剣士アスカ・グリーンディの日記

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第3章 竜の涙

ウイプルの竜(for three days)

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同盟国との交流会は、続く。

邪教国に睨まれているのは事実。

ウイプル国王マイクリーハは、やはり恐れている。

邪教国の聖戦。

聖戦とは、戦いを正当化する事か。

ドメイル教の教えに反する物が相手側に1つでも存在するのなら、それは聖戦を行う対象にあるのだろうか。

または、戦い続ける事が、世の浄化に繋がり、それを聖戦と呼ぶのか。

人間は、罪人?

ドメイル教徒は、神に選ばれた民?

だから、罰する側に回れるとでも言うつもりか。

奴らに対抗するには、アスデン、コーリオ両王国との連携は必要不可欠。

だから、交流会は続く。

アスデン王国の上級兵が、傷害事件を起こしても。

この事件で、ウイプルの民1人が死んだ。

それでも、交流会は続いているんだ。


ペテロの21日
             ヘールベータ地区の家にて
________

お母様の書室には、幾つかの手記があり、そこにあるほとんどに目を通したつもりだ。

でも、何かが足りない。

恐らく、元々ここにあった物が、ない。

僕が何の竜族か、幼少期の頃にどの様に育ったか等の内容が手記の何処にも見当たらない。

他の竜族の事は、書かれていたのに。

何故だ。



一体、誰の仕業だろうか。



何処かにそれを知る手がかりはないのだろうか。

せめて、僕の竜族くらいは、知っておきたい。



お母様の、貴覇竜やラリュナピュートという名は、このウイプルの民や国王が名誉あるものをと考え、命名したものだ。



僕の竜族の名は、何だ。




ペテロの22日
             自分の家にて
________

僕と仲の良かった赤い竜、ベルベッタ。

君は遥か遠く、竜の棲む場所で、幸せな時間を過ごしているのかな。

このウイプルは、竜の君からしたら、過ごしやすかっただろうか。

その手助けを、僕やお母様ができたのなら、それは嬉しいよ。

本当は、どうなのかな。

ウイプルの民と竜との融和というものは、僕の幻想ではなくて、しっかりと存在していたのかな。

ウイプルに棲んだ竜の気持ちを、知りたいんだ。

もし、それが本当にあったのなら、半分は人間、半分は竜の僕が、このウイプルに、いてもいいんだと、心から思える様な気がする。



心から、か。



それはないのかも知れないな。



少しは、思える様な気がする。



今は、僕がこのウイプルにまだ必要だと感じるんだ。



それがなくなったら?



その時は、



僕は、お母様やブルーシーズの元へ行こう。

ペテロの23日
             ザンギント山の竜の祭壇にて
________
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