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1章 王国編

47話

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私が顔を引き攣らせると、フィーナが私に聞いてきた。

「あ、あのローニャ様。何故、今の言葉を調査している近衛騎士団の人間に『中立者』が言っただけなのを聞いただけで、顔を引き攣らせているのかお聞きしてもいいですか?」

「え、待って、調査しているのは近衛騎士団なの?しかも、王都に居るということは、第一近衛騎士団?」

「え、はい、その通りです」

私はフィーナの言葉で更に顔を引き攣らせた。
そんな原因になったミューはにこにことしているが、とんでもない。
私はその事を理解できて居ないフィーナに説明した。

「まず、ミューが言った言葉自体にはおかしな所は無いわ。特に衛兵が調査をしていた場合なら、そのままの意味で通じる。でも、王城を守る近衛騎士団と兵士達に言った言葉なら、意味がかなり変わるわ。

特に『ローニャ・フロービス様は度重なる襲撃と命の危機に参っています。フロービス邸の調査は構いませんが、フロービス様には目が覚めても少しだけ時間を開けて頂けませんか?』という全文が嫌味なのが、中々ね」

私がそう説明しても、フィーナはイマイチ分かっていなそうだったので、続きを説明した。

「これにはまず大まかに2つに分けると『王城に侵入者を侵入させたね』という嫌味と、『王城の人間がしっかりしていないから、フロービス伯爵家は混乱したよね?』という嫌味があるわ。

更に後半の部分も『最近の調査でも、主旨が途中で変わって待たせたのに調査が出来るのか』という嫌味があるわね。特に私が目覚めるまでという所にも、『いつ目覚めるか分からない私が目覚めるまで待たないと真相を明らかに出来ないよね』という嫌味があるわ。

最後に、普通なら嫌味を言われても軽く流すか反撃するのが貴族や王族だけど、『中立者』という国をも超える圧倒的な権力者から言われたことだから、反論など出来ず認めるしかない。

これでは近衛騎士団に喧嘩を売っていると思われてもおかしくないわ」

「な、なるほど。確かに」

「これはしばらくは近衛騎士団への対応を気を付けないと何をされるか分かったものじゃないわね」

私がそうため息をつくと、ミューが今まで浮かべていた笑みを更に深くした。

「ああ、それならば問題ありません。これを」

ミューはそう言って結晶を合計2つ、手のひらサイズ程の物を私とフィーナに渡してきた。
私の結晶には2、フィーナの結晶には3の数字が結晶の中に黒い石で立体的に書かれている。
私とフィーナが渡された結晶を見ながら首を傾げていると、部屋の扉が焦った様子でノックされた。

「ちゅ、『中立者』様!!こ、国王陛下が、今すぐにご当主様並びに騎士フィーナ、『中立者』であるミュールフィス様と面会をしたいと!!」

まさか、ミューが喧嘩を売っていたのは騎士団だけでは無かったのだろうか。
そう考えると、今すぐにベッドの中に戻りたくなってしまった。




※第一部END
※お知らせていた通り、第二部は3日後からスタートしますので、お楽しみに。
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