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2章 対魔獣戦闘編

69話

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それでも私とフィーナは打って出なくてはいけなくなってしまったのだから、仕方ない。

私はフィーナと話し合っていた通りに、城の一番攻撃が厚い所の氷を他の場所の氷よりも薄くした。
そして、薄くした事により、もう暫くは持ちそうであった『氷城』の一部が崩れた。

崩れたと言っても、外からは入れないように全ての出入り口を無くしていた所なので、『氷城』全体にそこまでの影響はないと思われる。
そして、一部の氷が壊れると同時に魔獣や動物達が城に突撃を開始した。
これを城の一部が崩れた事により、ようやく使えるようになった『水鏡』を何枚も出し、外の光景を城の中心から見えるようにした。

あえて技の名前を付けるならば、『遠隔鏡えんかくきょう』だろうか?
まあ、私とフィーナの目の前には1枚の『水鏡』しかないものの、外の光景を見るために何枚もの『水鏡』を使用しているので、『遠隔鏡』といえるか少し怪しいけど。

結局のところ、何が言いたいかというと私達は城の中心と言える5階の中央部分に居て、そこから遠くの光景を見ることが出来るということだ。
この城は最上階が10階であり、本来であれば10階で待ち受けたほうが、それまでの道のりに罠を仕掛ける事で魔獣達を減らせるものの、5階に私達が陣取っているのには理由がある。

「ローニャ様。そろそろ先頭がここに来ますよ」

そうフィーナに声を掛けられて、思考に沈んでいた意識を引き上げる。
私達が居るのは、城の5階部分の中でも唯一上層階に行く階段がある場所へと続く道の途中であり、そこは私が広く作り替えている。

その他にも、魔獣が侵入した1階からここまでには相当な量の罠を仕掛けたし、城も魔獣が疲れるように迷路にしておいた部分もあるのに、侵入してからここに来るまでに10分も掛かっていない。
つまり、魔獣は確実に私達を狙っていて、下手をすれば、あの土魔法を使う主が指揮を取っている可能性があるということ。

それならば、やることは1つ。

「フィーナ。元々は5階ここから10階まで罠を魔獣達に仕掛けながら進む予定だったけど、ここである程度削ってから進みましょう」

「それは魔獣の到着が早すぎるからですか?」

「ええ、あの虎の魔獣を殺したけど、もうここが他の主の縄張りになったのか、それとも虎の魔獣を殺しきれていなかったのかは分からないけど、ここまで早いと道を知ってる私達よりも早く10階に辿り着かれる可能性もあるから、ある程度はここで削りたいの」

「なるなど、確かにそれなら私がここで粘りますから、ローニャ様は先に10階に向かわれて下さい」

「え、でもそれじゃあ作戦が」

「大丈夫です。私の身体強化魔法でもローニャ様の氷魔法の代わりは出来ますから。それとも私には任せられませんか?」
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