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S級衝突:前編

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あの闘技大会から二週間。
S級衝突まで僕は力を磨いてきた。
その結果、縮地は進化し、爆縮地となり、風魔法はレベルマックスから派生し、空間魔法へ。
念願の空間機動が使えるようになり、空間魔法はまだ座標固定くらいしかできないけど鍛錬を続ければ転移もできるようになるだろう。
こんなに速くレベルマックスになるんだったら最初から全力で使っていけば良かった。
適性のある炎と光ばっかり使ってるんじゃなかった…
そして今日が本番だ。
舞台に上がり、紹介と共に向けられる歓声に手を振って応える。
一段と激しくなる歓声に苦笑いしながら対戦相手を見る。
拳を握り締めたり開いたりして調整している。
黒髪に黒に銀線が入ったコート、その下の服も黒。
靴もズボンも黒の全身真っ黒の人間。
宗谷だ。
あの装備ってことは本気なんだろう。
僕ももちろん本気の装備だ。
白に幾筋かの金線が入ったコートに白い服。
その下の鎖帷子も白。ズボンも白。
全てが対照的。
その二人が今ここで衝突する。
魔力の籠手を作り出し、両手に装備する。
最初から全力で行く。
開始と共に全力でステップを踏み、姿を消す。
観客席との間に張ってある結界のおかげで何をしたかは見えているはずだから気を使う必要はない。
一つ一つ全力でたたき込み、されど姿を見せないよう常にカンストした速度で動き回る。
刹那の内に叩き込まれた絶大な衝撃に、宗谷は揺らがない。
それどころか余裕の顔だ。
まぁ、まだまだ本気ではない。
ゆっくりとやっていこう。
深緑の閃光を残しながら移動する。
四方八方から拳を浴びせるが全く意に介さず、反撃のチャンスを伺っているようだ。
そして、一つの拳が放たれた。
それは奇しくも僕が移動した場所だった。
急には止まれず、かろうじて障壁を展開したがその拳に当たってしまう。
障壁は破られ、その中の僕に迫るが、金属繊維を織り込んだ服はダメージを通さず、主たる僕を守り抜いた。
やっぱり重いね。
さて、長期戦を覚悟した方が良いかな。
頑張ろう。
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