剣士アスカ・グリーンディの日記

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第1章 ドラゴンバスター

聖戦

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日が地平線より顔を見せた頃、敵軍より上方のシンゼルバーツの砦から、コーリオ王国軍の弓兵部隊による一斉射撃。

大量の火矢が放たれた。

それを合図に、戦いの火蓋が切られた。

怒号が鳴り響く中、中央を固めて攻めるコーリオ王国軍、右翼に陣を取ったのは、アスデン王国軍、左翼に回ったのは、僕らのウイプル王国軍。

敵軍のいる岩場を回り込む形でウイプル、アスデンの軍が挟み撃ちを仕掛けた。

国王マイクリーハを大将とし、リガード竜騎士団を国王護衛側と前線側と二分した。そして多くのウイプル兵を肉付けとして、軍を構成する。

骸兵の情報は、偽りではなかった。

ウイプル兵が、困惑して、怯む者もいた。

突撃。

前衛にいる副騎士長ハルガルドの声に、怯む兵を追い越し、竜騎士達が馬を蹴り、敵陣へ突っ込んでいく。

骸兵は、敵軍の半数ほどにまで、上るだろう。

その様な骨だらけの姿になってまで、戦いが恋しいか。

骸兵の構えた剣ごと、頭蓋骨から胸骨までを竜剣で砕き、辺りに散らせた。

怯んだウイプル兵に示す様に。


___________________

僕を生かそうとした、お母様。



そして、



僕を殺そうとした、父親。



僕はウイプル王国のリガード竜騎士団のドラゴンバスターとして、戦場に立った。

僕は、生きている

そして、

死んでいる様にも、

思える。



だから、

貴方達2人の願いは、

かなっているんじゃないかな。



離れた所の岩場から、伏兵が300ほど現れ、ウイプル王国軍は、逆に挟み撃ちにあった。

前方後方の両方にリガード竜騎士部隊を配置していたため、そう遅れは取らない。



父親が、僕を殺そうとした事、

僕は、その意味がわかるんだよ。



だから、

期待なんて、してはいけなかったんだ。



オルフブ王国は、よく聖戦などと言うものだ。

骸兵に、あれは。

醜い顔をして、耳を尖らし、人すら食らうだろう。

ゴブリンだ。

奴らに知性などない。


___________________

僕には、ウイプルに思い出がある。



お母様との思い出。



翼竜達との思い出。



幼馴染との思い出。



その他にも。



ウイプルは、滅んでは、ならない。



お母様の希望だ。



でも、それだけじゃない。



わかったんだ。



それは、僕の希望でもあったという事を。



だから、僕は戦うよ。



ウイプル王国軍の1人の兵として。



___________________

連合軍が、オルフブ王国軍に対して、優勢。

オルフブ王国軍は、進軍してきた東側ではなく、逆の北西へと退避していった。

嫌な予感がしていた。

それは、残念だが、当たってしまった。

マッドク王国を敗北させた、ドメイル教信仰国の聖バハール王国軍が、オルフブ王国軍の援軍として、距離を置いて構えていた。



僕ら連合軍は深追いせず、見張り部隊を置き、一度シンゼルバーツの砦まで軍を引いた。

この戦いは、困難を極めるだろう。

いずれにしても、次で、決着がつく事になる。



ケイエルの6日
               シンゼルバーツの砦周辺にて

___________________
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