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1章 第2部 街へと二人目

23話 エリーシアとの会話

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あれからは『トレント』との戦闘で、かなり派手な戦闘音がしていたので、ひとまず拠点にエリーシア殿を連れて帰った。

そして、現在は何時も食事を食べている場所でエリーシア殿と話をしようとしている所だ。

「とりあえずエリーシア殿。このあとの予定をお聞きしたい。

と言っても、今は魔物に有利になりやすい夜なので、明日の朝まではこの拠点に居て頂いて構いません。なので、それ以降の予定をお聞きしたい」

俺がそう質問すると、エリーシア殿が右手を上げて俺を制した。

「少しお待ち下さい、ストレンス殿。私はもう騎士は辞退しました。なので、私の事はエリーシアとお呼びください。それに私よりもストレンス殿の方が強いのですから、呼び捨てでお願いします。言葉も普通にして頂きたいのです」

俺はその言葉に一応騎士としての知識がある者としては頷けなかった。
騎士にはきちんとした階級があり、それは強さだったり、事務処理能力だったり、任務遂行率だったりで決定される。
俺は魔法使いだった事もあり、騎士としての階級自体は高かったというよりも最上位だったが、他の騎士を率いたりする為の社会的な地位は低かった。

逆にエリーシア殿の社会的な地位は俺よりも高く、オールマイティであり、他の者からも信頼されていたのに対して、俺は戦闘しか頭にない脳筋だと思われていた。
なので、俺は騎士としての階級としては自分よりも下であるエリーシア殿に対して敬語や敬称を付け、またエリーシア殿は俺の強さを尊重して敬語や敬称を付けていた。

それを外すのは国に居ないとしても少し抵抗がある。
なので、断ろうと思ったのだが、エリーシア殿はとても真剣な目をして俺を見つめていた。
それを見て、「エリーシア殿の言っている事自体は変な事で無いしな」と言い訳のような事を心の中で呟いてから、提案した。

「分かりました、エリーシア殿。エリーシア殿の言う通りにしましょう。その代わりと言ってはなんですが、私の事も敬称や敬語は無しでお願い出来ませんか?」

俺の提案を聞き、エリーシア殿は頷いた。
そして、エリーシア殿は右手を俺の方に出して握手を求めてきた。

「そ、それではよろしくお願い、ではなくよろしく、ストレンス」

「ああ、よろしく、エリーシア」

そう言って、エリーシアと握手をした。
そして、手を離そうとした所で、エリーシアが手をがっちりと握っている事に気がついた。
暫くしても、手を離してくれなかったので、エリーシアに話しかけた。

「あの、エリーシア?手を離してくれない?」

俺がそう言ってもエリーシアは手を離してくれず、何故だか顔が赤くなっている。
そんなエリーシアに首を傾げていると、アイミナが俺とエリーシアの手を無理矢理離させた。

「ボスの手を握り過ぎなのです!!」

そう言ってアイミナはエリーシアは唸っていた。
そんなアイミナに苦笑いしつつ、少しエリーシアを警戒しながら言った。

「ありがとう、アイミナ。それでエリーシア、この後の予定は?悪いがもしも王国に帰るつもりならば、ただで返すわけにはいかない」

俺がそう質問をした所で、未だに俺と握手していた手を見ていたエリーシアは視線を俺に向けて即答した。

「私は王国には帰るつもりはない。せっかく、ストレンスに会えたし、王国に戻っても私の立場はないしな」

俺はそのエリーシアの言葉に良かったと安堵して、密かに警戒度を一段階下げた。
そんな俺の様子を知ってか知らずか、エリーシアは肩を竦めながら言った。

「出来ればストレンスと行動を共にしたいけど、それが無理そうなら『ダンジョン都市』にでも向かう事になるでしょうね」

「『ダンジョン都市』?」

そういえば前の人生には無かったダンジョンという魔物が生まれやすいが、その一定の場所から出ない場所があるから生まれた都市が『ダンジョン都市』だよな。

「ええ、『ダンジョン都市』は探索者として入れば、国籍証もいらないので」

「国籍証がいらないのか!?」

「ええ、ただ探索者になれば、ダンジョンが暴走した際には強制的に戦わされるけどね」

なるほどな。
ダンジョンが暴走した場合には都市級の魔物までがダンジョンから排出される。
そんな普通なら絶望しかない状況でも、俺やアイミナみたいな魔法使いなら問題は少ないな。
そしたら、『ダンジョン都市』に行くのもありだな。
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