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記憶のカケラ
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このダンジョンは予想以上に狭く半日程度で大体攻略できてしまった。
そして今は最奥地…だと思われるところに居る。
僕たちの目の前には古代文字が書かれた画面が写っている。
早希と出会ったあの場所と同じで触れるようだ。
「なに…これ?記憶の…復元?一部…記憶を失った場合の…緊急策?」
指でスライドして下へいくと選択肢が出てくる。
はいかいいえだ。
「どうする?多分早希に関することだけど。」
「……ん。はいって押して。」
早希から返事を貰うと選択肢を選ぶ。
「っぁ…!!!」
途端頭を抱えて声にならない悲鳴を上げる早希。
「だ、大丈夫!?」
流石の僕も動揺してしまい、慌ててしまう。
「っ、だ…い、じょう…ぶ。心配、しないで…」
頭痛を堪えるように頭を抱えながら、片方の手で僕を止める。
酷い頭痛に苛まれながらも逆にこちらを心配する素振りを見せる早希に落ち着かせられる。
やがて頭痛が治まったのか酷く汗をかきながらも早希が顔を上げた。
「うっ…」
「どう?大丈夫?」
「……ん。それよりも記憶が戻ってきた。」
「っ!どんな記憶だったんだい?」
早希が思い出した記憶というのは、樹海の地下、最奥地に魔神が眠っているということ、それに対抗するための組織を作った人達がいたということ。
そして、早希のお父さんもその組織の一員…幹部だったということ。
これが戻ってきた記憶らしい。
なんだか大変なことになってきた気がしなくも無い。
んー。でもここまで来ちゃったし全部の記憶を戻してみたいよね。
多分この磁軸だけってことは無いはずだから全階層を回れば…
経験値稼ぎにもなるしちょうどいいか。
さて、一旦帰ろうか。
「一旦帰ろうか?」
「そうだな。磁軸もあるしな。嬢ちゃんも今ので相当疲れただろ。しっかり体が休めとけ。」
「う、うん。わかった。」
僕たちは磁軸を使って街に帰り、そこで別れた。
いつもの宿屋に戻り、ベッドに寝転ぶ。
「早希。ちょっと来て。」
「どうしたの?」
疑問を持ちながらも伸ばした腕の中に飛び込んでくる早希。
腕を丸めて抱え込み、離さないようにロックする。
「ひゃ!本当にどうしたの?何かあった?」
「早希の記憶のこと、これからどうしようかと思ってね。」
あと、早希が可愛くて無性に抱き締めたくなっちゃった。
「うん…でもきっとどうにかなる。ユウがいるから。」
「そうだね。どうしようなくなっちゃったら僕と一緒に世界を見て回ろう。綺麗なもの。いっぱい見せてあげる。」
「うん!」
「よし。じゃあ寝ようか。もう遅いし、疲れたでしょ?」
「うん。おやすみ。また明日ね。」
「おやすみ。また明日。」
そうして僕は瞼を落とし、そのまま意識も落とした。
そして今は最奥地…だと思われるところに居る。
僕たちの目の前には古代文字が書かれた画面が写っている。
早希と出会ったあの場所と同じで触れるようだ。
「なに…これ?記憶の…復元?一部…記憶を失った場合の…緊急策?」
指でスライドして下へいくと選択肢が出てくる。
はいかいいえだ。
「どうする?多分早希に関することだけど。」
「……ん。はいって押して。」
早希から返事を貰うと選択肢を選ぶ。
「っぁ…!!!」
途端頭を抱えて声にならない悲鳴を上げる早希。
「だ、大丈夫!?」
流石の僕も動揺してしまい、慌ててしまう。
「っ、だ…い、じょう…ぶ。心配、しないで…」
頭痛を堪えるように頭を抱えながら、片方の手で僕を止める。
酷い頭痛に苛まれながらも逆にこちらを心配する素振りを見せる早希に落ち着かせられる。
やがて頭痛が治まったのか酷く汗をかきながらも早希が顔を上げた。
「うっ…」
「どう?大丈夫?」
「……ん。それよりも記憶が戻ってきた。」
「っ!どんな記憶だったんだい?」
早希が思い出した記憶というのは、樹海の地下、最奥地に魔神が眠っているということ、それに対抗するための組織を作った人達がいたということ。
そして、早希のお父さんもその組織の一員…幹部だったということ。
これが戻ってきた記憶らしい。
なんだか大変なことになってきた気がしなくも無い。
んー。でもここまで来ちゃったし全部の記憶を戻してみたいよね。
多分この磁軸だけってことは無いはずだから全階層を回れば…
経験値稼ぎにもなるしちょうどいいか。
さて、一旦帰ろうか。
「一旦帰ろうか?」
「そうだな。磁軸もあるしな。嬢ちゃんも今ので相当疲れただろ。しっかり体が休めとけ。」
「う、うん。わかった。」
僕たちは磁軸を使って街に帰り、そこで別れた。
いつもの宿屋に戻り、ベッドに寝転ぶ。
「早希。ちょっと来て。」
「どうしたの?」
疑問を持ちながらも伸ばした腕の中に飛び込んでくる早希。
腕を丸めて抱え込み、離さないようにロックする。
「ひゃ!本当にどうしたの?何かあった?」
「早希の記憶のこと、これからどうしようかと思ってね。」
あと、早希が可愛くて無性に抱き締めたくなっちゃった。
「うん…でもきっとどうにかなる。ユウがいるから。」
「そうだね。どうしようなくなっちゃったら僕と一緒に世界を見て回ろう。綺麗なもの。いっぱい見せてあげる。」
「うん!」
「よし。じゃあ寝ようか。もう遅いし、疲れたでしょ?」
「うん。おやすみ。また明日ね。」
「おやすみ。また明日。」
そうして僕は瞼を落とし、そのまま意識も落とした。
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