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五階層逃走開始:一日目

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五階層か…正直ここには全員連れて来たかった。
僕一人では早希を守りきることなんて到底不可能だから。
宗谷達がいれば完璧なのかと言われると、正直安心はできない。
むしろ十中八九完璧ではない。
そもそも五階層はどの魔物も一騎当千の猛者だ。僕たちSランクの規格外さを思うと一騎当「千」では足りないかもしれない。
そんなのがそれなりの数いるのがこの五階層。
僕には荷が重いよ。
まぁ、ステータスがどれか一つに偏っているのが唯一の救いか。
完璧なオールラウンダーなんて五階層全体で見ても五、六体だろう。
偏ったステータスがカンストに近いから変わりないような気がするけど。
まぁそれでもオールラウンダーの方が強いだろうね。
全てが世界有数のステータスを誇る魔物だ。
特化型より強いに決まっている。
まぁ人には知恵ってものがあるからそこの部分を使えばどうにかなることもあるだろう。
実際僕は今の所魔神以外ならきっと負けない。
そこは知恵の部分が大きい。
ステータスの高さに加え、相手の意表をつく戦術が考えられる。僕の強みはそこにあると思っている。
あとは純粋な技術の高さかな。スキルにも恵まれている。
まぁそこは努力の部分か。
とりあえず魔物には負けない。
五階層ではそれも確実じゃないんだけどね。
大きく前に踏み込んで攻撃をかわし、地面を踏み割って目眩しにし、天井へ飛び上がる。
微弱な風を送って身体を天井に固定し、天井を走る。足元へ飛んできた攻撃を、天井を蹴って地面へ飛ぶことで回避。
くるりと反転し、元の地面に戻る。
ここまで全て、早希を抱えたままの作業だ。
今は魔法で眠らせている。現在の早希の身体能力では五階層にはついてこれない。
ちなみに先程から全力の超高速移動を敢行している。
それでも追い縋って来る魔物達。
僕の利点をこうも簡単に潰されると悲しくなるね。
もうそろそろ靴が熱くなってくるね。
というか全身が熱いね。
いや、防御力があるから問題はないけど。
全身が熱いっていうのはまぁ、服が燃え始めてるからだ。
それも仕方ないことだと思うけどね。
空気摩擦で熱が出るのも想定はしていたけれどここまでの長期移動になるとは思ってもいなかった。早希は障壁で保護してある。
それにしてもどれほどの広さがあるんだろうか。
とっくに十キロ二十キロは走ったと思うんだけど。
この調子だと国三つ分くらいの広さはありそうだ。
流石にそれだけの距離をずっと走り続けることができるとは思わない。
どこかで休息が取れるといいけど。
まだまだ予想外の旅は続きそうだ。
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