剣士アスカ・グリーンディの日記

sayure

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第2章 竜の血を持つ者

守護と破壊(for three days)

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港町で馬を調達し、ウルヘイド王国の王都を目指そうとした時、ブルーシーズの顔色が悪かった事に気づいた。

仲間を殺された、あの竜の砦を目の当たりにして、具合が悪くなったのか。

それとも、この計画自体が、乗り気ではなくなったのか。

ブルーシーズの本当の気持ちは。

大丈夫だ、この計画を成し遂げなければならない、彼はそう言った。



同族の無念を晴らすには、自分の気持ちがどうであれ、計画を遂行しなければならない、そういう言い方に訊こえた。



守護竜として、ずっと守ってきた王国、その王族、民。

同族の白灰千王竜ホローエヴァルドドラゴンを殺された、その無念を晴らすための復讐。

守護と破壊、その狭間で、君の気持ちは、揺れているのではないか。

竜の復讐は、果たすべきだ、と僕は思ってはいるが。

僕の命は、君に救われた。

だから、正直に言って欲しい。

ブルーシーズ、まだ間に合う。

君が、この計画を止めると言うのなら、僕はヴィルアズ王に対しての芽生えた殺意を、鎮める事にしよう。



エンディオンの6日
       ウルヘイド王国
        バオルド平原の集落にて
___________________

ブルーシーズ、君はもしかして、他の白灰千王竜ホローエヴァルドドラゴンのどの竜よりも、人間に慣れてはいないか。

そう訊いてみたら、そうだと返事をした。

この計画が終われば、人になる機会もなくなるだろう、と。

その計画は、ウルヘイド王国の王都フルプレールにて、守護竜側につく者に既に渡してある手紙を、ヴィルアズ王に届く様に伝え、その日の夕刻に、ドメイル教団のダマズル司教の名の下に神の丘オーディールにヴィルアズ王を呼び出し、そこで殺害をする。

僕は、ブルーシーズにこの計画の実行意思を確認したが、変わらず、必ず成し遂げる、と言った。

わかった、ブルーシーズ。

白灰千王竜ホローエヴァルドドラゴン達の無念を晴らすため、竜の復讐を果たそう。  



エンディオンの7日
        ウルヘイド王国
         シセール平原の岩場にて
___________________

大きな水晶彫刻が、至る所にあり、王都を美しい光景に変えている。

王都の奥側にある白い丘の上に、尖塔が多く建ち並び、その真ん中に水晶彫刻が装飾された主塔が見える。ウルヘイド王国の王城ベグルネーディスと言うらしい。

その王城の丘を左に向かい、王都の外壁を抜けた所に、例の竜の砦はある。

竜の砦は炎で焼かれ、激しく損傷していて、建物の中に組み込まれてあったであろう鉄の骨組みが剥き出しになっていた。未だ焦げ臭い。

遠くから見ていた時は、大きな白い柱が飛び出してあるのかと思った箇所は、竜の手の骨だった。  

無念だっただろう。

守護竜として、守り続けた王国。白灰千王竜ホローエヴァルドドラゴン貴方達が、何故最後に都合の良い物として、無下に扱われなければならないのだろうか。

同じ竜として、その無念を、晴らしたい。

でも、この街にも、物知りの老人がいて、ブルーシーズが計画の準備のため、僕から離れている時に、竜やヴィルアズ王の話を訊いて、知る事になった。

ヴィルアズ王が幼い頃から、親しく接していた幼い竜がいた。王都のすぐ外にあるキリングの丘で遊んでいて、無法者による危害を心配され、よく叱られていた、と。またある時は、同じ場所で、銀髪の男の子がいて、同じ様に、仲良く遊んでいた、という。それは、互いに成長してからも、同じ場所で見かけられたという。

その竜は成長し、ヴィルアズを守る様に、共に王国軍の戦列に加わる事もあった、

そういう事だ。



ブルーシーズ、君なんだろう。

その時の竜、そして銀髪の男の子は。



だったら、



君は。



本当は、ヴィルアズ王を、殺したくはないんじゃないのか。



エンディオンの8日
        ウルヘイド王国
         王都の宿屋にて
___________________
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