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1章 王国編

37話(フィーナ視点)

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私が後悔に近い気付きを得ているとき、ローニャ様が顔を上げた。
そして、私に近付いてきた。

しかし、その顔には狂気と言えるような怖さが備わっていた。
そのために、私を運ぼうとしていた騎士達は、「一体何をするつもりなのか」と止めようとしたが、それは無意味だった。

ローニャ様は、ローニャ様に触れようとした騎士達との間に、氷壁を築いた。
更に、私の体に詰め寄ると、私の体とローニャ様が周りと分断されるように、円形の氷壁を作り上げた。

一体何をしようとしているのだと、私がローニャ様の後ろに回り込み見ていると、突然ローニャ様の魔力が感じ取れた。
それは私が以前感じたローニャ様の全力、つまり熊の魔獣に魔法を使った時よりも多かった。

更にローニャ様の魔力を感じ取ったとき、私は処刑台の光景から今まで魔力を一切感じ取っていなかった事を思い出し、そこでやっとおかしいことに気が付いた。

というのも魔眼所持者ならば、平等に魔力があるため、近くに魔眼所持者が居れば魔力を感じ取れるのだ。
更に言えば、私が四つん這いなっていた所からの距離ならば感じ取れ居ないほうがおかしいのだ。

それなのに先程までは感じず、今は魔力を感じる。
やはり、今までの光景は何らかの幻覚のようなものだったのだろうか?

そんな事を考えている間にも、ローニャ様から感じ取れる魔力は強くなっていった。
ここまで来ると、流石にローニャ様の魔力が多すぎることに気が付いた。
というのも、前の熊の魔獣と戦闘した時に感じたローニャ様の魔力の5倍程の魔力は、既に感じ取れるのにまだ上がっている。

魔眼の色毎に魔力の多さは、格段に変わる。
しかし、色が同じ魔眼ならば魔力量の差は、そこまで無いはず。

もちろん、1回魔法を使う度に使う魔力の消費量が魔法の系統毎によっても違うので、一概には言えない。
しかし、魔法が使える回数自体は、1回か2回程度の差なので、そこまで差が酷い訳では無い。

しかし、今ローニャ様から感じる魔力は、魔力の効率が良いと言われ、魔法の系統の中でも比較的、魔力が少ない身体強化魔法の私の全魔力の5倍以上であると言える。
一度の魔法行使に全ての魔力を込めることも出来ない訳ではないが、魔法はある一定以上の魔力(通常時に発動させる1.5発分の魔力)を込めると、それ以上込めても威力と比例しなくなり、効率が悪くなる。
ただし、全魔力かそれに近い魔力を込めた魔法ならば、その限りではない。

それは全ての魔眼に共通する絶対のルールと言える。
そのために、全魔力を使わないならば、魔力を数回に分けて使ったほうが良いと言える。

そんな事はローニャ様も知っているだろう。
一応、このことは魔眼を発現させた者に説明される事なので、しっかりとしているローニャ様が知らないわけがない。

それなのに、ここまで魔力を感じるということは、これが1.5発分以内の魔力量であるということ。
しかも、今現在は熊の魔獣の時の5倍等では無く、10倍の魔力は感じ取れる。
私の黒色の魔眼の全魔力を10回分以上も込めて、やっと発動出来る魔法があるなんて。

お披露目のパーティー会場で見たローニャ様の顔つきと、死の恐怖を感じてなお、初めてにして通常ならば発動途中でも躊躇ってしまう最大の威力の魔法を発動させる事が出来る胆力。
更には、国王陛下や重鎮の方々が居る謁見の間で父の裏切り行為を告発する度胸と城での警戒心の強さ。
更には、私の10倍もの魔力を宿す、その体。

ローニャ様、貴方は未だ12歳の筈なのに、一体どれだけの経験をされていて、一体何者なのだろう?

そこまで考えたところで、浮いていた私の体は、急に今見えている体の方に引っ張られて、そのまま体の中に入って、意識が落ちてしまった。






※すみません、詰め込みすぎて少しだけ長くなりました。
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