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1章 王国編

40話(コローナ視点)

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しかも、そのラスボスが理不尽過ぎる。
まず、取り巻きは元騎士のフィーナだけだけど、その騎士フィーナがこちらの攻略メンバー3人を向かわせないと抑えられない。

更には、フィーナのHPが2割を切ったら、ローニャの魔法で体力を回復させられる。
しかも、半分を切る時点で総攻撃を仕掛けて倒せた場合は、ローニャが暴走状態に入り、攻撃を避けても余波でこちらのHPが全損するので、ローニャから倒さないといけない。

それなのにローニャ自身もHPが全損してから、合計10回もHPが完全回復した状態で復活する。
それなのに、こちらは最大12人のパーティーメンバーしか居ない。
更には、一番火力のある魔法攻撃を仕掛けても、フィーナが吹き飛ばすか庇うかするので、ローニャも中々HPが削れない。

唯一の救いはラスボスであるローニャが暴走状態にならない限りは、通常攻撃が軽くちまちまと削っていけばなんとかなりそうなことくらい。
まあ、フィーナに向かわせた攻略メンバー3人が撃破される前に倒し切らないときついので、ちまちまなんて削っていられないせいで、完全攻略出来た人はかなり少ないけど。
因みに、私は完全攻略した、頑張ったのだ。

さて、かなり話が逸れてしまって、何が言いたいのかが分からなくなって来てしまったけど、とにかく私が言いたいのはもしもローニャがフィーナに依存していた場所、ローニャはフィーナの死には耐えられないということ。
それを知っていた筈の私は、フィーナの死に泣いて取り乱してしまって、その事を忘れていた。

しかし今、氷壁の向こう側であるとしても魔眼所持者でなくとも感じられる程の膨大な魔力が渦巻き、そして収束している為、その事を思い出した。
もしも、この魔力が全てフィーナの死を受け入れられないローニャが、周囲を壊すことに注いだ場合、この屋敷はおろか下手をすれば王都の半分が吹き飛んでもおかしくはない。

私がそう考えて顔を青くしたのと同じ様に、周りの騎士達や使用達も同じ想像が出来たかどうかは別にして、顔を真っ青にしている。
しかしそんな時、魔力が魔法に変換されて使用されたのが感じ取れた。
それは魔力量から威圧感が凄かったものの、魔法が使用されてから既に数秒が経過した事から、氷壁の中で完結するだろう魔法だというのが、感じ取れて私は安堵の息を吐いた。
私が安堵の息を吐いた時、場違いに落ち着いた声が聞こえてきた。

「なるほど、直に感じると中々の魔力量ですね」

私がその声に振り返ると同時に目を見開いた。

「あなたは!!」

「おっと、『眠りなさい』」

しかし、次の瞬間には私以外の全員が床に倒れ込むように意識を失った。
私は一応魔眼所持者なので、この魔力で引き起こされた現象に少しだけ耐性があった。
まあ、それでも他の人間よりも、ほんの数秒遅れるだけ。

それでも私達を眠らせた人物が、誰かは確認出来た。
私達を眠らせたのは、この世界の中でも初めてと言っても過言ではない程に難易度が高い、どこの国にも属さず完全中立を貫き続けているとある人物だった。

その人物の名はー

「『中、立者』ミュー、ル、フィス」

私はそこまで言葉を発したところで、意識が落ちた。
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