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1章 王国編

31話

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「ばばば!!わだじばざいぎょうだー!!」

執事長はそう叫びながら、毒々しい色をした何かの液体で出来ている(恐らくは何らかの毒だと思われる)矢を空中に作り出し、フィーナに向けて撃った。

それを、フィーナは正確に剣を振り抜き、矢を横に真っ二つにし、そこから更に剣を振り抜いた勢いを利用して今度は縦に真っ二つにした。

それにより毒々しい色をした矢は威力を失い、フィーナの場所から進行方向に少し進んだ場所に落ちた。
しかし、落ちた場所から蒸気の様な煙と「シュー」という音が聞こえてきたので、矢を形作っている物は毒なのだと分かった。

それを見ていた私は流石はフィーナだと思ったものの、逆に2度の攻撃をしなければ執事長の攻撃を無力化出来ないのは不味いことだと理解出来た。
その為、防衛面だけでも助力するために魔力を使おうとした所で、誰かに後ろから肩を引っ張られた。

私が引っ張られた方を向くと、私の肩に手を掛けていたのは、コローナだった。
コローナは私を肩を強く握り、首を横に振っていた。

それはまるで手を出すなと言っているように感じ取れた。
しかし、私はそれを感じ取れても手を出さないつもりは毛頭なく、すぐにフィーナの方を振り返るも既にフィーナに向かって5つの矢が撃たれていた。

私は剣を握ったことがなく、精々がナイフを自衛手段として使う程度、しかしそんな私でもフィーナが5つの矢を全て無力化するのは至難だと分かった。
それでも、その矢は私が氷を壁のようすることで、少しでも遅らせればフィーナなら何とか出来るはず。

コローナが私を振り向かせなければ、私の荒い魔法でも状況を変えれたかもしれないのに、失敗した!!
そんな後悔をしながらも、私は魔法を発動させようとしたが遅すぎた。
5つの矢の内、3つ同時にフィーナが先程の手順で無力化したが、1つはフィーナの右肩に直撃し、そのまま右肩を貫いた。
そして、もう1つの矢は私の方に飛んでに来ていた。

私は魔眼を使い、氷の壁を矢と私の間に出現させた。
しかし、出来上がったのは水の壁だった。

「え?」

それに驚いた私が声を出してしまった時、コローナの声が後ろから聞こえてきた。

「だめ!!2系統持ちデュアラーはコントロールが難しいのよ!!」


私はコローナが私を止めようとした理由を察して、今更ながらに2系統持ちデュアラーの難しさを理解した。
それを理解したときには、私が作り出した水の壁は簡単に破られてしまった。
そして、私が作り出した水の壁を破った矢は、私の心臓に向かって、水の壁を破ったとは思えない程に、速い速度で私に迫って来た。

(あ、死ぬ)

そう思った時、私と矢の間にフィーナが割り込んだ。
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