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第3章 竜の涙
マージラスの砦(for three days)
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ヘンターの岩場での傷は、ほぼ癒えている。
僕は、体の中に竜の血が流れているため、回復が早い。
少しゆっくりするといい、という言葉を国王から言われたので、少しだけ、その様にするとしよう。
お母様の書室で、読書でもしようと、書室の中に入ったんだ。
少し、埃臭くなっていたので、窓を開け、新鮮な空気を入れてみた。
お母様の書室に入ると、赤い皮の書物が、机の上に束なっていた書物の間に入っていたのが目についた。
こんなもの、この間見た時にあったのかと、開いてみたら。
竜が人間に姿を変えた戦士が、空から訪れた脅威に立ち向かった、と記されてある。
その時の戦いを、詳細まで記されていた。
遥か昔の話の様に思えるけど、この竜戦士が生きていたなら、敵に回った者には死が訪れるだろう。
城さえも破壊しそうな技を使っている様だ。
ここに記されている技を使った本人は、生きているのか。
生きてはいないだろうな。
この空からの脅威を、この竜戦士に送ったのは、人間達だからだ。
もし、この竜戦士が生きていれば、恐らく復讐され、人間達が死んでいる。
そんな事を思わせる書き方だったけど、竜のおとぎ話程度に捉えていた方がいいのかな。
これは、お母様が記したんじゃない。何代も引き継がれてきた書物か。
これを、お母様が読んだのだろうか。
それでも、
お母様が、剣を握って、戦う姿は思い浮かばないな。
シュリエルの3日
自分の家にて
_______
赤茶色の髪の女、彼女の名前は、
シュペリという。
シュペリなんて、名づけた君の親は、その時に何を思い浮かべて決めたんだろうね、と言ったら。
彼女は、目を細めて、声を出して笑った。
食用の花としても有名だけど、その花びらは黄色で鮮やかだから、まるで幸運を呼ぶ様にも見える。その花の名前を赤子につける親もいるのかも知れないな。
そう言えば、その花が好きな奴もいたな。
大量に食べるんだ。
君は行商人の娘か何かだろうから、それなら、君の家族の売り物を僕が買って貢献してあげようか、と言ってみたら。
まだ、いいんだよ、だって。
儲かっているから、僕が買わなくてもいいという事か。
僕は、リガード竜騎士団の一員だから、支給されるお金は、多いんだ。
特別使い道はないから、君の家族の売り物をたくさん買ってあげようか、と。
いいよ、だって。
売り上げは僕が思う様な桁数ではないんだろう。
貴重な一品か。
それなら、あれを買ってほしいと言われた。
威厳山。
予想外の事を言われたな。
僕がウイプルの国王にでもなれば可能だろうけどね。
でも、山が好きなんだろう。
僕も、嫌いではなかったよ。
少しの間、ブルーシーズと共に過ごした。
高い所から街を見下ろすのも、心地がいいものだ。
シュリエルの4日
ヘールベータ地区の家にて
_______
ジーダペンス王国の諜報活動が続いている。
ウイプルからジーダペンス王国はあまりにも遠過ぎる。ここから距離の離れた北東部にあるフクリア王国に協力を頼んでいる。
ジーダペンス王国は、やはり邪教国ではなさそうだ。
何処からゴブリン達を手に入れたのか。
残忍な化け物と忌み嫌われている奴らをどうして使った?
そして、何故ウイプルを?
正確には、ダルレアス自治領だけど。
ただ、正面から侵攻しないのであれば、やはり高い確率でダルレアス自治領から入り、ウイプル本国へ侵攻するしかない。
そのところも、もう少し諜報活動がすすめば、わかってくるだろう。
同盟国間で、交流会は続いている。無理にでも行わなければ、ドメイル教信仰国に侵攻された場合、状況次第では、協力を得られないかも知れない。
これから、邪教国のさらなる圧力がかかってくるだろう。
アスデン王国の例の上級兵は、幾度となくこのウイプルを訪れ、そして犠牲者を出してしまう。
この間、少し会話を交わしたけど、他の者の言葉には耳を貸さなそうだったな。
楽しませろよ、という言葉を、もう少し詳しく訊くべきだったか。
確か、自国の砦を1つ任されているという話だったな。
問題を起こしているにも関わらず、不問になるという事は。
例えば、邪教国軍がアスデン王国へ向けて侵攻し始めた場合、ウイプルら同盟国3国が連合軍を組み、アスデン王国に集結するだろう。その時には、アスデン王国の王都に近い砦を拠点とする事はせず、領土の1番外側の砦を連合軍の拠点とするはずだ。
その1番外側の砦、つまりマージラスの砦を任されているのだろう。
国王マイクリーハは、雑念を生む要因を消したいのか。
しかし、その対応は、間違っている様な気がする。
シュリエルの5日
ヘールベータ地区の家にて
_______
僕は、体の中に竜の血が流れているため、回復が早い。
少しゆっくりするといい、という言葉を国王から言われたので、少しだけ、その様にするとしよう。
お母様の書室で、読書でもしようと、書室の中に入ったんだ。
少し、埃臭くなっていたので、窓を開け、新鮮な空気を入れてみた。
お母様の書室に入ると、赤い皮の書物が、机の上に束なっていた書物の間に入っていたのが目についた。
こんなもの、この間見た時にあったのかと、開いてみたら。
竜が人間に姿を変えた戦士が、空から訪れた脅威に立ち向かった、と記されてある。
その時の戦いを、詳細まで記されていた。
遥か昔の話の様に思えるけど、この竜戦士が生きていたなら、敵に回った者には死が訪れるだろう。
城さえも破壊しそうな技を使っている様だ。
ここに記されている技を使った本人は、生きているのか。
生きてはいないだろうな。
この空からの脅威を、この竜戦士に送ったのは、人間達だからだ。
もし、この竜戦士が生きていれば、恐らく復讐され、人間達が死んでいる。
そんな事を思わせる書き方だったけど、竜のおとぎ話程度に捉えていた方がいいのかな。
これは、お母様が記したんじゃない。何代も引き継がれてきた書物か。
これを、お母様が読んだのだろうか。
それでも、
お母様が、剣を握って、戦う姿は思い浮かばないな。
シュリエルの3日
自分の家にて
_______
赤茶色の髪の女、彼女の名前は、
シュペリという。
シュペリなんて、名づけた君の親は、その時に何を思い浮かべて決めたんだろうね、と言ったら。
彼女は、目を細めて、声を出して笑った。
食用の花としても有名だけど、その花びらは黄色で鮮やかだから、まるで幸運を呼ぶ様にも見える。その花の名前を赤子につける親もいるのかも知れないな。
そう言えば、その花が好きな奴もいたな。
大量に食べるんだ。
君は行商人の娘か何かだろうから、それなら、君の家族の売り物を僕が買って貢献してあげようか、と言ってみたら。
まだ、いいんだよ、だって。
儲かっているから、僕が買わなくてもいいという事か。
僕は、リガード竜騎士団の一員だから、支給されるお金は、多いんだ。
特別使い道はないから、君の家族の売り物をたくさん買ってあげようか、と。
いいよ、だって。
売り上げは僕が思う様な桁数ではないんだろう。
貴重な一品か。
それなら、あれを買ってほしいと言われた。
威厳山。
予想外の事を言われたな。
僕がウイプルの国王にでもなれば可能だろうけどね。
でも、山が好きなんだろう。
僕も、嫌いではなかったよ。
少しの間、ブルーシーズと共に過ごした。
高い所から街を見下ろすのも、心地がいいものだ。
シュリエルの4日
ヘールベータ地区の家にて
_______
ジーダペンス王国の諜報活動が続いている。
ウイプルからジーダペンス王国はあまりにも遠過ぎる。ここから距離の離れた北東部にあるフクリア王国に協力を頼んでいる。
ジーダペンス王国は、やはり邪教国ではなさそうだ。
何処からゴブリン達を手に入れたのか。
残忍な化け物と忌み嫌われている奴らをどうして使った?
そして、何故ウイプルを?
正確には、ダルレアス自治領だけど。
ただ、正面から侵攻しないのであれば、やはり高い確率でダルレアス自治領から入り、ウイプル本国へ侵攻するしかない。
そのところも、もう少し諜報活動がすすめば、わかってくるだろう。
同盟国間で、交流会は続いている。無理にでも行わなければ、ドメイル教信仰国に侵攻された場合、状況次第では、協力を得られないかも知れない。
これから、邪教国のさらなる圧力がかかってくるだろう。
アスデン王国の例の上級兵は、幾度となくこのウイプルを訪れ、そして犠牲者を出してしまう。
この間、少し会話を交わしたけど、他の者の言葉には耳を貸さなそうだったな。
楽しませろよ、という言葉を、もう少し詳しく訊くべきだったか。
確か、自国の砦を1つ任されているという話だったな。
問題を起こしているにも関わらず、不問になるという事は。
例えば、邪教国軍がアスデン王国へ向けて侵攻し始めた場合、ウイプルら同盟国3国が連合軍を組み、アスデン王国に集結するだろう。その時には、アスデン王国の王都に近い砦を拠点とする事はせず、領土の1番外側の砦を連合軍の拠点とするはずだ。
その1番外側の砦、つまりマージラスの砦を任されているのだろう。
国王マイクリーハは、雑念を生む要因を消したいのか。
しかし、その対応は、間違っている様な気がする。
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