剣士アスカ・グリーンディの日記

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第3章 竜の涙

ゴブリン退治へ(for three days)

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ウイプルの北西部にあるタシルュアスの丘に行った。

随分と久し振りだ。

僕が座るに丁度良い岩の椅子は、時が過ぎ、僕は成長して、丁度良くない小さなものになっていた。

長草がたくさん茂っていたのは、記憶違いだったか。

地面は干上がっている様に見えた。

僕がここの丘で、竜達と戯れたりもしていたな。

そして、君もいたんだ。



あまり思い出せないけど、君は得意げに笑って、手にあった小枝を空に飛ばして、そしてそれは落ちてこなかった。

君は、魔法使いか。

魔法なんて、この世にはないんだ。

本当は、小枝を投げた振りをしたんだよね。

ウイプルから出た者達は、今何処にいるんだろう。

国を捨て、理想郷でも目指したか。

まぁ、どうでもいいさ。



僕をつけていた人がいたんだよ。

街から外れて歩いていたから、気になってついてきたんだって。

赤茶色髪の女。

人懐っこい笑顔で僕を見る。

何だ、こいつはと。

最初は思ったけどね。

不思議と落ち着くんだ。


ペテロの24日
             ヘールベータ地区の家にて
________

ウイプルから北東部のヘンターの岩場で、ゴブリンが行商人の馬車を襲ったという報告が入った。

邪教国軍との戦い前には、ゴブリンなどウイプルやコーリオ近郊に出没する事はなかったけど、あの戦いの時に、拠点でも作られたか。

今後、ウイプルが邪教国に狙われた時、同盟国に救援を求めやすい様にと、今回のゴブリン掃討は、ウイプルがやる事になった。

リガード竜騎士団の遊撃部隊隊長の僕を柱として、数人のリガード竜騎士団の騎士、国王兵50人。

でも、

僕は遥か遠くに見えた、空を飛ぶ巨大な影に気を取られたんだ。

それほど前じゃないけど、同じものを見たな。

前よりも、もっと大きく感じる。

きっと、ウイプルとの距離が縮まっているんだ。

まさか、このウイプルを目指しているのか。

見えるだけでも3匹。

気のせいだとは思えないのは、この国がドメイル教信仰国に狙われているからか。

まぁ、いい。

目の前のやるべき事を片づけるまでだ。


ペテロの25日
             王城の見張り台にて
________

ウイプルの王城見張り台で夜風に当たっていたら、少し離れた場所で、銀色で長髪の男が、こちらを見つめていた。

嘘みたいに、消えていった。

僕は、うれしくて、微笑んでいたと、思う。



心配してくれたんだね。

僕は、ゴブリンなんかには、負けないよ。

そんな心配そうな、顔を浮かべなくてもいいんだ。



目を閉じても、一度流れようとした涙は、止まらなかった。



ブルーシーズ。



もう一度、君の姿が見れて、良かった。



僕は、故郷のウイプル王国を守るよ。



明日は、ゴブリン退治だ。



大丈夫、死にはしない。




ペテロの26日
             王城の見張り台にて
________
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