4 / 13
第3話 ※
しおりを挟む淡い光を発する間接照明が、部屋の真ん中で息をすることも忘れて無我夢中に舌を絡ませている晴人と百合斗の影を壁に映した。
ここは、簡素なキッチンと窮屈なシャワールーム、黒い革張りのソファベッドにサイドテーブルとその上に置かれたたまご型の間接照明しかない百合斗の仮眠部屋、もとい連れ込み部屋である。
晴人がこの部屋に足を踏み入れるのはおよそ半年振りのことだったが、以前来た時と何かが違うことに気がついた。改めて部屋を見回してみるが、特に家具が変わったというわけではなさそうだ。
「どうしたの? そんな知らないところに連れてこられた猫みたいに部屋を見回したりなんかして」
室内に視線を走らせる晴人をソファベッドに押し倒し首筋に百合斗は唇を這わせ、痕が残らない程度に吸ったり犬歯を肌に当てる。
「……んっ。なんか、前に来た時と雰囲気が変わった気がするんだが」
「そう? 何にも変えてないからハルの気のせいだと思うよ。それより、こっちに集中して――」
百合斗は食いつくような勢いで晴人の唇を奪った。
ぴちゃぴちゃと下品な音を立てながら貪り合うかのように舌を絡め合う。熱い吐息と微かに酒の味のする唾液が混ざり、晴人の口端から垂れる。
息継ぎのタイミングを逃していた晴人の頭が酸欠でふわふわしてきた頃、百合斗の右手が晴人の服の中に侵入してきて胸の突起を探り当てた。カリカリと引っ掻かれる刺激に晴人はその快感に身を悶えさせた。
「経験は少なくないはずなのに、毎回可愛い反応してくれるハル大好き」
晴人の顎のラインから舌を這わせ、耳朶じだに優しく歯をたて百合斗はそう囁いた。
「んあっ。よ、けいなこと言ってないで……はやく……っ」
「はやく、何? ちゃんと何をして欲しいのか言ってくれないと分からないよ」
百合斗の右手で晴人の胸の突起を弄び、左手は二の腕をソファに縫いつけていた。
いくら遊び慣れているからと言っても、晴人の性格的におねだりを口にするのは恥ずかしくてたまらない。
どうにか恥ずかしい思いをせずに百合斗から快楽を得るにはと考えた晴人は、たくし上げられた自分のインナーを噛み、自由な右手で百合斗の勃ち上がったソレをズボンの上から優しく指で撫で上げ、そのままズボンのボタンを外しゆっくりと空いた空間へと手を入れた。
下着越しにゆるゆると扱しごきながら、時々鈴口を人差し指で刺激する。
すると、ちょっと前まで余裕そうだった百合斗の表情が切羽詰まったものに変わった。
「今日こそはハルに可愛くおねだりして欲しかったのに!」
「俺はそういうのはしない。むしろ、お前がおねだりしてみろよ」
百合斗の指が止まり反撃の隙を見つけた晴人は、上半身を持ち上げ百合斗の鎖骨に吸い付いた。
「……ッ。僕にはマーキングさせてくれないくせに、ずるいなぁ」
「そこまで強く吸ってないから痕は残ってない」
「それは、それで寂しいかも。ね、挿れていい?」
「ちゃんと気持ちよくしてくれよ?」
晴人はそう言って百合斗のモノを扱っていた方の手で自分のズボンの前を寛くつろげた。それを合図に、百合斗は晴人を起し、彼の背後に立ちズボンを下げた。晴人の後孔に指を入れると、そこはすでに柔く解ほぐれている。
「こんなに期待させていたのに、今日は後輩くんに邪魔されちゃったんだね。可哀想――」
「んあっ」
再びイニシアチブが百合斗へと戻った。晴人は無意識に艶めいた声を漏らす。
緩やかに出し入れされる百合斗の指が晴人いい所を焦らしながら刺激する。
「ゆ、り……、意地、悪しないで、い、挿れて――」
腹の奥が疼いて仕方がなくなった晴人は、先ほどまで感じていた恥ずかしさも忘れ、百合斗に挿れて欲しいと乞う。
百合斗はソファの引き出しからコンドームとローションを取り出し、慣れた手つきでゴムをつける。
蕩けた顔の晴人の視線が百合斗を急かす。
屹立にローションをたらし晴人の後孔にあてがった。馴染ませるように、スライドさせると晴人が急かすように腰を押し付けてくる。
「じゃ、挿入るね」
ぐちゅりと水音を立てて、晴人の後孔は百合斗の屹立を受け入れた。
晴人の口から、「ああ……ッ」と嬌声が溢れた。あまり声が出ないようにと、晴人は唇を噛み締める。
「ハルの声、聞かせて」
晴人の喘ぎ声がくぐもった物に変わったことに気がついた百合斗は、抽挿しながら右手で晴人の唇を開かせた。
「う、あっ……ふっ……」
「ハル、すごくっ……可愛いっ……」
扇情的な晴人の姿に興奮した百合斗の腰の動きが早くなると、晴人は体を仰け反らせた。百合斗は一層激しく腰を打ちつける。
「――ッ」
耐えきれず達した晴人に覆い被さった百合斗は、晴人の口の端から垂れる涎を舐め掬う。
「先に、イっちゃうなんて酷いんだから――。もう少し付き合って――」
百合斗は最奥まで腰を押し進め、小さくグラインドさせた。
快感から逃れようとする晴人を押さえつけた百合斗は、晴人がつまらぬ抵抗ができぬよう再び激しく腰を打ちつけた。
晴人の後孔が窄まり、襞がゴム越しの屹立にまとわりつく。
「んんっ――」
百合斗が達すると同時に晴人の体から力が抜けてソファに倒れ込んだ。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説

目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

多分前世から続いているふたりの追いかけっこ
雨宮里玖
BL
執着ヤバめの美形攻め×絆されノンケ受け
《あらすじ》
高校に入って初日から桐野がやたらと蒼井に迫ってくる。うわ、こいつヤバい奴だ。関わってはいけないと蒼井は逃げる——。
桐野柊(17)高校三年生。風紀委員。芸能人。
蒼井(15)高校一年生。あだ名『アオ』。
幸せな復讐
志生帆 海
BL
お前の結婚式前夜……僕たちは最後の儀式のように身体を重ねた。
明日から別々の人生を歩むことを受け入れたのは、僕の方だった。
だから最後に一生忘れない程、激しく深く抱き合ったことを後悔していない。
でも僕はこれからどうやって生きて行けばいい。
君に捨てられた僕の恋の行方は……
それぞれの新生活を意識して書きました。
よろしくお願いします。
fujossyさんの新生活コンテスト応募作品の転載です。
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

告白ゲームの攻略対象にされたので面倒くさい奴になって嫌われることにした
雨宮里玖
BL
《あらすじ》
昼休みに乃木は、イケメン三人の話に聞き耳を立てていた。そこで「それぞれが最初にぶつかった奴を口説いて告白する。それで一番早く告白オッケーもらえた奴が勝ち」という告白ゲームをする話を聞いた。
その直後、乃木は三人のうちで一番のモテ男・早坂とぶつかってしまった。
その日の放課後から早坂は乃木にぐいぐい近づいてきて——。
早坂(18)モッテモテのイケメン帰国子女。勉強運動なんでもできる。物静か。
乃木(18)普通の高校三年生。
波田野(17)早坂の友人。
蓑島(17)早坂の友人。
石井(18)乃木の友人。
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる