剣士アスカ・グリーンディの日記

sayure

文字の大きさ
上 下
59 / 113
第3章 竜の涙

ウイプルの竜(for three days)

しおりを挟む
同盟国との交流会は、続く。

邪教国に睨まれているのは事実。

ウイプル国王マイクリーハは、やはり恐れている。

邪教国の聖戦。

聖戦とは、戦いを正当化する事か。

ドメイル教の教えに反する物が相手側に1つでも存在するのなら、それは聖戦を行う対象にあるのだろうか。

または、戦い続ける事が、世の浄化に繋がり、それを聖戦と呼ぶのか。

人間は、罪人?

ドメイル教徒は、神に選ばれた民?

だから、罰する側に回れるとでも言うつもりか。

奴らに対抗するには、アスデン、コーリオ両王国との連携は必要不可欠。

だから、交流会は続く。

アスデン王国の上級兵が、傷害事件を起こしても。

この事件で、ウイプルの民1人が死んだ。

それでも、交流会は続いているんだ。


ペテロの21日
             ヘールベータ地区の家にて
________

お母様の書室には、幾つかの手記があり、そこにあるほとんどに目を通したつもりだ。

でも、何かが足りない。

恐らく、元々ここにあった物が、ない。

僕が何の竜族か、幼少期の頃にどの様に育ったか等の内容が手記の何処にも見当たらない。

他の竜族の事は、書かれていたのに。

何故だ。



一体、誰の仕業だろうか。



何処かにそれを知る手がかりはないのだろうか。

せめて、僕の竜族くらいは、知っておきたい。



お母様の、貴覇竜やラリュナピュートという名は、このウイプルの民や国王が名誉あるものをと考え、命名したものだ。



僕の竜族の名は、何だ。




ペテロの22日
             自分の家にて
________

僕と仲の良かった赤い竜、ベルベッタ。

君は遥か遠く、竜の棲む場所で、幸せな時間を過ごしているのかな。

このウイプルは、竜の君からしたら、過ごしやすかっただろうか。

その手助けを、僕やお母様ができたのなら、それは嬉しいよ。

本当は、どうなのかな。

ウイプルの民と竜との融和というものは、僕の幻想ではなくて、しっかりと存在していたのかな。

ウイプルに棲んだ竜の気持ちを、知りたいんだ。

もし、それが本当にあったのなら、半分は人間、半分は竜の僕が、このウイプルに、いてもいいんだと、心から思える様な気がする。



心から、か。



それはないのかも知れないな。



少しは、思える様な気がする。



今は、僕がこのウイプルにまだ必要だと感じるんだ。



それがなくなったら?



その時は、



僕は、お母様やブルーシーズの元へ行こう。

ペテロの23日
             ザンギント山の竜の祭壇にて
________
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました

toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。 残酷シーンが多く含まれます。 誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。 両親に 「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」 と宣言した彼女は有言実行をするのだった。 一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。 4/5 21時完結予定。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。

さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。 忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。 「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」 気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、 「信じられない!離縁よ!離縁!」 深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。 結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...