35 / 113
第2章 竜の血を持つ者
竜族として(for three days)
しおりを挟む
北の大陸スキューエルハにあるウルヘイド王国ヴィルアズ王の殺害に向け、すでに計画は立てられていた。
ダマズル司教の死は偽装、真に動く計画を伝える、その計画の歯車となれ、そういった手紙をヴィルアズ王の元へ届く様に仕向けたらしい。
ブルーシーズがヴィルアズ王をおびき出し、そこで彼を討つ。
疑う事もなく、来るだろう、と。
いい様に使われ、そしていい様に殺された。
白灰千王竜の、執念の牙が、ヴィルアズ王の喉元に突き刺さるのだろう。
自業自得。
それで、君は人間と決別し、竜が竜らしく生きる世界へ、戻るのだ。
僕も、君と共に、
行けるのだろうか。
ライフの24日
サンクトペーテルグの家にて
___________________
市場に行くと、視線を感じた。
1人の口髭を生やした男。大きな体をしている。
宝石を扱う男。
この前に、僕に話しかけたウイプル王国の兵が、言っていた男。
宝石商のカルガス。
お代は、頂いてます、何なりと。
そう言ったこの男の目も、戦場を知る目をしている。
この者達は、ここで何をしている。
何か、目的があるのだろう。
この街、または近隣国で、何か。
ライフの25日
サンクトペーテルグの家にて
___________________
僕は、ブルーシーズに対して、少しの疑念があった。
彼は、守護竜として、守り続けたウルヘイド王国だったが、裏切りにより、そこで多くの同族を失った。
それでも、ダマズル司教を討ち、ウルヘイド王国がドメイル教との関係を絶つきっかけを与え、様子を見た。
ダマズル司教を討ち、遠い地でも、場所を移動せずに対話ができる方法をなくした。
国王がハイケッセイの時は、ドメイル教への忠誠はなかったのだろう。
父が死に、息子のヴィルアズが王に就いた。
そして守護竜を殺し、ドメイル教団への忠誠を。
ヴィルアズは悪魔の様な男か。
それであれば、ダマズル司教ではなく、真っ先にヴィルアズを殺していたはず。
猶予は、与えるはずがない。
君は、ヴィルアズをよく知っているのではないか。
悪魔の様な、男ではない。
それなら、君には、ヴィルアズ王を斬れはしない。
僕達は、お互いが竜族として自覚するために、お互いを必要としているのかも知れないな。
竜血がより活性化すれば、僕も人と離れなければならない。
ここが、分岐点だ。
ブルーシーズ。
僕は、ウイプル王国を捨てるよ。
竜族の敵討ちをして、
竜族としての道を、選ぶ。
君は、ウルヘイド王国を捨てろ。
ヴィルアズ王は、
僕が殺す。
ライフの26日
サンクトペーテルグの家にて
___________________
ダマズル司教の死は偽装、真に動く計画を伝える、その計画の歯車となれ、そういった手紙をヴィルアズ王の元へ届く様に仕向けたらしい。
ブルーシーズがヴィルアズ王をおびき出し、そこで彼を討つ。
疑う事もなく、来るだろう、と。
いい様に使われ、そしていい様に殺された。
白灰千王竜の、執念の牙が、ヴィルアズ王の喉元に突き刺さるのだろう。
自業自得。
それで、君は人間と決別し、竜が竜らしく生きる世界へ、戻るのだ。
僕も、君と共に、
行けるのだろうか。
ライフの24日
サンクトペーテルグの家にて
___________________
市場に行くと、視線を感じた。
1人の口髭を生やした男。大きな体をしている。
宝石を扱う男。
この前に、僕に話しかけたウイプル王国の兵が、言っていた男。
宝石商のカルガス。
お代は、頂いてます、何なりと。
そう言ったこの男の目も、戦場を知る目をしている。
この者達は、ここで何をしている。
何か、目的があるのだろう。
この街、または近隣国で、何か。
ライフの25日
サンクトペーテルグの家にて
___________________
僕は、ブルーシーズに対して、少しの疑念があった。
彼は、守護竜として、守り続けたウルヘイド王国だったが、裏切りにより、そこで多くの同族を失った。
それでも、ダマズル司教を討ち、ウルヘイド王国がドメイル教との関係を絶つきっかけを与え、様子を見た。
ダマズル司教を討ち、遠い地でも、場所を移動せずに対話ができる方法をなくした。
国王がハイケッセイの時は、ドメイル教への忠誠はなかったのだろう。
父が死に、息子のヴィルアズが王に就いた。
そして守護竜を殺し、ドメイル教団への忠誠を。
ヴィルアズは悪魔の様な男か。
それであれば、ダマズル司教ではなく、真っ先にヴィルアズを殺していたはず。
猶予は、与えるはずがない。
君は、ヴィルアズをよく知っているのではないか。
悪魔の様な、男ではない。
それなら、君には、ヴィルアズ王を斬れはしない。
僕達は、お互いが竜族として自覚するために、お互いを必要としているのかも知れないな。
竜血がより活性化すれば、僕も人と離れなければならない。
ここが、分岐点だ。
ブルーシーズ。
僕は、ウイプル王国を捨てるよ。
竜族の敵討ちをして、
竜族としての道を、選ぶ。
君は、ウルヘイド王国を捨てろ。
ヴィルアズ王は、
僕が殺す。
ライフの26日
サンクトペーテルグの家にて
___________________
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました
toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。
残酷シーンが多く含まれます。
誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。
両親に
「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」
と宣言した彼女は有言実行をするのだった。
一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。
4/5 21時完結予定。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる