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1章 第1部 追放と一人目

12話 VS『フォレストウルフ』の群れ①

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そんな訳で、恐らくは成長途中であろう王と魔物の群れに『サーチ』を使ってしまった俺は、半日前から拠点の中から頑張って魔物を撃退しながら、顔を顰めていた。

「数が中々減らない。これは王が指示を出しているのか?」

今回襲ってきた魔物は全てフォレストウルフだったのだが、その『フォレストウルフ』の王が厄介過ぎた。
今回の『フォレストウルフ』の王は、大きさこそ他の『フォレストウルフ』の大きさよりも少し小さいくらいだが、色が普通の『フォレストウルフ』の緑ではなく金色だった。
因みに『フォレストウルフ』の王は以前にも確認されており、その時は黒色の『フォレストウルフ』だったらしい。

そんな金色の『フォレストウルフ』の王のせいで凄く厄介な事になっている。
基本的に魔物は人や普通の動物を殺して喰うことを優先するので、相手取っている魔物が一体だけであり相手を一撃で倒せる威力の攻撃力を持っていれば簡単に魔物を倒せる。

しかし、今回の『フォレストウルフ』達は俺の魔法の攻撃に対して避けるという事を行い、『フォレストウルフ』毎に連携を取っている。
その上で厄介なことに『フォレストウルフ』約100体が四方に散らばって、均等に襲ってきている。

作っていた血剣(今後、ただの剣と呼ぶのは語弊が起こる可能性もあるので、俺が血の魔法で作った物には前に『血』という単語を入れることにした)は11本なので4面中3面に3本、一番意識を向けやすい正面だけ2本で対応しつつ、隙をついて他の魔法を使って効率的に仕留めようとしているのだが、尽く失敗している。
一応、相手に見せるのが初見の魔法は対応しきれずに魔物を倒せるときもあるが、それでも次は大体対応される。

そんな事を可能にしているのは、確実にこいつらの王である『フォレストウルフ』だろう。
王である『フォレストウルフ』を便宜上、『ハイ・フォレストウルフ』と呼ぶことにして、俺が血剣以外の魔法を使おうとするときには、『ハイ・フォレストウルフ』が遠吠え様なものをし、『フォレストウルフ』達に指示を出しているのだ。

『フォレストウルフ』は魔物の仲では弱い部類になるので、俺ならば魔力が続く限り討伐し続けることが可能であり、『フォレストウルフ』相手なら1日中戦っても魔力の4分の1は残る筈なのだが、まだ80体くらいは残って居そうな数が居るのに、既に魔力が半分しかない。
しかも、この王はかなり賢いのか倒せている個体は、成体になっているかどうかくらいの個体であり、長く生き残り力と知恵を付けているだろう『フォレストウルフ』は愚か、成体に成りたての『フォレストウルフ』だろうと足を止めずに、こちらの観察をしている。

そのために拠点を使った長期戦を想定していた俺は、かなりの苦戦を強いられていた。
一応、俺が使った拠点は防壁として機能しているし、『フォレストウルフ』の攻撃は網目状土壁に阻まれて、こちらに届かない。
だが、体に傷跡が付いていて如何にも長く生きている『フォレストウルフ』の攻撃には、土壁が削られて行っている。
因みに古参だろう『フォレストウルフ』に削られたら、すぐに土壁を補強しているのも魔力が、かなり減っているのに1役買っているだろう。

そんな苦境の中、ようやく俺の苦労が実を結んだ。
そう、少しづつだが倒せていた魔物達の血に俺の血を『浸血』で染み込ませていた血が、王だろう個体の足ともに到達したのだ。
俺は確認すると、笑みを浮かべ魔法を発動させた。

「『針血しんけつ』!!」

『針血』とは基本的には使えない地面にと接触してしまった血を媒体として、地面に触れた血がある場所から、なんの指定もしなければ人間の胴の太さほどある特大の針を五本出して敵を倒す魔法だ。
この魔法は中々に威力があるだけでなく、しっかりとイメージして発動させれば針を一本まで少なくする事も可能であり、更に針の本数が少ないほどに威力が上がるので中々に重宝する魔法だ。

ただ、欠点としては地面に接触した血しか使えないので、『針血』を発動させた血は今の所地面と接触した血が使える魔法が他に無いので、『針血』以外には使えないし、空中に居る敵には当てることが難しい。
更に相手に不自然に見えないように相手の足元に血を移動させなければならないし、一度見せると警戒されるので下手な使い方は出来ない。

ただ今回はかなり上手く行ったし、確実に仕留めるために腹の辺りから貫通して、最後には頭も貫通する様に『針血』を発動させた。
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