いや、でもどうだろうか。
シュリエルの9日
ヘールベータ地区の家にて
________
空に残した竜の面影。
僕が幼い頃、空を見上げれば、翼竜が空を旋回している、そんな印象がある。
今は、誰もいない。
威厳山の中には、昔から紫雷刀身竜がいるのかも知れないけど。
僕には、その存在に関わりがない。
何か外に出ていけない理由があるのか、わからないけど。
他のみんなは、遠い竜の国へ旅立った。
ここにいたウイプルの竜達は、お母様を中心にまとまっていたのだろう。
お母様がいなくなったら、みんな旅立った。
何故、お母様は自制が効かなくなったのだろう。
一体、僕達はどんな竜族だったの。
もしかして、凶悪な竜族?
それとも、竜自体が、やはり獣だから、凶暴な一面があって、当たり前なのかな。
それとも、人間が竜族の王、覇王竜ダイダロスを謀略によって殺した時から、竜族の人間に対する恨みが竜の血の中で、受け継がれているのか。
そんな事はないよね。
ねぇ、ベルベッタ。
お前の、竜から見たウイプルは、どうなんだろう。
ベルベッタは、ウイプルのみんなが好きだろうか。
僕は、ウイプルの竜達も、もちろんウイプルみんなも、好きだよ。
僕の故郷、ウイプル。
シュリエルの10日
王城の見張り台にて
________
邪教国がいつ、襲ってくるかもわからない。
アスデン、コーリオ、そしてウイプル。
同盟国で、対抗しよう、って。
そのための、交流会。
どうして。
どうして、こんな事を。
ごめんよ。
もっと早く、僕が気づいてあげるべきだったのに。
アスデンの上級兵は、やはりマージラスの砦を任されている、名はダラメイズという男。
酒癖が悪く、女を口説き、腹を立てれば、怒り狂う。
事が起こってから、情報を伝えられても仕方がないだろう。
もう、戻ってこない。
僕は、君に救われた。
今、生きているのは、君のおかげだ。
どうして。
ツォルバ竜騎士団の奴らがウイプルで見ていたのは、君だったんだ。
役立たずの、屑どもだ。
そして、この僕も。
このウイプルの市場の者達は、問題が起こっていた時に、君を助けてくれなかったんだね。
ねぇ、君はウイプルのみんなが、好きだった?
僕は、嫌いだよ。
大嫌いだ。
君がその姿になれたなんて。
その姿になる方法を教えた奴を、許さない。
市場の方で悲鳴が聞こえて、僕は駆けつけた。
逃げていった男は、見覚えがあったんだ。
例のアスデン上級兵。
君は、背中から剣で深く斬られた。
シュペリ。
君は、泣いていた。
痛くて、苦しくて。
悲しくて。
君がシュペリと名乗った時に、気づけば良かった。
シュペリは食用の花。
君はそれを食べるのが、大好きだったのに。
涙を流しながら、力を失いながら。
僕に。
一緒に、竜の国に帰ろうって。
ベルベッタ。
君が人間になれた事を、何で教えてくれなかった?
どうして。
同盟国の交流会は、終わった。
わかっているよ。
僕が、何をするかわからなかったからだろう。
僕が怒り乱れていたから、駆けつけた僕の知るウイプル兵達が僕を必死に抑えていた。
アスデンの上級兵、ダラメイズは逃げていった。
騎士長アーマンは僕の所に駆けつけて、堪えてくれ、と鬼気迫る表情で、何度も叫んでいた。
殺されたのは、僕の家族だ。
そう伝えた。
ウイプルのため。
ウイプルのために、僕は堪えろ、と?
ベルベッタは、泣いていた。
ここの国は、竜を信仰していただろう?
金呼鈴福竜が泣いていたのに。
竜が泣いていたのに。
お前達は、助けなかった。
何で、
僕がお前達を助けなければいけない?
僕の大切なものを、守ってくれなかったのに。
シュリエルの11日
竜の祭壇にて
________
他国の兵が交流会で訪れているんだ。警備の意味でも、助かるか。
国王マイクリーハが、ザシンに依頼でもしたのか。
まぁ、どうでもいいか。
その後、市場を回っていった。
赤茶色の髪の女シュペリは僕を見つけて、元気良く声を上げて、手を振っていた。
君は、一体。
昔、僕と会っている?
やっぱり何か、懐かしい。
最近、幼い頃の記憶が浮かぶんだ。
よく思い浮かべるあの人は。
僕に、何て言っていたかな。
確か、
それが、君の運命。
それが、口癖だった様な気がする。
ませた子供だよ。
何年も時が過ぎ、今、君は何処で何をしている?
その君は、もしかしてシュペリなのか?
いや、違う気がするな。
いや、でもどうだろうか。
シュリエルの9日
ヘールベータ地区の家にて
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空に残した竜の面影。
僕が幼い頃、空を見上げれば、翼竜が空を旋回している、そんな印象がある。
今は、誰もいない。
威厳山の中には、昔から紫雷刀身竜がいるのかも知れないけど。
僕には、その存在に関わりがない。
何か外に出ていけない理由があるのか、わからないけど。
他のみんなは、遠い竜の国へ旅立った。
ここにいたウイプルの竜達は、お母様を中心にまとまっていたのだろう。
お母様がいなくなったら、みんな旅立った。
何故、お母様は自制が効かなくなったのだろう。
一体、僕達はどんな竜族だったの。
もしかして、凶悪な竜族?
それとも、竜自体が、やはり獣だから、凶暴な一面があって、当たり前なのかな。
それとも、人間が竜族の王、覇王竜ダイダロスを謀略によって殺した時から、竜族の人間に対する恨みが竜の血の中で、受け継がれているのか。
そんな事はないよね。
ねぇ、ベルベッタ。
お前の、竜から見たウイプルは、どうなんだろう。
ベルベッタは、ウイプルのみんなが好きだろうか。
僕は、ウイプルの竜達も、もちろんウイプルみんなも、好きだよ。
僕の故郷、ウイプル。
シュリエルの10日
王城の見張り台にて
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邪教国がいつ、襲ってくるかもわからない。
アスデン、コーリオ、そしてウイプル。
同盟国で、対抗しよう、って。
そのための、交流会。
どうして。
どうして、こんな事を。
ごめんよ。
もっと早く、僕が気づいてあげるべきだったのに。
アスデンの上級兵は、やはりマージラスの砦を任されている、名はダラメイズという男。
酒癖が悪く、女を口説き、腹を立てれば、怒り狂う。
事が起こってから、情報を伝えられても仕方がないだろう。
もう、戻ってこない。
僕は、君に救われた。
今、生きているのは、君のおかげだ。
どうして。
ツォルバ竜騎士団の奴らがウイプルで見ていたのは、君だったんだ。
役立たずの、屑どもだ。
そして、この僕も。
このウイプルの市場の者達は、問題が起こっていた時に、君を助けてくれなかったんだね。
ねぇ、君はウイプルのみんなが、好きだった?
僕は、嫌いだよ。
大嫌いだ。
君がその姿になれたなんて。
その姿になる方法を教えた奴を、許さない。
市場の方で悲鳴が聞こえて、僕は駆けつけた。
逃げていった男は、見覚えがあったんだ。
例のアスデン上級兵。
君は、背中から剣で深く斬られた。
シュペリ。
君は、泣いていた。
痛くて、苦しくて。
悲しくて。
君がシュペリと名乗った時に、気づけば良かった。
シュペリは食用の花。
君はそれを食べるのが、大好きだったのに。
涙を流しながら、力を失いながら。
僕に。
一緒に、竜の国に帰ろうって。
ベルベッタ。
君が人間になれた事を、何で教えてくれなかった?
どうして。
同盟国の交流会は、終わった。
わかっているよ。
僕が、何をするかわからなかったからだろう。
僕が怒り乱れていたから、駆けつけた僕の知るウイプル兵達が僕を必死に抑えていた。
アスデンの上級兵、ダラメイズは逃げていった。
騎士長アーマンは僕の所に駆けつけて、堪えてくれ、と鬼気迫る表情で、何度も叫んでいた。
殺されたのは、僕の家族だ。
そう伝えた。
ウイプルのため。
ウイプルのために、僕は堪えろ、と?
ベルベッタは、泣いていた。
ここの国は、竜を信仰していただろう?
金呼鈴福竜が泣いていたのに。
竜が泣いていたのに。
お前達は、助けなかった。
何で、
僕がお前達を助けなければいけない?
僕の大切なものを、守ってくれなかったのに。
シュリエルの11日
竜の祭壇にて
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