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1章 第2部 街へと二人目

35.5話後編 2週間後③(アイリス視点・エリザベス視点)

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『この度は私の考えと決意を述べるために筆を取った次第です。

陛下や王族の方々のやり方には以前から疑問を抱いておりました。しかし、ストレンス殿が何も言わずに居られるのに、私共が何か言うのは違うと思い、私を含め常識のある上位騎士達は何も言いませんでした。

そんな中でのアイリス王女殿下の婚約破棄、更にはストレンス殿を魔の森に転移させるという暴挙。もう私達は陛下や王家の方々のやり方にはついて行けないと確信しました。

私が最後まで残っていたのは国の為でしたが、その国さえもストレンス殿を批判しました。そんな現状見た私や他の上位騎士達は諦めました。何を諦めたとは言いません。何を諦めたかはそれぞれ違いますから私が語れることでもありません。

しかし、私はこれ以上陛下や王家の方々の命令に従っても、私が目指してきた正義を貫き、悪を砕く、砕けずとも決して悪には屈しない騎士にはなれないと判断しました。

よって誠に勝手ながら、騎士を辞めさせていただきます。陛下は否と仰られましたが、私はストレンス殿の元へと向かい、ストレンス殿に同行出来たら良いと考えています。

それと最後の忠誠の証として、忠告を申し上げます。早急に他国にストレンス殿に起こった全ての事を公表するべきだと進言します。理由は、これまで騎士を辞め城を出ていった騎士達は誰かに聞かれれば、ストレンス殿に起こったことの全てをお話するからです。

元アステート王国近衛騎士騎士団所属エリーシア』

「こ、これは?お父様やお母様のやり方について行けない?」

私が手紙を見終わって困惑すると、エリザベスは私を憐れみの籠もっている目で見ながら言った。

「お父様やお母様、お兄様達は随分とストレンスに頼っていたのですよ。しかも、意識してかは知りませんが、毎回断れないような頼み方をしていましたよ。最近では側近の方達も眉を顰めるほどに頼み事が多くなってきていましたからね。もしかしたら、今回の件で下手をすれば王家が終わるかもしれませんね」

「そ、そんな。わ、私、何も知らなくて」

「えぇ、お姉様は何も知らなかった。何も知らずに、いえ何も知ろうとせずにストレンスに負担を強いて、ストレンスを追放したのですよ、自分勝手に」

「わ、私、どうすれば」

「知りませんよ。例え子供でも自分が取った責任は取る。それが民の血税で生活している貴族、更には王家の義務ですよ。

それとこれも知らないと思うので言っておきます。ストレンスはブラーディト家の正統後継者の勉強をしながら、貴方が思い付きでいつ魔術の修練をしても良いように、お姉様を常に『鷹の目』と『マジックアイ』の合成魔法を使って何時もお姉様を見て居ました。

さらにその見ている都合上、お姉様が危険に合わないように護衛役も兼任されていましたよ。護衛は流石にストレンスだけではありませんでしたが、魔物の討伐や勉強で忙しく寝る暇も無い時も欠かしませんでした。思い当たる節はあるのではないですか?」

そう言ってからエリザベスは部屋を出ていきました。
それを私は呆然と見送りながら、今までの事を思い返していました。

確かに私の婚約者だった頃は私が危ない目に遭うとすぐに手紙で安否を聞いてくるか、直接会って私の無事を確認してきました。
ですが、それがあまりにも早いので、まるで襲われるのが分かっていたかの様に思えて、怖かったです。

しかし、私の婚約者は曲がりなりにも公爵家の子供であり、しかも魔法使いです。
そんな子供をいくら婚約者とはいえ主でもない人間の護衛に付けるなんて、普通はありません。
ですがもし、もしも本当に私の護衛をしていたとしたら、わ、私はなんてことをー



















◇エリザベス第二王女視点

「はぁ~、やっと気が付きましたか。愚鈍なお姉様ですね。もしも私がストレンスの婚約者だったならば、あんな苦労はさせなかったのに、」

私がそう言って爪を噛むと、私の側近の一人が私に言った。

「おい、口調が戻ってるぞ。イメージが崩れるから敬語を基本で行くんだろ?バレるぞ」

「うるさいですよ。そもそも私以外の王家の人間が平凡なのがいけないんですよ。平凡になるくらいならば、無能の方が排除がしやすいのですがね」

「家族を排除とか言っていいのか?」

「いいんですよ。私の家族はの人達だけですから。それよりもストレンスの居場所はわかりましたか?」

私がそう聞くと、側近と私の使い魔達は首を横に振りました。
それを見てから、側近と使い魔達全員に退出するように伝え、私は私の部屋で一人になりました。

「もっと早く、せめて婚約破棄騒動の前に私のが戻ったならば、ストレンスと出来たのに」

私はそう言いながら苦虫を口に入れたような顔をしました。




※1章第2部END&1章END 
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