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機械の妄念

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僕が神槍を離れて早希の元へ掛けると、淡い青の光を放っていた黒い機体が、目に痛いほどの紅を放っていた。
その機械音声は訳のわからない言葉を延々と呟き、人間なら頭を掻き毟る姿が幻視できるほど混乱しているようだ。
チラリと古代文字を見ると、魔神の排除を最優先。人的被害問わず。といったことが書かれていた。
千年の間これを目標に掲げて来たのだろう。
いくら機械とはいえマイクは考えられるものだ。人工知能…とでも言おうか。
人と同等の意思を持った機械が千年の目標を否定された…ということだ。
誰に?もちろん早希だ。
心優しいあの少女が人的被害を考えない作戦を否定せずになどいられない。
例えそれが千年越しの作戦であったとしても。
僕はマイクへと話しかけるがそれは届かないようだ。
そして、外の神槍が動き出す気配があった。
扉を開けると、紅の巨体が動き、その砲塔を僕達に向けていた。
「作戦続行の上で障害になる存在を感知、最優先目的、排除。」
刀を構えると、後ろから声が聞こえた。
そして背後の地面に巨大な物体が落ちる気配。
後ろを振り向くと機械的なボディに様々な武装をした何か。
神代の兵器に前後を挟まれた僕は絶体絶命の状況に歯噛みしていた。
----
ここまで命の危機を感じる状況は久し振りだ。わくわくするね。
前は紅の兵器。後ろは漆黒に金線の入った兵器。
まさしく「剣神は怪物を前に笑う」ってやつだ。
久し振りに本気で全力で最大で対峙することができる。
「さて、早希。僕は今から本気で戦う。ついて来れるかい?」
「ん!絶対、ついてく!」
威勢の良い返事をして早希が両手に拳銃を構える。
「援護射撃、お願いね。」
「んっ!」
軽く地面を蹴って飛び出し、神槍へ向かう。
砲塔からの砲弾を軽く切り裂く。火の海が背後に出来上がり、熱が通り過ぎるのを速度で振り切る。
軽く刀で切り裂いた感じ、簡単には斬れないようだ。対魔神用兵器であるというのも頷ける。
ここで、かなり前に開発した光空間魔法を発動する。
短期決戦のつもりで極光を撃ちまくる。
光の柱は兵器の表面を削れはすれど消し去ることは出来ない。
やはり神代だ。
早希の弾丸が砲塔を正確に撃ち抜く。
砲弾が破裂し、神槍を中から爆発させる。
だがそれすらも想定されて作られている神槍には傷がつかない。
面白いじゃないか。敵が強ければ強いほど、僕も強くなれるのだから。
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