上 下
44 / 188
1章 王国編

43話

しおりを挟む
※始めの内容部分に、大まかですが今後の予定がありますので、ご覧頂けると有り難いです。

私は目の前にいる人物に驚きつつも、それを隠して睨みつけた。

「『中立者』ミュールフィス。あなたは全ての国に属さない代わりに、仮面の下を見ようとしない事と自らの命が脅かされない限りは、どこの戦闘並びに戦争には参加せず、むしろ戦争等では調停役を買って出ると記憶していたのだけど、間違っている?」

「いいえ、その認識で正しいですよ。私もまさか、自分が行った宣言を密かに破る日が来るとは思っていませんでした」

「密かに?私の、つまりフロービス伯爵邸で私と敵対しておいて、密かに出来ると思っているの?」

私が睨みつけながら言った言葉に対して、ミュールフィスは仮面をつけていても分かるほどに余裕な声色で言った。

「ええ、思っておりますよ。それに私がローニャさんと敵対していたと外部に漏らすつもりならば、私はローニャさんの秘密を外部に漏らさなくてはなりませんからね」

「私の秘密?一体何のこと?」

「そうですね~、名付けるならば3系統持ちトリプラーでしょうか?それとも2眼持ちダブルホルダーの方が良いですか?」

私はミュールフィスの言葉を聞き、口を閉じるしか無かった。
私の魔眼の事がバレている。

何故バレた?
いくらカモフラージュだけとはいえ、魔力を使わない限りは知らない存在があるとは思わないのだから、バレづらい筈。
そして、バレていない間にカモフラージュ以外の方法でも隠せる様になっておこうと思っていたのに、『中立者』であるミュールフィスにバレては意味がない。

しかも、『中立者』といつ名は伊達ではなく、もしもこの場でミュールフィスを殺せたとしても、多数の国にパイプを持っている『中立者』が、フロービス伯爵邸で死ぬのはあってはならない。
そんな事があった場合は、フロービス伯爵家何処かそのときに邸に居た人間全てが処刑対象になってもおかしくはない。
それ程に『中立者』のこれまでの功績は凄まじい。

「なにが、望みでしょうか?」

私が苦虫を口に入れたときの様な感情を隠しながら、そう質問するとミュールフィスは仮面に手をかけながら言った。

「私の望みは、ローニャさんとフィーナさんが来るべき時に私と共に戦うこと、そしてそれまでの間は私と親交を深めることですね」

そう言ってから、ミュールフィスは仮面を外した。
『中立者』ことミュールフィスは、例えどんな相手を前にしようとも一切仮面を取らず、無理矢理取ろうとしたら戦闘を開始するほどに仮面を取らない。
しかし、そうしていた理由が仮面を取ったことにより晒されたミュールフィスの素顔を見て納得できた。

「まさか、『中立者』が2持っているとは思わなかったわ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

新婚初夜に浮気ですか、王太子殿下。これは報復しかありませんね。新妻の聖女は、王国を頂戴することにしました。

星ふくろう
ファンタジー
 紅の美しい髪とエメラルドの瞳を持つ、太陽神アギトの聖女シェイラ。  彼女は、太陽神を信仰するクルード王国の王太子殿下と結婚式を迎えて幸せの絶頂だった。  新婚旅行に出る前夜に初夜を迎えるのが王国のしきたり。  大勢の前で、新婦は処女であることを証明しなければならない。  まあ、そんな恥ずかしいことも愛する夫の為なら我慢できた。  しかし!!!!  その最愛の男性、リクト王太子殿下はかつてからの二股相手、アルム公爵令嬢エリカと‥‥‥  あろうことか、新婚初夜の数時間前に夫婦の寝室で、ことに及んでいた。  それを親戚の叔父でもある、大司教猊下から聞かされたシェイラは嫉妬の炎を燃やすが、静かに決意する。  この王国を貰おう。  これはそんな波乱を描いた、たくましい聖女様のお話。  小説家になろうでも掲載しております。

白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます

時岡継美
ファンタジー
 初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。  侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。  しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?  他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。  誤字脱字報告ありがとうございます!

美味しい料理で村を再建!アリシャ宿屋はじめます

今野綾
ファンタジー
住んでいた村が襲われ家族も住む場所も失ったアリシャ。助けてくれた村に住むことに決めた。 アリシャはいつの間にか宿っていた力に次第に気づいて…… 表紙 チルヲさん 出てくる料理は架空のものです 造語もあります11/9 参考にしている本 中世ヨーロッパの農村の生活 中世ヨーロッパを生きる 中世ヨーロッパの都市の生活 中世ヨーロッパの暮らし 中世ヨーロッパのレシピ wikipediaなど

実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います

榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。 なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね? 【ご報告】 書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m 発売日等は現在調整中です。

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!

暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい! 政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む

家具屋ふふみに
ファンタジー
 この世界には魔法が存在する。  そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。  その属性は主に6つ。  火・水・風・土・雷・そして……無。    クーリアは伯爵令嬢として生まれた。  貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。  そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。    無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。  その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。      だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。    そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。    これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。  そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。 設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m ※←このマークがある話は大体一人称。

侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。 3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。 高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。 これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!! 転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

処理中です...