18 / 69
1章 第1部 追放と一人目
15話 金色の『ハイ・フォレストウルフ』②
しおりを挟む
俺はいくら『ハイ・フォレストウルフ』でも、奥にいる魔物に無傷で勝てるとかおかしいだろと思った。
魔物は大まかには5つの強さの部類に分けられる。
下から単独級→部隊級→都市級→国家級→神話級の5つに分けられ、大体どれだけの人間が集まれば倒せるかによって分けられている。
神話級や国家級なんかは過去の記録があるために存在しているだけで、今は殆ど使われない。
それに、この5つの級の中でも優劣があるから一概に同じ級の魔物が同格とは言えないが。
そして王は、王と同じ種類魔物の級から1つ級が上げられる。
そして、この魔の森深部で確認されているのは都市級の魔物ばかりで、その魔物達がお互いに倒し合っているから町に溢れてこないだけだ。
そんな都市級の奴らがうじゃうじゃといる場所に、元の部類は単独級の『フォレストウルフ』の王が行って、倒せるのはまあ理解できなくはない。
だが、容姿が『フォレストウルフ』と言っても、こいつは王なので普通の『フォレストウルフ』で油断するだろうとはいえ、無傷はありえないし、この級には超えられない壁があるので1つ上の魔物を倒せる訳はない。
つまり、この金色の『ハイ・フォレストウルフ』は最低で都市級の魔物という事になる。
そんな事実に俺が密かに戦慄していると、『ハイ・フォレストウルフ』が首を傾げた。
「ウォン?ウォ、ウォン!?ウォン、ウォンウォンウォン!!」
俺はその言葉を聞いて正気に戻って『ハイ・フォレストウルフ』を呼び止めた。
「あ、おい待て!!その体で行く気か!?俺の子分になるなんて諦めた方が早いだろうが!?」
俺がそういうと、『ハイ・フォレストウルフ』はすぐさま否定した。
「ウォン!!ウォンウォン!!ウォンウォン!!」
「私を見てくれる?何を言ってるんだ?」
俺がそう聞くと、今まで尻尾を振っている姿を幻想しそうなほどに興奮していた『ハイ・フォレストウルフ』は、落ちんこんだように耳を垂れ下げながら言った。
「ウォン、ウォンウォン。ウォン、ウォンウォン、ウォンウォン。
ウォンウォン。ウォンウォン、ウォンウォン。ウォンウォン、ウォン。
ウォン、ウォン!!ウォン、ウォンウォン!!」
俺はそれを聞いて固まってしまった。
俺は1人がきついのは知っている。
今回の人生では俺の家柄と立場があり敵ばかりだったが、味方も数は少ないが頼りがいのある人間は居た。
しかし、前の人生は違う。
前の人生で俺は親がいない孤児だった。
俺を受けて入れてくれた孤児院も、俺が魔法使いだと分かるとすぐに国に売ったし、国の中枢の貴族は俺が嫌いで誰も味方は居なかった。
そんな中で俺を見つけて、仲間にしてくれた傭兵団のみんなには感謝しているし、俺が未だに人間を嫌いになりきれないのは彼らのお陰だ。
きっと目の前の『ハイ・フォレストウルフ』はそんな人間、いやそんな狼が居なかったのだろう。
仲間だと認められなくとも、必死に認められようと努力して強くなったが、それも俺に負けた事で無駄になった、というわけか。
そう考えてしまうと、正直目の前の『ハイ・フォレストウルフ』を見捨てられなくなってしまった。
だから俺は目の前の『ハイ・フォレストウルフ』に言った。
「いいか、よく聞けよ。俺は仲間や友人、家族は作っても、子分は作らない。まあ、子分は何かよく分からないしな。
だからお前は今日から俺の家族だ。家族と言っても義兄弟みたいなものだ。今から俺はお前が俺を裏切らない限り、俺からお前を裏切らないし傷つけないし、勝手に死ぬことは許さいないし、お前を守る努力をしよう。
だから、お前も俺を裏切るな。そして、俺を傷つけず、俺を守る努力しろ。それが出来るなら、今から俺はこれからずっとお前と一緒に居てやる」
俺がそういうと、『ハイ・フォレストウルフ』は目を見開いて俺を信じられないものを見る目をしてしていった。
「ウォン?」
「ああ、ずっと一緒だ」
「ウォン?」
「ああ、ずっと一緒だ」
「ウォン?」
「ああ、ずっと一緒だ」
「ウォン?」
「ああ、ずっと一緒だ」
「ウォン?」
「あ~、それは同時に死ぬか分からないからなんとも言えないが、俺とお前が死んだあとなら一緒に居てやる。
というか、質問が多いぞ。それで返答は?」
「ヴォン」
『ハイ・フォレストウルフ』は途中から流していた涙で酷い顔になりながらも笑い、そう言った。
魔物は大まかには5つの強さの部類に分けられる。
下から単独級→部隊級→都市級→国家級→神話級の5つに分けられ、大体どれだけの人間が集まれば倒せるかによって分けられている。
神話級や国家級なんかは過去の記録があるために存在しているだけで、今は殆ど使われない。
それに、この5つの級の中でも優劣があるから一概に同じ級の魔物が同格とは言えないが。
そして王は、王と同じ種類魔物の級から1つ級が上げられる。
そして、この魔の森深部で確認されているのは都市級の魔物ばかりで、その魔物達がお互いに倒し合っているから町に溢れてこないだけだ。
そんな都市級の奴らがうじゃうじゃといる場所に、元の部類は単独級の『フォレストウルフ』の王が行って、倒せるのはまあ理解できなくはない。
だが、容姿が『フォレストウルフ』と言っても、こいつは王なので普通の『フォレストウルフ』で油断するだろうとはいえ、無傷はありえないし、この級には超えられない壁があるので1つ上の魔物を倒せる訳はない。
つまり、この金色の『ハイ・フォレストウルフ』は最低で都市級の魔物という事になる。
そんな事実に俺が密かに戦慄していると、『ハイ・フォレストウルフ』が首を傾げた。
「ウォン?ウォ、ウォン!?ウォン、ウォンウォンウォン!!」
俺はその言葉を聞いて正気に戻って『ハイ・フォレストウルフ』を呼び止めた。
「あ、おい待て!!その体で行く気か!?俺の子分になるなんて諦めた方が早いだろうが!?」
俺がそういうと、『ハイ・フォレストウルフ』はすぐさま否定した。
「ウォン!!ウォンウォン!!ウォンウォン!!」
「私を見てくれる?何を言ってるんだ?」
俺がそう聞くと、今まで尻尾を振っている姿を幻想しそうなほどに興奮していた『ハイ・フォレストウルフ』は、落ちんこんだように耳を垂れ下げながら言った。
「ウォン、ウォンウォン。ウォン、ウォンウォン、ウォンウォン。
ウォンウォン。ウォンウォン、ウォンウォン。ウォンウォン、ウォン。
ウォン、ウォン!!ウォン、ウォンウォン!!」
俺はそれを聞いて固まってしまった。
俺は1人がきついのは知っている。
今回の人生では俺の家柄と立場があり敵ばかりだったが、味方も数は少ないが頼りがいのある人間は居た。
しかし、前の人生は違う。
前の人生で俺は親がいない孤児だった。
俺を受けて入れてくれた孤児院も、俺が魔法使いだと分かるとすぐに国に売ったし、国の中枢の貴族は俺が嫌いで誰も味方は居なかった。
そんな中で俺を見つけて、仲間にしてくれた傭兵団のみんなには感謝しているし、俺が未だに人間を嫌いになりきれないのは彼らのお陰だ。
きっと目の前の『ハイ・フォレストウルフ』はそんな人間、いやそんな狼が居なかったのだろう。
仲間だと認められなくとも、必死に認められようと努力して強くなったが、それも俺に負けた事で無駄になった、というわけか。
そう考えてしまうと、正直目の前の『ハイ・フォレストウルフ』を見捨てられなくなってしまった。
だから俺は目の前の『ハイ・フォレストウルフ』に言った。
「いいか、よく聞けよ。俺は仲間や友人、家族は作っても、子分は作らない。まあ、子分は何かよく分からないしな。
だからお前は今日から俺の家族だ。家族と言っても義兄弟みたいなものだ。今から俺はお前が俺を裏切らない限り、俺からお前を裏切らないし傷つけないし、勝手に死ぬことは許さいないし、お前を守る努力をしよう。
だから、お前も俺を裏切るな。そして、俺を傷つけず、俺を守る努力しろ。それが出来るなら、今から俺はこれからずっとお前と一緒に居てやる」
俺がそういうと、『ハイ・フォレストウルフ』は目を見開いて俺を信じられないものを見る目をしてしていった。
「ウォン?」
「ああ、ずっと一緒だ」
「ウォン?」
「ああ、ずっと一緒だ」
「ウォン?」
「ああ、ずっと一緒だ」
「ウォン?」
「ああ、ずっと一緒だ」
「ウォン?」
「あ~、それは同時に死ぬか分からないからなんとも言えないが、俺とお前が死んだあとなら一緒に居てやる。
というか、質問が多いぞ。それで返答は?」
「ヴォン」
『ハイ・フォレストウルフ』は途中から流していた涙で酷い顔になりながらも笑い、そう言った。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
リアナ2 繁殖の春と不死者(しなず)の王
西フロイデ
ファンタジー
竜の国オンブリアは、繁殖期と呼ばれる社交シーズンの真っただ中。王となったばかりのリアナは恋人デイミオンの「繁殖期の務め」に苦しむ。一方、大戦の英雄でありながら〈ハートレス〉としての差別を受けるフィルとの距離も急接近。竜族を捕食する半死者たちや、竜殺しの武器を持つ人間の王が出現し、王国の運命にも暗雲が立ち込める。竜族の王としてリアナが下す決断は? 恋の行方はどうなる?
■1部に比べると恋愛描写が多めですので、苦手な方はご注意を。R15程度の性描写あり
(第一部はこちら)
「リアナ1 王冠の竜騎手と心臓のない英雄」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/518840219/130401936
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
【R18】スライムにマッサージされて絶頂しまくる女の話
白木 白亜
ファンタジー
突如として異世界転移した日本の大学生、タツシ。
世界にとって致命的な抜け穴を見つけ、召喚士としてあっけなく魔王を倒してしまう。
その後、一緒に旅をしたスライムと共に、マッサージ店を開くことにした。卑猥な目的で。
裏があるとも知れず、王都一番の人気になるマッサージ店「スライム・リフレ」。スライムを巧みに操って体のツボを押し、角質を取り、リフレッシュもできる。
だがそこは三度の飯よりも少女が絶頂している瞬間を見るのが大好きなタツシが経営する店。
そんな店では、膣に媚薬100%の粘液を注入され、美少女たちが「気持ちよくなって」いる!!!
感想大歓迎です!
※1グロは一切ありません。登場人物が圧倒的な不幸になることも(たぶん)ありません。今日も王都は平和です。異種姦というよりは、スライムは主人公の補助ツールとして扱われます。そっち方面を期待していた方はすみません。
エーリュシオンでお取りよせ?
ミスター愛妻
ファンタジー
ある男が寿命を迎え死んだ。
と、輪廻のまえに信心していた聖天様に呼び出された。
話とは、解脱できないので六道輪廻に入ることになるが、『名をはばかる方』の御指図で、異世界に転移できるというのだ。
TSと引き換えに不老不死、絶対不可侵の加護の上に、『お取り寄せ能力』という変な能力までいただいた主人公。
納得して転移した異世界は……
のんびりと憧れの『心静かな日々』を送るはずが……
気が付けば異世界で通販生活、まんざらでもない日々だが……『心静かな日々』はどうなるのか……こんなことでは聖天様に怒られそう……
本作は作者が別の表題で公開していた物を、追加修正させていただいたものです。その為に作品名もそぐわなくなり、今回『エーリュシオンでお取りよせ?』といたしました。
作者の前作である『惑星エラムシリーズ』を踏まえておりますので、かなり似たようなところがあります。
前作はストーリーを重視しておりますが、これについては単なる異世界漫遊記、主人公はのほほんと日々を送る予定? です。
なにも考えず、筆に任せて書いております上に、作者は文章力も皆無です、句読点さえ定かではありません、作者、とてもメンタルが弱いのでそのあたりのご批判はご勘弁くださいね。
本作は随所に意味の無い蘊蓄や説明があります。かなりのヒンシュクを受けましたが、そのあたりの部分は読み飛ばしていただければ幸いです。
表紙はゲルダ・ヴィークナー 手で刺繍したフリル付のカーバディーンドレス
パブリックドメインの物です。
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
鉱石令嬢~没落した悪役令嬢が炭鉱で一山当てるまでのお話~
甘味亭太丸
ファンタジー
石マニアをこじらせて鉱業系の会社に勤めていたアラサー研究員の末野いすずはふと気が付くと、暇つぶしでやっていたアプリ乙女ゲームの悪役令嬢マヘリアになっていた。しかも目覚めたタイミングは婚約解消。最悪なタイミングでの目覚め、もはや御家の没落は回避できない。このままでは破滅まっしぐら。何とか逃げ出したいすずがたどり着いたのは最底辺の墓場と揶揄される炭鉱。
彼女は前世の知識を元に、何より生き抜くために鉱山を掘り進め、鉄を作るのである。
これは生き残る為に山を掘る悪役令嬢の物語。
死んだと思ったら異世界に
トワイライト
ファンタジー
18歳の時、世界初のVRMMOゲーム『ユグドラシルオンライン』を始めた事がきっかけで二つの世界を救った主人公、五十嵐祐也は一緒にゲームをプレイした仲間達と幸せな日々を過ごし…そして死んだ。
祐也は家族や親戚に看取られ、走馬灯の様に流れる人生を振り替える。
だが、死んだはず祐也は草原で目を覚ました。
そして自分の姿を確認するとソコにはユグドラシルオンラインでの装備をつけている自分の姿があった。
その後、なんと体は若返り、ゲーム時代のステータス、装備、アイテム等を引き継いだ状態で異世界に来たことが判明する。
20年間プレイし続けたゲームのステータスや道具などを持った状態で異世界に来てしまった祐也は異世界で何をするのか。
「取り敢えず、この世界を楽しもうか」
この作品は自分が以前に書いたユグドラシルオンラインの続編です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる