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8話
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ギルは私を手招きすると同時に、私達を覆っていた『結界』を消した。
それを見て、私はギルの方へと歩いた。
ギルは私に手が届く距離に来ると、私の手を取って謝ってきた。
「助けに来るのが遅くなって、ごめんね。
本当なら、すぐにでも駆け付けたかったんだけど、父も、俺も1人で『結界』を長時間安定させるまでに時間が掛かってしまったんだ」
「遅くなってなんかないわよ。
でも、その姿は大丈夫なの?」
「え?
ああ、『顕現』の事か。
髪色とか、力の質が変わってしまうけど、人としての機能は変わらないらしいから大丈夫だよ」
「そう、なのね。
良かった」
私の言葉を聞くと、ギルは微笑んだ。
そんなギルは『天使』様の方へと振り返り、『天使』様に言った。
「『天使』様、どうか婚姻の祝福を頂けないでしょうか」
ギルの言葉に、『天使』様は頷いて、私とギルに左手を向けた
『汝らが共に歩む生に、神の祝福があらんことを』
『天使』様は、私達に祝福の言葉を下さると同時に、足元から砂になるように消えてしまった。
そして、それと同時に『教会』のあちこちにヒビが走った。
それを見て、ギルは舌打ちをすると同時に叫んだ。
「全員『教会』の外へ急げ!!
この『教会』は倒壊する!!」
叫んだ後、ギルは私をお姫様抱っこで抱えて、急いで『教会』から出た。
それを見ていた全員がギルの必死さに引っ張られて、『教会』から出た。
外から見た『教会』は中よりも多くのヒビが入っており、ギルが崩壊すると言っているのも理解できた。
全員が外に出た時点で、流石に倒壊まではしなかったものの、ここで何か衝撃が加われば倒壊しそうだと思えた。
そんな『教会』の様子に、私達は無事に『教会』から出れた事に安堵した。
「まさか『天使』様が、おそこまで消耗していたとは。
少し予想外だったな」
ギルが漏らした言葉に驚いて、私は質問した。
「『天使』様が消耗って、大丈夫なの?
『天使』様は崩れるように消えてしまったように見えたけど」
「ああ、大丈夫な筈だよ。
うちの領地の『天使』様から聞いたけど、『天使』様は不滅らしい。
だからこそ、人々からの祈りの力が集まれば、またすぐにでも『顕現』出来るらしい。
特に、今回は『天使』様の器は壊れていないからね。
祈りの力が溜まれば、『結界』や『顕現』も使ってくださると思うよ」
「『結界』も?
という事は、もしかして王都の『結界』は?」
「ああ、今何かしらの勢力が王都に攻めてきたら、不味いだろうね」
「不味いだろうねって、どうするの?」
「別にどうもしないさ。
ほら、あそこ見て」
ギルはある方向に視線を向けた。
それを受けて、私もギルが視線を向けている方向に目を向けた。
すると、そこにはこの場に居る事に驚きを覚える方々がいらっしゃった。
「あれは王太子殿下に、王妃様、それに前公爵?」
「ああ、国王陛下と公爵を止める為に来て頂いたが、どうやら今後の国をお任せする為に来て頂いた、という事になりそうだな」
私はギルの言葉で、ある程度の事情を理解した。
その為に、他の人には悟られないように驚いていた。
そんな時、隣に立っていたギルが突然地面に崩れ落ちた。
それに驚いて、私は悲鳴に近い声を上げてしまった。
「ギル!?
どうしたの、大丈夫!?」
ギルに声をかけたけれど、気絶こそしていなかったものの、かなり悪い顔色をしていた。
その為に許可を得て、急いでギルをナーフ伯爵邸に連れ帰った。
◇
急いで連れ帰ったギルは、伯爵邸に到着するまでに気絶したものの、翌日のお昼頃に目覚めた。
お父様は昨日から王城で今後の協議を、私はギルの看病をしていたので、丁度目覚めたギルと一緒に昼食を取ることになった。
そして、昼食を取り終わった後、ギルから説明があった。
まず辺境の『教会』を崩壊させた方が相手について。
流石にゴロツキでは無かったものの、即座に自害する程の一流でも無かったのだという。
また、『天使』様が直々に取り調べに参加したので、すぐさま知っている事を全て話たらしい。
そして、『教会』を崩壊させる為に依頼した人物は公爵だと判明した。
これに辺境伯家に所属している人間全員が激怒し、公爵家と敵対を表明。
唯一、比較的冷静だった辺境伯夫人が前公爵と夫人に連絡し、事実関係を確認させたらしい。
そして、事実として確認出来た為に、前公爵と夫人は辺境伯家に全面的に謝罪と今回の件で協力を惜しまない事を確約。
次に『天使』様の器について。
『天使』様の器は、その土地に根付いた物である事、人々の祈りが捧げられる物である事の2つが重要なのだとか。
そして、その2つの条件を満たしていたのが、辺境伯家の血。
つまり、『天使』様の器は辺境伯家に流れる血となっており、ギルとお義父様は『天使』様に許可を得る形で『結界』や『顕現』を使えるようになったのだという。
しかし、『天使』様のお力を使うには体にも、精神にも相応の負荷が掛かるらしく、昨日のように倒れてしまうのだとか。
次に今回の件の落とし所について。
これは昨日、私がある程度推測した通りにだった。
まず公爵は交代、平民の愛人と共に隠居という形で領地にある公爵邸の地下牢で生涯監禁。
因みに『天使』様まで利用して、私と結婚しようとしたのは、愛人と誰にも憚れる事無く愛し合う為だったとか。
また、公爵の監禁によって空席になった公爵は、一時的に前公爵が埋めて、後から養子を取るとの事。
次に『対魔教会』の大司教と大司教に従った神殿騎士達は、全員破門。
これは表向きには「『天使』様を私的に利用しようとした」となっている。
しかし、実際には王都の『天使』をお力が使えない状態にした為だ。
ギルの話からすると、『天使』様がお力を使えなくなったのは、王都の人間の祈りの力が不足していた事が原因との事なので、体よく責任を押し付けられたのだろう。
最後に国王陛下については、そのままとなっている。
しかし、それはあくまでもお飾りとしてとの事だ。
実権は王太子殿下と王妃様が握り、国王陛下からは力を取り上げるのだとか。
本来なら古くからの貴族家の当主から抗議が来るが、今回は国王陛下の暴走が酷かったので、抗議も殆ど無かったという。
そして、私と公爵の強引な婚姻未遂について。
これは完全に無くなり、『天使』様から祝福されたのだからと、今後行われる婚姻式が予定よりも豪華になるそうだ。
因みに、その費用は全て王家と公爵家持ちらしい。
それを見て、私はギルの方へと歩いた。
ギルは私に手が届く距離に来ると、私の手を取って謝ってきた。
「助けに来るのが遅くなって、ごめんね。
本当なら、すぐにでも駆け付けたかったんだけど、父も、俺も1人で『結界』を長時間安定させるまでに時間が掛かってしまったんだ」
「遅くなってなんかないわよ。
でも、その姿は大丈夫なの?」
「え?
ああ、『顕現』の事か。
髪色とか、力の質が変わってしまうけど、人としての機能は変わらないらしいから大丈夫だよ」
「そう、なのね。
良かった」
私の言葉を聞くと、ギルは微笑んだ。
そんなギルは『天使』様の方へと振り返り、『天使』様に言った。
「『天使』様、どうか婚姻の祝福を頂けないでしょうか」
ギルの言葉に、『天使』様は頷いて、私とギルに左手を向けた
『汝らが共に歩む生に、神の祝福があらんことを』
『天使』様は、私達に祝福の言葉を下さると同時に、足元から砂になるように消えてしまった。
そして、それと同時に『教会』のあちこちにヒビが走った。
それを見て、ギルは舌打ちをすると同時に叫んだ。
「全員『教会』の外へ急げ!!
この『教会』は倒壊する!!」
叫んだ後、ギルは私をお姫様抱っこで抱えて、急いで『教会』から出た。
それを見ていた全員がギルの必死さに引っ張られて、『教会』から出た。
外から見た『教会』は中よりも多くのヒビが入っており、ギルが崩壊すると言っているのも理解できた。
全員が外に出た時点で、流石に倒壊まではしなかったものの、ここで何か衝撃が加われば倒壊しそうだと思えた。
そんな『教会』の様子に、私達は無事に『教会』から出れた事に安堵した。
「まさか『天使』様が、おそこまで消耗していたとは。
少し予想外だったな」
ギルが漏らした言葉に驚いて、私は質問した。
「『天使』様が消耗って、大丈夫なの?
『天使』様は崩れるように消えてしまったように見えたけど」
「ああ、大丈夫な筈だよ。
うちの領地の『天使』様から聞いたけど、『天使』様は不滅らしい。
だからこそ、人々からの祈りの力が集まれば、またすぐにでも『顕現』出来るらしい。
特に、今回は『天使』様の器は壊れていないからね。
祈りの力が溜まれば、『結界』や『顕現』も使ってくださると思うよ」
「『結界』も?
という事は、もしかして王都の『結界』は?」
「ああ、今何かしらの勢力が王都に攻めてきたら、不味いだろうね」
「不味いだろうねって、どうするの?」
「別にどうもしないさ。
ほら、あそこ見て」
ギルはある方向に視線を向けた。
それを受けて、私もギルが視線を向けている方向に目を向けた。
すると、そこにはこの場に居る事に驚きを覚える方々がいらっしゃった。
「あれは王太子殿下に、王妃様、それに前公爵?」
「ああ、国王陛下と公爵を止める為に来て頂いたが、どうやら今後の国をお任せする為に来て頂いた、という事になりそうだな」
私はギルの言葉で、ある程度の事情を理解した。
その為に、他の人には悟られないように驚いていた。
そんな時、隣に立っていたギルが突然地面に崩れ落ちた。
それに驚いて、私は悲鳴に近い声を上げてしまった。
「ギル!?
どうしたの、大丈夫!?」
ギルに声をかけたけれど、気絶こそしていなかったものの、かなり悪い顔色をしていた。
その為に許可を得て、急いでギルをナーフ伯爵邸に連れ帰った。
◇
急いで連れ帰ったギルは、伯爵邸に到着するまでに気絶したものの、翌日のお昼頃に目覚めた。
お父様は昨日から王城で今後の協議を、私はギルの看病をしていたので、丁度目覚めたギルと一緒に昼食を取ることになった。
そして、昼食を取り終わった後、ギルから説明があった。
まず辺境の『教会』を崩壊させた方が相手について。
流石にゴロツキでは無かったものの、即座に自害する程の一流でも無かったのだという。
また、『天使』様が直々に取り調べに参加したので、すぐさま知っている事を全て話たらしい。
そして、『教会』を崩壊させる為に依頼した人物は公爵だと判明した。
これに辺境伯家に所属している人間全員が激怒し、公爵家と敵対を表明。
唯一、比較的冷静だった辺境伯夫人が前公爵と夫人に連絡し、事実関係を確認させたらしい。
そして、事実として確認出来た為に、前公爵と夫人は辺境伯家に全面的に謝罪と今回の件で協力を惜しまない事を確約。
次に『天使』様の器について。
『天使』様の器は、その土地に根付いた物である事、人々の祈りが捧げられる物である事の2つが重要なのだとか。
そして、その2つの条件を満たしていたのが、辺境伯家の血。
つまり、『天使』様の器は辺境伯家に流れる血となっており、ギルとお義父様は『天使』様に許可を得る形で『結界』や『顕現』を使えるようになったのだという。
しかし、『天使』様のお力を使うには体にも、精神にも相応の負荷が掛かるらしく、昨日のように倒れてしまうのだとか。
次に今回の件の落とし所について。
これは昨日、私がある程度推測した通りにだった。
まず公爵は交代、平民の愛人と共に隠居という形で領地にある公爵邸の地下牢で生涯監禁。
因みに『天使』様まで利用して、私と結婚しようとしたのは、愛人と誰にも憚れる事無く愛し合う為だったとか。
また、公爵の監禁によって空席になった公爵は、一時的に前公爵が埋めて、後から養子を取るとの事。
次に『対魔教会』の大司教と大司教に従った神殿騎士達は、全員破門。
これは表向きには「『天使』様を私的に利用しようとした」となっている。
しかし、実際には王都の『天使』をお力が使えない状態にした為だ。
ギルの話からすると、『天使』様がお力を使えなくなったのは、王都の人間の祈りの力が不足していた事が原因との事なので、体よく責任を押し付けられたのだろう。
最後に国王陛下については、そのままとなっている。
しかし、それはあくまでもお飾りとしてとの事だ。
実権は王太子殿下と王妃様が握り、国王陛下からは力を取り上げるのだとか。
本来なら古くからの貴族家の当主から抗議が来るが、今回は国王陛下の暴走が酷かったので、抗議も殆ど無かったという。
そして、私と公爵の強引な婚姻未遂について。
これは完全に無くなり、『天使』様から祝福されたのだからと、今後行われる婚姻式が予定よりも豪華になるそうだ。
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