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中々進まない三階層:二日目-寝起き-
しおりを挟むさて、もうそろそろ朝になるかな。ちなみに首の痛みは無くなった。
にしても、腕の力が一向に弱まらないんだよね。
いや、このままなら抜けられなかったっていう大義名分があるわけだし役得役得って感じなんだけど。
いやぁ、でも弱まらないってのは考えられなかったなぁ。
寝てるわけだし普通はそうじゃないか?
まぁそれは良いとして。
今ちょっと身じろぎがあった。
起きるのは近いかな。早めに起きてくれた方が嬉しいんだけど。
だって意外とこの姿勢は体に負担があるからね。
なんか寝違えるときみたいな感じの体勢。
まぁこれはそのうち解決するから置いといて。
朝ごはんどうしようかな。
パパッと作れてパパッと食べれるのがいいよね。
やっぱりパンか。
いや、二回連続はダメだね。
せめてお米があればなぁ。
あれ、お米って余ってなかったかな。
いやでも朝から炭水化物はキツイかな…いや、パンでも一緒か。
気持ち的にはパンの方が軽いよね。うん。
にしてもいつまで起きないんだろうか。
そろそろ汗かいてきちゃう。
よくこれまで汗かいてこなかったよね。頑張った僕。
こっちからアクションを仕掛けた方がいいのかな。
いや、意外と寝起き悪かったり…あぁ、でもいままでそんなの見た事無いな。いやいや、自然に起きたらそうってだけで起こされたら機嫌悪くなるかも…?うん。あり得る。
でもそんな顔も見てみたいのが僕の心境。
さぁ覚悟を決めよう。快眠を邪魔する覚悟を!
こんな覚悟決める日が来るとは思わなかった…
っていうかどうやって起こそう。魔力の手かな。
最近大活躍だね。
ここでちょっとした豆知識。本来魔力と言うものは無色透明で、そこに使う人物の「色」が混じる。この色には特に法則や、共通性は無い。
そもそもなんで色が付くかもわからない。
それは良いとして。この色は落とす事ができる。
特にアイテムが必要なわけじゃあ無い。言ってしまえばまぁ、気の持ちようだ。
自分の色は無色透明だ。と念じれば色は変わる。訳わかんないね。
そんな訳わかんない仕組みにも役立つ場所がある。
相手にプレッシャーを与えたい時、魔力を放出していないように見せかける事で、相手に実力差がある事をわからせたり、今回のように魔力の手を作る時、無色透明なら警戒が難しいはず。
だから意外と必殺に繋がったりするんだけどもあんまり使ってなかったんだよね。
そんな魔力の手だけども、あんまり細かい作業が出来ないのが難点。
魔力武器作成で作るから攻撃力が高く、迂闊に触ると抉れちゃう。
魔力武器作成ってかなりなんでも作れるよね。
閑話休題。
普通の魔力で作れば良いじゃんってなるんだけど、それはそれで難しい。
いや、作る分には特に問題無いんだけどね。
ただスキルの補助が無いから魔力を馬鹿食いするし、精緻且つ緻密で、尚且つただの一つも間違いを許されない。
もしも綻びが生じればそれは意味を成さずにただの魔力へと成り替わるだろう。
さらに、慣れるまでは動かすのが難しく、慣れても攻撃力は持たないから、戦闘では全くの役立たずだ。
まぁ、攻撃力の代わりと言っては何だけど細かい動きが出来るようになる。メリットとしてはそれだけ。
むしろデメリットの方が多いくらいだ。
でも、日常生活ではそれなりに役に立つ。魔力量が多い人間で無いと出来ないけれど、この手を伸ばしてその場から動かずにそれなりの生活が送れる。
もちろん動かなきゃダメな部分もあるけれどそれさえ除けば不満と言うほどの物はない生活が送れるはずだ。
もちろんこれは誰彼構わず出来るわけじゃない。魔力量が多く、回復が早い。そんな人間でないと実現はなかなか難しい。
まぁ一瞬だけ作り上げるだけならそこらのひ弱な村娘を捕まえて特訓させれば出来るだろうけど。
その一瞬で魔力のほとんどを絞り出されるだろうね。
いや、今はこんな説明をしてる場合じゃないんだ。
うん。さっさと早希の快眠を邪魔しないと。
……それだけ聞くと僕って物凄い嫌な奴だよね。いや、間違いじゃないけどさ。
魔力の手を練り上げる。今思ったんだけど魔力の手ってちょっと語呂悪いよね。
どうしよう。終焉齎す翡翠の裁きとかにしようか。うん。我ながら中々に鋭利な感じに本質迫っているんじゃなかろうか。翡翠ってほど爽やかな色して無いけどね。
でも誰かに聞かれたら引かれそうな気がするから言わないでおこう。
まぁそれはそれとして。
魔力の手を伸ばし、早希のほっぺを軽く引っ張る。
むにゅっと無抵抗に潰されるその現象は、それがとても柔いことの証左だ。
今度ちょっとだけムニムニさせてもらおう。
すこし場違いなことを考えながら魔力の手で早希のほっぺをムニる。
別にこれといったアクションがあるわけじゃ無い。ちょっと「んん…」と呻いただけ
だ。
魔力の手からじゃ感触は伝わってこない。無益だ。
肩でもつついてみようか。
ほれほれ。
いや、やっぱ起きないのな。
これは待つしかないのか…
いや、しっかり覚悟決めたし邪魔せねば。
本気で邪魔しにかかるならこちょこちょでしょ。
これからはなまっちょろい手段なんかに頼らねぇ…本気でいくぜ!
ハイ。まぁ、ね。
グヘヘ。やってやるぜ。ウヘヘ。
手は四本。足裏と脇だ。
固定するのを考えると八本いるかな。
あれ?これはずれるよね。ね。
うわ、今まで僕が説明と悩みに取られた時間はなんだったんだろう。
まぁムニムニを魔力の手で堪能できたから良いとして。感触はないけど。
「んみゅぅ…」
なにんみゅぅ。
いやね。
こっちとしてもさっさと起きてもらいたい訳だーぁよ。
まぁ脱出は出来るわけだし、朝ごはんのにほひで起きてもらおうかと。
方針をコロコロ変えるのが僕スタイル。
さて、朝ごはん結局何にしようか。
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