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緊急事態
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悠一郎達が宿に帰った夜のこと。
王国に激震が走った。
建物は倒壊し、水道管は破裂する。
整備されていた道は見る影もなく、無事なのは王都くらいのものだろう。
不幸にも迷宮の近場にあった王国は、這い出した魔物に襲われ、冒険者が対応するが、
「なんだこの魔物!ぐあっ…」
「最低でも上級職クラスの魔物…だと…!?」
そう、這い出したのは三階層、ないし四階層の魔物達だ。
そして極め付けは
「なっ!?天龍種の純龍だと!?ぐあっ…」
「化物めが!死にさら…ぐはっ!?」
魔物の頂点に立つ天龍種。その祖となる純龍。
一体どこから出てきたのかわからないそれは圧倒的な力で王国を破壊し尽くす。
大瀑布のように溢れ出る殺気と物理的な圧力すら伴う魔力はそれだけで冒険者達を屠る。
それを破った猛者もいたが、それは爪や尾で引き裂かれる。
それすらも防いだ者も数人はいたが純龍の肌に触れた部分がごっそりと削り取られ、最後には防ぐ術が無くなり…
「クッ…ここまでか…」
そうして諦めた一人の冒険者の前に一つの影が立ちはだかる。
驚くべきことに影はその手に持った刀でしっかりと純龍の攻撃を受け止めていた。
そして、冒険者は気付く。
街中が静かになっていることに。
それは人が全滅したからではない。
魔物が全滅したからだ。
なぜ?言わずもがなだ。
到着したのだ。
王国最強の冒険者達が。
----
【刀神】月中悠一郎
寝ている間にそれは来ていた。
激震が走り、水道管や地面が破裂した。
さらには魔物が溢れ出し、なんと天龍種の純龍までもが出てきてしまった。
これにより王国側の冒険者は凄まじい速度で数が減っていった。
一応早希を向かわせておいたから早々に全滅ということはないだろう。
だが、流石に早希でも純龍には対抗する術がない。
なので、早めに収集をかけることが大事だ。
「流石、そういうところは皆抜かりないね。」
僕の前には他の三人はもう集まっていた。
緊急時にとっている作戦が上手く機能したということだろう。
作戦の詳細については割愛。
さて、さっさと向かおう。
街中は酷い様子だ。
道は浸水し、建物が崩れた跡が見られる。
道中、簡単に手に入れた大地魔法で建造物を建て直す。
流石に十数件も建て直せば魔力は無くなり、魔力切れが起こる。
それは毎朝の鍛錬とは違う気分の悪くなるもの。
一気に消費したせいだ。
さて、宗谷と美奈代は大規模な殲滅行動を。
優里は戦場を回って負傷者の回復を頼んだ。
そして僕は純龍の足止めだ。
僕だけ厳しい役回りだが、武器を削られないのが僕だけなのだから当然といえば当然だ。
純龍の鱗は物理的な物しか削り取ることが出来ない。
なので魔法体である魔力武器作成で作った武器は影響されない。
さて、純龍は討伐しておきたい。
それで宗谷達の装備も作りたい。
早希には新しい銃が必要かもしれない。
それ以上に、身体能力が圧倒的に今の早希には足りていない。
訓練をする必要はありそうだ。
と、純龍が見えたね。
純龍はおよそ100メートル程の巨大な体躯を持ち、その体を駆使して暴虐の限りを尽くしている。
そして目の前には一人の冒険者。
これはまずい。
一気に加速し、間に割り込み、作成した刀で攻撃を受け止める。
腕に来るその威力。正に純龍だ。
これなら、いい装備が作れるだろう。
純龍クラスの装備というのは初めて手掛けるね。
僕はその興奮に胸を躍らせながら目の前の純龍に躍り掛かった。
----
【魔銃士】村本早希
ユウから魔物達の殲滅を任されちゃった。
もしかしたらこれが初めての頼み事かもしれない。
そう考えるととっても嬉しい。ユウに信頼されてる気がするから。
頑張っちゃう。
両手の銃から放たれる弾丸は的確に魔物を捉えている。
それでも魔物達は倒れない。
やっぱり私の弾じゃ威力が足りてないのかな…
あんまり使いたくないけどユウに貰った弾、使っちゃおうかな。
千発。それが限界。
きっとユウはこの銃には強力すぎるこの弾を撃てる限界を見極めて弾を作っているんだと思う。
やっぱりユウって凄いんだ。とこんな所で実感してしまう。
今まで私はユウに支えられっぱなしだった。
ユウだけじゃ無くて、他の人達にも。
特に宗谷さんにはお世話になっている。
いつもユウの話や、美奈代さんの話、優里さんの話を聞かせてくれる。
でも宗谷さんが自分のことを話しているのは聞いたことないかも。
それは謙虚な証なのかもしれない。
口は悪くても、遊び歩いていても、女の人に目が無くても、根は良い人なんだと思う。
ユウも、宗谷さんと一緒にいるときは軽口を叩き合ったりしている。
そんな関係が羨ましいな…と思って宗谷さんにちょっぴり嫉妬しちゃったり。
でもいつかあんな風になれるよね。
じゃあ今は目の前のことに集中しないと!
初めてユウから貰った仕事だもん。
絶対、絶対、成功させなくっちゃ。
王国に激震が走った。
建物は倒壊し、水道管は破裂する。
整備されていた道は見る影もなく、無事なのは王都くらいのものだろう。
不幸にも迷宮の近場にあった王国は、這い出した魔物に襲われ、冒険者が対応するが、
「なんだこの魔物!ぐあっ…」
「最低でも上級職クラスの魔物…だと…!?」
そう、這い出したのは三階層、ないし四階層の魔物達だ。
そして極め付けは
「なっ!?天龍種の純龍だと!?ぐあっ…」
「化物めが!死にさら…ぐはっ!?」
魔物の頂点に立つ天龍種。その祖となる純龍。
一体どこから出てきたのかわからないそれは圧倒的な力で王国を破壊し尽くす。
大瀑布のように溢れ出る殺気と物理的な圧力すら伴う魔力はそれだけで冒険者達を屠る。
それを破った猛者もいたが、それは爪や尾で引き裂かれる。
それすらも防いだ者も数人はいたが純龍の肌に触れた部分がごっそりと削り取られ、最後には防ぐ術が無くなり…
「クッ…ここまでか…」
そうして諦めた一人の冒険者の前に一つの影が立ちはだかる。
驚くべきことに影はその手に持った刀でしっかりと純龍の攻撃を受け止めていた。
そして、冒険者は気付く。
街中が静かになっていることに。
それは人が全滅したからではない。
魔物が全滅したからだ。
なぜ?言わずもがなだ。
到着したのだ。
王国最強の冒険者達が。
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【刀神】月中悠一郎
寝ている間にそれは来ていた。
激震が走り、水道管や地面が破裂した。
さらには魔物が溢れ出し、なんと天龍種の純龍までもが出てきてしまった。
これにより王国側の冒険者は凄まじい速度で数が減っていった。
一応早希を向かわせておいたから早々に全滅ということはないだろう。
だが、流石に早希でも純龍には対抗する術がない。
なので、早めに収集をかけることが大事だ。
「流石、そういうところは皆抜かりないね。」
僕の前には他の三人はもう集まっていた。
緊急時にとっている作戦が上手く機能したということだろう。
作戦の詳細については割愛。
さて、さっさと向かおう。
街中は酷い様子だ。
道は浸水し、建物が崩れた跡が見られる。
道中、簡単に手に入れた大地魔法で建造物を建て直す。
流石に十数件も建て直せば魔力は無くなり、魔力切れが起こる。
それは毎朝の鍛錬とは違う気分の悪くなるもの。
一気に消費したせいだ。
さて、宗谷と美奈代は大規模な殲滅行動を。
優里は戦場を回って負傷者の回復を頼んだ。
そして僕は純龍の足止めだ。
僕だけ厳しい役回りだが、武器を削られないのが僕だけなのだから当然といえば当然だ。
純龍の鱗は物理的な物しか削り取ることが出来ない。
なので魔法体である魔力武器作成で作った武器は影響されない。
さて、純龍は討伐しておきたい。
それで宗谷達の装備も作りたい。
早希には新しい銃が必要かもしれない。
それ以上に、身体能力が圧倒的に今の早希には足りていない。
訓練をする必要はありそうだ。
と、純龍が見えたね。
純龍はおよそ100メートル程の巨大な体躯を持ち、その体を駆使して暴虐の限りを尽くしている。
そして目の前には一人の冒険者。
これはまずい。
一気に加速し、間に割り込み、作成した刀で攻撃を受け止める。
腕に来るその威力。正に純龍だ。
これなら、いい装備が作れるだろう。
純龍クラスの装備というのは初めて手掛けるね。
僕はその興奮に胸を躍らせながら目の前の純龍に躍り掛かった。
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【魔銃士】村本早希
ユウから魔物達の殲滅を任されちゃった。
もしかしたらこれが初めての頼み事かもしれない。
そう考えるととっても嬉しい。ユウに信頼されてる気がするから。
頑張っちゃう。
両手の銃から放たれる弾丸は的確に魔物を捉えている。
それでも魔物達は倒れない。
やっぱり私の弾じゃ威力が足りてないのかな…
あんまり使いたくないけどユウに貰った弾、使っちゃおうかな。
千発。それが限界。
きっとユウはこの銃には強力すぎるこの弾を撃てる限界を見極めて弾を作っているんだと思う。
やっぱりユウって凄いんだ。とこんな所で実感してしまう。
今まで私はユウに支えられっぱなしだった。
ユウだけじゃ無くて、他の人達にも。
特に宗谷さんにはお世話になっている。
いつもユウの話や、美奈代さんの話、優里さんの話を聞かせてくれる。
でも宗谷さんが自分のことを話しているのは聞いたことないかも。
それは謙虚な証なのかもしれない。
口は悪くても、遊び歩いていても、女の人に目が無くても、根は良い人なんだと思う。
ユウも、宗谷さんと一緒にいるときは軽口を叩き合ったりしている。
そんな関係が羨ましいな…と思って宗谷さんにちょっぴり嫉妬しちゃったり。
でもいつかあんな風になれるよね。
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