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1章 王国編

26話

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馬車が出発してからも無言だったが、私は屋敷まで無言でいるつもりは無かった。
私は馬車が王城を出たのを確認すると、ため息をついた。

「はぁ~、それでなんで王都のフロービス伯爵邸に向かうフロービス伯爵家の馬車に、乗っているのでしょうかヨーティス侯爵」

「それは私がフロービス伯爵の相談役になったからね。私は侯爵だけど、王都に屋敷等は持ってないあら、王宮で住み込みで働いているわ。その様な状況では緊急の際に混乱するだろうという理由から、国王陛下が『フロービス伯爵邸に滞在するように』と言ったから、それならローニャとフィーナと一緒に移り住もうと思って。

ああ、王宮内にある荷物は明日にはフロービス伯爵家に送られる予定だから、そこの心配は要らないわ」

「その様な事は聞いておりませんが」

「それは先程の木箱の中に入っている手紙に書かれているでしょう。それと私のことはヨーティス侯爵じゃなく、お茶をしていたときみたいにコローナって呼んでほしいな。それに畏まらなくていいのよ?」

「いえいえ、そんな恐れ多い。私は伯爵ですから、侯爵であるヨーティス様を家名で呼ばないなどありえませんので」

「それじゃあ、私がヨーティス侯爵として要請するわ。公の場で無い限りは、私のことをコローナと呼び、敬語もつけないように。私もローニャと呼んで、敬語はつけないから」

正直言えば、絶対的に拒否したいが、フィーナには親しみを込めてローニャと呼んでほしいと言っている手前、ヨーティス侯爵の要請を拒否することは出来ない。

なので、私は笑顔で返した。

「わかったわ、コローナ」

「これからもよろしくね、ローニャ」

「それはそうと、具体的に何をコローナに相談するの?私は伯爵の仕事は知らないけど、帳簿は読めるし、問題の解決にはある程度自身があるのだけど」

「ああ、確かに相談役というのは明確な仕事が決まってないから、何を相談役するのか迷うわね。まあ、私は大体のことは出来るから何でも聞いて」

「そう、それなら始めに私の魔眼は一体何時私に馴染むのか教えて欲しいわ。特に何時になったら全力の魔法を制御出来るのかが、とても気になるわね」

コローナは口元を左手で触り、少し考える仕草をしてから答えた。

「そうね、個人差はもちろんあるけど、制御の訓練を毎日した場合の平均的な日数は、1ヶ月もあれば魔眼は身体に馴染み、そこから更に2ヶ月もすれば全力の魔法を使っても制御出来るはずよ」

「全力の制御に2ヶ月か、長いね」

「それは平均的な日数だからね。おそらく、ローニャの場合はもっと短くなるか、長くなる筈よ」
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