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第2章 竜の血を持つ者
ウルヘイド王国へ(for three days)
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アドルフレス島の港町ジーシに到着。ここで船を変え、北の大陸スキューエルハ、ウルヘイド王国へ向かう。
ウルヘイド王国は、邪教であるドメイル教に、忠誠を示した。
それは、本意であるのか、そうではないのか。
わからないが。
自分の国の守護竜を殺し、ドメイル教団への忠誠の証とした。
少し見方を変えれば、僕も同等の事をしていないだろうか。
僕は、本意ではないけれど、結果的には、守護竜と同じくらいか、それ以上の存在の貴覇竜を殺してしまって、それが功績とされて、リガード竜騎士団の騎士にまでなった。
貴覇竜が、自身の暴走が抑えきれなくなり、貴覇竜自身が、僕の身も案じて、死を望んだとしても。
結果としては。
そう思っていた時に、僕の表情を見て、ブルーシーズが声をかけてきた。
小さな声で、
白灰千王竜の敵討ちを、と。
僕の表情に弱々しさが窺われたか。
君は、犠牲になった同族の竜達と、直前まで一緒にいたんだ。
無念さは、君がよく知っている。
すまなかった。
無念となった白灰千王竜の、敵討ちをしよう。
そして、僕は竜の世界に入る。
エンディオンの3日
港町ジーシの教会にて
___________________
夜空の星が輝く。
ブルーシーズの言う通り、北の方から見る星は、とても綺麗だ。
寒さは感じるけれど、このくらいは、どうと言う事はない。
ここから見える大陸が、スキューエルハ。
山々は、白く塗られている様だ。
ブルーシーズは、複雑な感情が入り混じった表情をしている。
かける言葉が思いつかない。
君にとっては、この地は、辛い思い出だろう。
それとも、消えない、いい思い出も、あるのか。
白灰千王竜の無念を晴らす。
その矛先は、ヴィルアズ王。
大丈夫だ、
ブルーシーズ。
僕がいる。
エンディオンの4日
船の中にて
___________________
北の大陸スキューエルハ、ウルヘイド王国港町ベッケルゲーに無事、到着した。
街は、宿屋等も含め、それなりに建物が多い。屋根が楕円形なのが特徴的で、建物自体、どれも頑丈に見える。
辺りは、とても静かな印象だ。
白い息が、流れる。
ここから少し馬を走らせれば、辿り着くのだろう。
ヴィルアズ王のいる王城へ。
この場所から離れた所に、巨大な黒い牢獄を思わせる鉄格子が見える。
想像はついた。
ブルーシーズの方へ、顔を向けると、彼は頷いた。
ヴィルアズ王により、白灰千王竜の多くが葬られた、竜の砦だ。
エンディオンの5日
ウルヘイド王国
港町ベッケルゲーの宿屋にて
___________________
ウルヘイド王国は、邪教であるドメイル教に、忠誠を示した。
それは、本意であるのか、そうではないのか。
わからないが。
自分の国の守護竜を殺し、ドメイル教団への忠誠の証とした。
少し見方を変えれば、僕も同等の事をしていないだろうか。
僕は、本意ではないけれど、結果的には、守護竜と同じくらいか、それ以上の存在の貴覇竜を殺してしまって、それが功績とされて、リガード竜騎士団の騎士にまでなった。
貴覇竜が、自身の暴走が抑えきれなくなり、貴覇竜自身が、僕の身も案じて、死を望んだとしても。
結果としては。
そう思っていた時に、僕の表情を見て、ブルーシーズが声をかけてきた。
小さな声で、
白灰千王竜の敵討ちを、と。
僕の表情に弱々しさが窺われたか。
君は、犠牲になった同族の竜達と、直前まで一緒にいたんだ。
無念さは、君がよく知っている。
すまなかった。
無念となった白灰千王竜の、敵討ちをしよう。
そして、僕は竜の世界に入る。
エンディオンの3日
港町ジーシの教会にて
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夜空の星が輝く。
ブルーシーズの言う通り、北の方から見る星は、とても綺麗だ。
寒さは感じるけれど、このくらいは、どうと言う事はない。
ここから見える大陸が、スキューエルハ。
山々は、白く塗られている様だ。
ブルーシーズは、複雑な感情が入り混じった表情をしている。
かける言葉が思いつかない。
君にとっては、この地は、辛い思い出だろう。
それとも、消えない、いい思い出も、あるのか。
白灰千王竜の無念を晴らす。
その矛先は、ヴィルアズ王。
大丈夫だ、
ブルーシーズ。
僕がいる。
エンディオンの4日
船の中にて
___________________
北の大陸スキューエルハ、ウルヘイド王国港町ベッケルゲーに無事、到着した。
街は、宿屋等も含め、それなりに建物が多い。屋根が楕円形なのが特徴的で、建物自体、どれも頑丈に見える。
辺りは、とても静かな印象だ。
白い息が、流れる。
ここから少し馬を走らせれば、辿り着くのだろう。
ヴィルアズ王のいる王城へ。
この場所から離れた所に、巨大な黒い牢獄を思わせる鉄格子が見える。
想像はついた。
ブルーシーズの方へ、顔を向けると、彼は頷いた。
ヴィルアズ王により、白灰千王竜の多くが葬られた、竜の砦だ。
エンディオンの5日
ウルヘイド王国
港町ベッケルゲーの宿屋にて
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