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初めての御使い:中編
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あの後、早希がいろいろな服を着て僕の前に来て披露するショー的なものをして、衣服三、四袋分を買って店を出た。
結局僕は買わず仕舞いだ。
宗谷は美奈代を引っ張って合流したので問題ない。
それにしてもショー的なものをしていた時の早希は本当に可愛かった。
これが出来ただけで満足だ。
因みに、優里もちまちま衣服を変えていたので、早希の衣服だけが詰まった袋ではない。
これで今片腕が埋まっている状態だ。
まだ正午にすらなっていないのだから先が思いやられる。
まぁ宗谷もいるからある程度は大丈夫だろうけど。
「次はあのお店行こ!ね!」
「焦らない焦らない。ゆっくり行こう?」
早希が僕の腕を引っ張って靴屋へ。
みんなで初めての買い物。という事で多少なりともテンションが上がっているようだ。
まぁ今まで羽休めの場って言うのは取った事が無かったからね。
そこは悪かったと思ってるよ。
迷宮探索中でも幾らか楽しそうな顔をしている場面はあったから大丈夫だと思ってたんだけど。
っていうかグイグイ引っ張るの止めよう?服がぐちゃぐちゃになっちゃう。
そうして靴屋に到着。
靴なんてあまり気にした事は無かったね。
いままで自作するにしても一足二足がいいところだったし、耐久性に優れていたから変える機会もなかなか無かった。
今日はそういうのは抜きで見てみようか。
そっちの方が良いよね。
さて、靴か。
どういうのが良いんだろうね。
僕としてはどんなものでも良いと思ってる。
靴なんて見てる人なかなか居ないしね。
デザインとか、まぁ、脱げにくいだとか多少そういうのは加味した方がいいとは思うけど。
いや、デザインは別にどうでも良いかも。
色は黒とか灰色とかが良いな。
白でも良いけど。
「ね!見て見てユウ!この靴可愛くない?」
そう言って早希が差し出したのは桃色の靴。
確かに可愛いとは思う。
あまり履く機会は無いだろうけど。
「そうだね。可愛いじゃないか。良く似合うと思うよ。」
さて、靴がこれ程までに注目していないものだとは思っていなかった。
うーん…まぁ黒のを一足買って僕は終わりかな。
デザインがなんとなく気に入った黒の靴を一足会計に出し、しっかりとお金を払って受け取る。
そこに、いつの間にか優里や早希が買った靴の箱が積み上げられる。
「うへぇ…」
「さて、しっかり運んでね!」
「倉庫忘れてるの分かってるのに持たせるのかい?優里?」
「そのつもりで連れてきたから良いの!」
なるほど…
いや、これは本当に先が思いやられるね。
これの次は武器・防具屋のようだ。
衣服や靴とは一線を画す重さの物がさらに追加されるのか。
主に銃やら杖やらといったところだろうけど。
さて、僕も一応見て回ろうか。
っとと…前が見えにくいね。
この剣良いかもしれないね。
ククリナイフだったかな。北の方の国の剣だったような気がする。
ブーメランっぽい形状の刀身が付いている。
ブーメランの内側の部分が刃になってるんだよね。
癖があって扱い辛いらしいけど昔このククリナイフを使うめちゃくちゃ強い人がいたらしい。
それも二百年ほど前の話だけど。
一度手合わせしてみたかった。
さてと、僕は別に要らないっちゃ要らないんだよね。
一個くらいは買って腰に提げとくべきなのかな?
無手で革鎧に、見かけ上は普通のズボンだと舐められるからね。
まぁ革鎧とは言っても加護はつけているし革自体も一度行った五階層の魔物の革で出来ているからかなり頑丈だ。
ズボンも同じようなものだ。
見かけ上は新品の安物っぽい感じだから実際それで襲われた事が何度かある。僕の場合Sランクではあるけど顔はあまり知られていないからね。
まぁ、もちろん襲われた場合は平和的に「話し合い」だ。
まぁそれはどうでも良いとして。
そういうことが偶にあるから武器ぐらいは買っておくべきなのかもしれない。
金属だけ買って帰ろうか。
僕の手で最上級レベルの魔剣に加工しよう。
ただの金属じゃあたかが知れてるけどね。
ミスリルか魔法金属かがあれば良いんだけどね。
まぁそこらのチンピラには寸鉄でも充分だけど。
そうと決まれば話は早い。
「悪いけど、金属の塊はないかな?」
「あっ、月中さん!はい!ありますよ!」
蜂蜜色の豊かな髪を後ろで一つに結んだワンピースの少女が駆け寄ってきて、直ぐに店の奥へと戻っていく。
変わって出てきたのは馴染みのおっちゃん。
強面の筋肉ゴリゴリの武器屋だ。
義理堅くて曲がった事が嫌いなおっちゃんだから僕もかなり長く付き合わせてもらっている。
「ほれ。」
「おうふっ!ありがとう。」
急に重いものが乗ったせいで一瞬腕が軋んだが既に持ち直し、礼を言う。
やっぱり倉庫がないとキツイね。
左手だけで持ち、レジに立つ少女の頭を撫でる。
「いつもお疲れ様。これからもよろしくね。」
「いえ、こちらこそ!これからもご贔屓に!」
少女故の無邪気さで周囲に愛嬌を振り撒く少女店員はこの町の一番人気だ。
きっとあと二、三年もすれば人気はさらに上がるだろう。
店主も良い人だし。装備も質が良いし。
さて、早希達を待って他の店の商品でも見に行こうか。
結局僕は買わず仕舞いだ。
宗谷は美奈代を引っ張って合流したので問題ない。
それにしてもショー的なものをしていた時の早希は本当に可愛かった。
これが出来ただけで満足だ。
因みに、優里もちまちま衣服を変えていたので、早希の衣服だけが詰まった袋ではない。
これで今片腕が埋まっている状態だ。
まだ正午にすらなっていないのだから先が思いやられる。
まぁ宗谷もいるからある程度は大丈夫だろうけど。
「次はあのお店行こ!ね!」
「焦らない焦らない。ゆっくり行こう?」
早希が僕の腕を引っ張って靴屋へ。
みんなで初めての買い物。という事で多少なりともテンションが上がっているようだ。
まぁ今まで羽休めの場って言うのは取った事が無かったからね。
そこは悪かったと思ってるよ。
迷宮探索中でも幾らか楽しそうな顔をしている場面はあったから大丈夫だと思ってたんだけど。
っていうかグイグイ引っ張るの止めよう?服がぐちゃぐちゃになっちゃう。
そうして靴屋に到着。
靴なんてあまり気にした事は無かったね。
いままで自作するにしても一足二足がいいところだったし、耐久性に優れていたから変える機会もなかなか無かった。
今日はそういうのは抜きで見てみようか。
そっちの方が良いよね。
さて、靴か。
どういうのが良いんだろうね。
僕としてはどんなものでも良いと思ってる。
靴なんて見てる人なかなか居ないしね。
デザインとか、まぁ、脱げにくいだとか多少そういうのは加味した方がいいとは思うけど。
いや、デザインは別にどうでも良いかも。
色は黒とか灰色とかが良いな。
白でも良いけど。
「ね!見て見てユウ!この靴可愛くない?」
そう言って早希が差し出したのは桃色の靴。
確かに可愛いとは思う。
あまり履く機会は無いだろうけど。
「そうだね。可愛いじゃないか。良く似合うと思うよ。」
さて、靴がこれ程までに注目していないものだとは思っていなかった。
うーん…まぁ黒のを一足買って僕は終わりかな。
デザインがなんとなく気に入った黒の靴を一足会計に出し、しっかりとお金を払って受け取る。
そこに、いつの間にか優里や早希が買った靴の箱が積み上げられる。
「うへぇ…」
「さて、しっかり運んでね!」
「倉庫忘れてるの分かってるのに持たせるのかい?優里?」
「そのつもりで連れてきたから良いの!」
なるほど…
いや、これは本当に先が思いやられるね。
これの次は武器・防具屋のようだ。
衣服や靴とは一線を画す重さの物がさらに追加されるのか。
主に銃やら杖やらといったところだろうけど。
さて、僕も一応見て回ろうか。
っとと…前が見えにくいね。
この剣良いかもしれないね。
ククリナイフだったかな。北の方の国の剣だったような気がする。
ブーメランっぽい形状の刀身が付いている。
ブーメランの内側の部分が刃になってるんだよね。
癖があって扱い辛いらしいけど昔このククリナイフを使うめちゃくちゃ強い人がいたらしい。
それも二百年ほど前の話だけど。
一度手合わせしてみたかった。
さてと、僕は別に要らないっちゃ要らないんだよね。
一個くらいは買って腰に提げとくべきなのかな?
無手で革鎧に、見かけ上は普通のズボンだと舐められるからね。
まぁ革鎧とは言っても加護はつけているし革自体も一度行った五階層の魔物の革で出来ているからかなり頑丈だ。
ズボンも同じようなものだ。
見かけ上は新品の安物っぽい感じだから実際それで襲われた事が何度かある。僕の場合Sランクではあるけど顔はあまり知られていないからね。
まぁ、もちろん襲われた場合は平和的に「話し合い」だ。
まぁそれはどうでも良いとして。
そういうことが偶にあるから武器ぐらいは買っておくべきなのかもしれない。
金属だけ買って帰ろうか。
僕の手で最上級レベルの魔剣に加工しよう。
ただの金属じゃあたかが知れてるけどね。
ミスリルか魔法金属かがあれば良いんだけどね。
まぁそこらのチンピラには寸鉄でも充分だけど。
そうと決まれば話は早い。
「悪いけど、金属の塊はないかな?」
「あっ、月中さん!はい!ありますよ!」
蜂蜜色の豊かな髪を後ろで一つに結んだワンピースの少女が駆け寄ってきて、直ぐに店の奥へと戻っていく。
変わって出てきたのは馴染みのおっちゃん。
強面の筋肉ゴリゴリの武器屋だ。
義理堅くて曲がった事が嫌いなおっちゃんだから僕もかなり長く付き合わせてもらっている。
「ほれ。」
「おうふっ!ありがとう。」
急に重いものが乗ったせいで一瞬腕が軋んだが既に持ち直し、礼を言う。
やっぱり倉庫がないとキツイね。
左手だけで持ち、レジに立つ少女の頭を撫でる。
「いつもお疲れ様。これからもよろしくね。」
「いえ、こちらこそ!これからもご贔屓に!」
少女故の無邪気さで周囲に愛嬌を振り撒く少女店員はこの町の一番人気だ。
きっとあと二、三年もすれば人気はさらに上がるだろう。
店主も良い人だし。装備も質が良いし。
さて、早希達を待って他の店の商品でも見に行こうか。
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