上 下
50 / 139

中々進まない三階層:二日目-寝起き-

しおりを挟む

さて、もうそろそろ朝になるかな。ちなみに首の痛みは無くなった。
にしても、腕の力が一向に弱まらないんだよね。
いや、このままなら抜けられなかったっていう大義名分があるわけだし役得役得って感じなんだけど。
いやぁ、でも弱まらないってのは考えられなかったなぁ。
寝てるわけだし普通はそうじゃないか?
まぁそれは良いとして。
今ちょっと身じろぎがあった。
起きるのは近いかな。早めに起きてくれた方が嬉しいんだけど。
だって意外とこの姿勢は体に負担があるからね。
なんか寝違えるときみたいな感じの体勢。
まぁこれはそのうち解決するから置いといて。
朝ごはんどうしようかな。
パパッと作れてパパッと食べれるのがいいよね。
やっぱりパンか。
いや、二回連続はダメだね。
せめてお米があればなぁ。
あれ、お米って余ってなかったかな。
いやでも朝から炭水化物はキツイかな…いや、パンでも一緒か。
気持ち的にはパンの方が軽いよね。うん。
にしてもいつまで起きないんだろうか。
そろそろ汗かいてきちゃう。
よくこれまで汗かいてこなかったよね。頑張った僕。
こっちからアクションを仕掛けた方がいいのかな。
いや、意外と寝起き悪かったり…あぁ、でもいままでそんなの見た事無いな。いやいや、自然に起きたらそうってだけで起こされたら機嫌悪くなるかも…?うん。あり得る。
でもそんな顔も見てみたいのが僕の心境。
さぁ覚悟を決めよう。快眠を邪魔する覚悟を!
こんな覚悟決める日が来るとは思わなかった…
っていうかどうやって起こそう。魔力の手かな。
最近大活躍だね。
ここでちょっとした豆知識。本来魔力と言うものは無色透明で、そこに使う人物の「色」が混じる。この色には特に法則や、共通性は無い。
そもそもなんで色が付くかもわからない。
それは良いとして。この色は落とす事ができる。
特にアイテムが必要なわけじゃあ無い。言ってしまえばまぁ、気の持ちようだ。
自分の色は無色透明だ。と念じれば色は変わる。訳わかんないね。
そんな訳わかんない仕組みにも役立つ場所がある。
相手にプレッシャーを与えたい時、魔力を放出していないように見せかける事で、相手に実力差がある事をわからせたり、今回のように魔力の手を作る時、無色透明なら警戒が難しいはず。
だから意外と必殺に繋がったりするんだけどもあんまり使ってなかったんだよね。
そんな魔力の手だけども、あんまり細かい作業が出来ないのが難点。
魔力武器作成で作るから攻撃力が高く、迂闊に触ると抉れちゃう。
魔力武器作成ってかなりなんでも作れるよね。
閑話休題。それはともかく
普通の魔力で作れば良いじゃんってなるんだけど、それはそれで難しい。
いや、作る分には特に問題無いんだけどね。
ただスキルの補助が無いから魔力を馬鹿食いするし、精緻且つ緻密で、尚且つただの一つも間違いを許されない。
もしも綻びが生じればそれは意味を成さずにただの魔力へと成り替わるだろう。
さらに、慣れるまでは動かすのが難しく、慣れても攻撃力は持たないから、戦闘では全くの役立たずだ。
まぁ、攻撃力の代わりと言っては何だけど細かい動きが出来るようになる。メリットとしてはそれだけ。
むしろデメリットの方が多いくらいだ。
でも、日常生活ではそれなりに役に立つ。魔力量が多い人間で無いと出来ないけれど、この手を伸ばしてその場から動かずにそれなりの生活が送れる。
もちろん動かなきゃダメな部分もあるけれどそれさえ除けば不満と言うほどの物はない生活が送れるはずだ。
もちろんこれは誰彼構わず出来るわけじゃない。魔力量が多く、回復が早い。そんな人間でないと実現はなかなか難しい。
まぁ一瞬だけ作り上げるだけならそこらのひ弱な村娘を捕まえて特訓させれば出来るだろうけど。
その一瞬で魔力のほとんどを絞り出されるだろうね。
いや、今はこんな説明をしてる場合じゃないんだ。
うん。さっさと早希の快眠を邪魔しないと。
……それだけ聞くと僕って物凄い嫌な奴だよね。いや、間違いじゃないけどさ。
魔力の手を練り上げる。今思ったんだけど魔力の手ってちょっと語呂悪いよね。
どうしよう。終焉齎す翡翠の裁きとかにしようか。うん。我ながら中々に鋭利な感じに本質迫っているんじゃなかろうか。翡翠ってほど爽やかな色して無いけどね。
でも誰かに聞かれたら引かれそうな気がするから言わないでおこう。
まぁそれはそれとして。
魔力の手を伸ばし、早希のほっぺを軽く引っ張る。
むにゅっと無抵抗に潰されるその現象は、それがとても柔いことの証左だ。
今度ちょっとだけムニムニさせてもらおう。
すこし場違いなことを考えながら魔力の手で早希のほっぺをムニる。
別にこれといったアクションがあるわけじゃ無い。ちょっと「んん…」とすだいただけ
だ。
魔力の手からじゃ感触は伝わってこない。無益だ。
肩でもつついてみようか。
ほれほれ。
いや、やっぱ起きないのな。
これは待つしかないのか…
いや、しっかり覚悟決めたし邪魔せねば。
本気で邪魔しにかかるならこちょこちょでしょ。
これからはなまっちょろい手段なんかに頼らねぇ…本気でいくぜ!
ハイ。まぁ、ね。
グヘヘ。やってやるぜ。ウヘヘ。
手は四本。足裏と脇だ。
固定するのを考えると八本いるかな。
あれ?これはずれるよね。ね。
うわ、今まで僕が説明と悩みに取られた時間はなんだったんだろう。
まぁムニムニを魔力の手で堪能できたから良いとして。感触はないけど。
「んみゅぅ…」
なにんみゅぅ。
いやね。
こっちとしてもさっさと起きてもらいたい訳だーぁよ。
まぁ脱出は出来るわけだし、朝ごはんのにほひで起きてもらおうかと。
方針をコロコロ変えるのが僕スタイル。
さて、朝ごはん結局何にしようか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。 政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。 他サイトにも公開中。

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

処理中です...