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最終話
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最後に、一番肝心な『天使』様について。
まず辺境の『天使』様は、ギルとお義父様の血にお力を溜めているし、『教会』も再建中なので問題は無し。
次に王都の『天使』様は、暫くはお力を溜めるために出てこれないとの事。
ただ、それは王太子殿下や王妃様、公爵にも話は通しているらしい。
更に言えば、『天使』様がお力が足りないのだと理解させる為に、『天使』様よりも実力があるように振る舞ったのだと言う。
そこまですれば、事の深刻さに気付き、残りの対策は王家や自領の『天使』様もお力が足りないらしい公爵がなんとかするだろうとの事。
ここまで聞いて、私はようやくギルが『天使』様と戦う前に『結界』を使用した意味を理解した。
因みにギルは、『公爵家は辺境から抜けてこられた魔物に、かなりの被害を受けたのでギリギリ復興は出来るだろう程度に搾り取った』と楽しそうに笑っていた。
私はそこまで聞いて成る程と思った。
しかし、ギルがお父様に向かって提案した事に疑問に思った。
「実は婚姻式を早めたいと思っているのですが、どうでしょうか?
具体的には1ヶ月後にでも」
「1ヶ月後?
確かに学園在学中に婚姻する貴族も珍しくはないが、マリーも暫くすれば卒業する。
元々の婚姻式が卒業から半年を置いて居ることを考えても、早める必要はあまり感じないが、どうしてだい?」
「実は『対魔教会』の武闘派の大司教達から連名で、おかしな要請が来てまして」
「おかしな要請?
どのような内容かな?」
「要約すれば、相手は誰でも良いから『対魔教会』の人間と子供を作って欲しいとの要請が」
「「はぁ!?」」
ギルの頭の痛そうな表情に対して、私とお父様は目を見開いて驚いた。
以前述べた通りに『対魔教会』は武闘派と平和派で分かれているものの、分かりやすく表現するなら武闘派が頭が硬い方が多く、平和派が不正でもバレなければやり放題なのだ。
それなのに、頭が硬い方が多い武闘派の大司教が連名で、婚約者との婚姻が近い人間に、浮気に近しい事を要請するなんて、あり得ない。
しかし、そのあり得ない事がギルの身に起こっているのだという。
ギルは事細かに説明をしてくれた。
「流石に、武闘派の方々からの要請だったので、きちんとお断りしています。
おそらく、『天使』様のお力の器となった人間の子供が欲しい、もしくはその人間から寵愛を受けた人間が欲しかったのでしょう。
一応、話が分からない方々ではないので、大丈夫とは思いますが、マリーの卒業から半年待つのは過激派を刺激してしまうかもしれません」
「ふむ、なるほど。
確かに、そういう事情ならば悠長にしているのは愚策となってしまうか。
分かった。
ナーフ伯爵家の当主としては許可しよう。
しかし、それは貴族家の当主としての判断だ。
これだけ言えば、分かってくれるね?」
「もちろんです。
伯爵から許可を頂けるだけで、こちらとしては有り難い事ですから。
それと申し訳ありませんが、マリーと二人きりにして頂いてもよろしいですか?」
「ん、なるほど。
君は、いや辺境伯家はそういう方々だったね。
今回の件に関する話も終わった所だし、私は席を外すとしよう」
お父様はそれだけ言うと、本当に部屋を出ていってしまった。
それに戸惑っていると、ギルが私の前で膝をついた。
「マリー、事情は先に話してしまった上でお願いするのは卑怯だと分かっている。
それに女性に対して、婚姻の準備を急がせるというのは大変無礼だし、婚姻式の準備をしているマリーの楽しみを奪うお願いだという事も分かっている。
けれど、もし許してくれるなら1ヶ月後に俺と家族に、俺に君を妻と呼べる関係になってくれないだろうか」
ギルは緊張した面持ちで、私にそう質問してきた。
私の頭の中では、これまでの色々な出来事が浮かんでは消えていった。
そんな中で、これまでのギルと、今のギルの様子が少しだけ違う事に気がついた。
だからこそ、私はギルに返答ではなく、質問で返した。
「ねえ、ギル。
もしかして武闘派に女性でも送られたの?」
「は、え?
知ってたのか?」
私の質問にギルは驚きで、少しだけ目を見開いた。
それを見て、ギルに女性が送られた事を確信し、私はその事実に不機嫌になった。
そして、その不機嫌なままにギルを問い詰めた。
「ギル?」
「いやいや、待ってくれ。
確かに武闘派から女性は送られて来た。
だけど、その女性に対応したのは俺ではないし、俺からもその女性に対して丁重に断りも入れた。
それから、すぐにその女性は帰ったし、その後から送られて来た女性にも同じ対応をしている」
私はギルの言動を見て、その言葉に嘘はないと判断できた。
でも、まだ何かを隠したい様な雰囲気が感じられたからこそ、私は再び問い詰めた。
「それだけじゃないでしょ?」
「うっ、いや、でも」
「ギル?」
「はぁ~、分かった、全て話すよ。
確かに、武闘派から正式に送られて来た女性は勘違いのないように良い含めてから、お帰り頂いた。
ただ武闘派の中にも過激派は居て、その過激派が俺に夜這いを仕掛けてきたんだ」
「は、え、過激派に?
えっと、まさかギル、男に襲われたの?」
「流石に、それは無い。
来たのは全員女性だったよ。
ただ、何回か既成事実を作られそうな、危ない場面があったから、夜通しで護衛が付くことになったんだ。
それには父も、母もかなり頭に来ていて、特に母には『マリーと婚姻するまで寝るな』とか言われる始末でね。
父は母を止めてくれたが、父もマリーと早期に婚姻するのには賛成で、『いっその事、もう結婚してしまえ』と言われてしまったんだ。
それは悪くない案だと、話している時には思ったし、王都の道中でも思っていた。
ただ、『教会』に到着する直前に、マリーにとても失礼だという事実に思い当たったんだ。
だから、せめて俺の気持ちだけで納得してくれない時は、無理を言って護衛を増やそうと思って、詳しくは言わなかった。
だから、その、すまない。
1ヶ月後の婚姻式の件は忘れてくれ」
ギルは小さく縮こまって、私から離れようと立ち上がった。
しかし、私はそんなギルを逃さないように、ギルの手を握った。
「あら、別に忘れる必要はないわ。
確かに婚姻式の準備が大幅に短くなった事は少し残念だけど、私だってギルの事は好きよ?
だからこそ、ギルの一番は私が欲しいし、ギルの一番を狙っている武闘派は嫌い。
だから、1つだけお願いを聞いてくれるなら、1ヶ月後に婚姻式をしましょう?」
「お願い?」
「ええ、私を末永く愛してほしいの」
ギルは、私の言葉に呆気に取られた顔をしてから、小さく笑顔を漏らした。
それからギルは私に近づき、私にキスをしてくれた。
【婚姻の祝福は『天使』様によって:END】
まず辺境の『天使』様は、ギルとお義父様の血にお力を溜めているし、『教会』も再建中なので問題は無し。
次に王都の『天使』様は、暫くはお力を溜めるために出てこれないとの事。
ただ、それは王太子殿下や王妃様、公爵にも話は通しているらしい。
更に言えば、『天使』様がお力が足りないのだと理解させる為に、『天使』様よりも実力があるように振る舞ったのだと言う。
そこまですれば、事の深刻さに気付き、残りの対策は王家や自領の『天使』様もお力が足りないらしい公爵がなんとかするだろうとの事。
ここまで聞いて、私はようやくギルが『天使』様と戦う前に『結界』を使用した意味を理解した。
因みにギルは、『公爵家は辺境から抜けてこられた魔物に、かなりの被害を受けたのでギリギリ復興は出来るだろう程度に搾り取った』と楽しそうに笑っていた。
私はそこまで聞いて成る程と思った。
しかし、ギルがお父様に向かって提案した事に疑問に思った。
「実は婚姻式を早めたいと思っているのですが、どうでしょうか?
具体的には1ヶ月後にでも」
「1ヶ月後?
確かに学園在学中に婚姻する貴族も珍しくはないが、マリーも暫くすれば卒業する。
元々の婚姻式が卒業から半年を置いて居ることを考えても、早める必要はあまり感じないが、どうしてだい?」
「実は『対魔教会』の武闘派の大司教達から連名で、おかしな要請が来てまして」
「おかしな要請?
どのような内容かな?」
「要約すれば、相手は誰でも良いから『対魔教会』の人間と子供を作って欲しいとの要請が」
「「はぁ!?」」
ギルの頭の痛そうな表情に対して、私とお父様は目を見開いて驚いた。
以前述べた通りに『対魔教会』は武闘派と平和派で分かれているものの、分かりやすく表現するなら武闘派が頭が硬い方が多く、平和派が不正でもバレなければやり放題なのだ。
それなのに、頭が硬い方が多い武闘派の大司教が連名で、婚約者との婚姻が近い人間に、浮気に近しい事を要請するなんて、あり得ない。
しかし、そのあり得ない事がギルの身に起こっているのだという。
ギルは事細かに説明をしてくれた。
「流石に、武闘派の方々からの要請だったので、きちんとお断りしています。
おそらく、『天使』様のお力の器となった人間の子供が欲しい、もしくはその人間から寵愛を受けた人間が欲しかったのでしょう。
一応、話が分からない方々ではないので、大丈夫とは思いますが、マリーの卒業から半年待つのは過激派を刺激してしまうかもしれません」
「ふむ、なるほど。
確かに、そういう事情ならば悠長にしているのは愚策となってしまうか。
分かった。
ナーフ伯爵家の当主としては許可しよう。
しかし、それは貴族家の当主としての判断だ。
これだけ言えば、分かってくれるね?」
「もちろんです。
伯爵から許可を頂けるだけで、こちらとしては有り難い事ですから。
それと申し訳ありませんが、マリーと二人きりにして頂いてもよろしいですか?」
「ん、なるほど。
君は、いや辺境伯家はそういう方々だったね。
今回の件に関する話も終わった所だし、私は席を外すとしよう」
お父様はそれだけ言うと、本当に部屋を出ていってしまった。
それに戸惑っていると、ギルが私の前で膝をついた。
「マリー、事情は先に話してしまった上でお願いするのは卑怯だと分かっている。
それに女性に対して、婚姻の準備を急がせるというのは大変無礼だし、婚姻式の準備をしているマリーの楽しみを奪うお願いだという事も分かっている。
けれど、もし許してくれるなら1ヶ月後に俺と家族に、俺に君を妻と呼べる関係になってくれないだろうか」
ギルは緊張した面持ちで、私にそう質問してきた。
私の頭の中では、これまでの色々な出来事が浮かんでは消えていった。
そんな中で、これまでのギルと、今のギルの様子が少しだけ違う事に気がついた。
だからこそ、私はギルに返答ではなく、質問で返した。
「ねえ、ギル。
もしかして武闘派に女性でも送られたの?」
「は、え?
知ってたのか?」
私の質問にギルは驚きで、少しだけ目を見開いた。
それを見て、ギルに女性が送られた事を確信し、私はその事実に不機嫌になった。
そして、その不機嫌なままにギルを問い詰めた。
「ギル?」
「いやいや、待ってくれ。
確かに武闘派から女性は送られて来た。
だけど、その女性に対応したのは俺ではないし、俺からもその女性に対して丁重に断りも入れた。
それから、すぐにその女性は帰ったし、その後から送られて来た女性にも同じ対応をしている」
私はギルの言動を見て、その言葉に嘘はないと判断できた。
でも、まだ何かを隠したい様な雰囲気が感じられたからこそ、私は再び問い詰めた。
「それだけじゃないでしょ?」
「うっ、いや、でも」
「ギル?」
「はぁ~、分かった、全て話すよ。
確かに、武闘派から正式に送られて来た女性は勘違いのないように良い含めてから、お帰り頂いた。
ただ武闘派の中にも過激派は居て、その過激派が俺に夜這いを仕掛けてきたんだ」
「は、え、過激派に?
えっと、まさかギル、男に襲われたの?」
「流石に、それは無い。
来たのは全員女性だったよ。
ただ、何回か既成事実を作られそうな、危ない場面があったから、夜通しで護衛が付くことになったんだ。
それには父も、母もかなり頭に来ていて、特に母には『マリーと婚姻するまで寝るな』とか言われる始末でね。
父は母を止めてくれたが、父もマリーと早期に婚姻するのには賛成で、『いっその事、もう結婚してしまえ』と言われてしまったんだ。
それは悪くない案だと、話している時には思ったし、王都の道中でも思っていた。
ただ、『教会』に到着する直前に、マリーにとても失礼だという事実に思い当たったんだ。
だから、せめて俺の気持ちだけで納得してくれない時は、無理を言って護衛を増やそうと思って、詳しくは言わなかった。
だから、その、すまない。
1ヶ月後の婚姻式の件は忘れてくれ」
ギルは小さく縮こまって、私から離れようと立ち上がった。
しかし、私はそんなギルを逃さないように、ギルの手を握った。
「あら、別に忘れる必要はないわ。
確かに婚姻式の準備が大幅に短くなった事は少し残念だけど、私だってギルの事は好きよ?
だからこそ、ギルの一番は私が欲しいし、ギルの一番を狙っている武闘派は嫌い。
だから、1つだけお願いを聞いてくれるなら、1ヶ月後に婚姻式をしましょう?」
「お願い?」
「ええ、私を末永く愛してほしいの」
ギルは、私の言葉に呆気に取られた顔をしてから、小さく笑顔を漏らした。
それからギルは私に近づき、私にキスをしてくれた。
【婚姻の祝福は『天使』様によって:END】
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