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1章 王国編
3話
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お披露目の準備から、会場である王城に着くまでは特に何もなかった。
あえて言えば、馬車を1台でしか用意しなかった為に、同じ馬車に乗ったお父様と愛人に色々と言われた事くらいはあった。
まあ、流石のゴミ共でもお披露目前に私を殴る蹴るの暴行(いつもはされている)をする程の度胸はなかったらしく、無視していたらこちらを構わなくなった。
そして、会場に入る際にはゴミ共がニヤニヤとこちらを見ていたが、よくよく考えたら今の私はマナーも何も知らない筈だった。
一応、第一王子の婚約者になってしまってからはマナーやら、なにやらを叩き込まれたので、それらは問題ない。
問題があるとすれば、私が叩き込まれたのが第一王子の婚約者のマナーやら立ち振る舞いだということか。
まあ仕方ないので、知識にある無礼にならない行為を繋げあわせて、立ち振る舞うしかない。
それらは一応成功したらしく、こちらを見下したような目をしていた貴族達は私の立ち振る舞う姿を見て認識を変えていた。
それにしても、お披露目の会場だけあってパーティーに参加している者はもちろん、警備している人数も凄く多い。
そのせいで、私は常に笑顔を貼り付けていなければならない。
私から全ての視線が外れたタイミングで、何度か気を抜いているので、なんとか繕え続けているけど、一度休まないと私の表情筋が持ちそうにない。
いや、今の私はお披露目のパーティーであるこの会場では一応主役。
会場からバルコニーや庭に出るだけでも、下手に会場から消えれば、何かを勘付かれる可能性も無くはない。
その手の直感や占い等の魔眼も、かなり珍しいもののあるとは聞いているし、下手に動けない。
そう考えてなんとか耐えていると、やっとお披露目のメインがやって来た。
「それではこれより、子供達の魔眼の有無を確認する」
宰相がそう宣言すると、今日魔眼の確認がある子供達は横一列に並ばされた。
そして、その次の瞬間には、私の内側を無理矢理引きずり出される様な感覚が来たあとに、私の中で赤子の頃の中でも最悪だろう記憶と処刑される直前の記憶が走馬灯のように流れた。
前のお披露目では見なかったそれを見て、魔眼の開眼を促すためにトラウマを思い出させているのだと初めて知った。
前からお披露目の際には体調を崩す者が居たが、これが理由か。
もちろん、私以外はトラウマを思い出していることを自覚してもいないだろう。
それほどトラウマを思い出したのは一瞬の間だけで、それもすぐに消えたのだから。
私が考えていた魔眼発現条件は強烈な意志だと思っていた。
恐らくだがそれは正しくもあり間違ってもいるのだろう。
私の体感では魔眼の正しい発現条件は、本人の自覚が有る無しに関わらず死の淵に立った事があるかで、系統はその状態で強烈に望んだ物が現れるのだろう。
それを理解出来た私は、なんと表現していいのかも分からないが最低であることだけは分かる今の心情が、表情に出ないように必死に取り繕っていた。
あえて言えば、馬車を1台でしか用意しなかった為に、同じ馬車に乗ったお父様と愛人に色々と言われた事くらいはあった。
まあ、流石のゴミ共でもお披露目前に私を殴る蹴るの暴行(いつもはされている)をする程の度胸はなかったらしく、無視していたらこちらを構わなくなった。
そして、会場に入る際にはゴミ共がニヤニヤとこちらを見ていたが、よくよく考えたら今の私はマナーも何も知らない筈だった。
一応、第一王子の婚約者になってしまってからはマナーやら、なにやらを叩き込まれたので、それらは問題ない。
問題があるとすれば、私が叩き込まれたのが第一王子の婚約者のマナーやら立ち振る舞いだということか。
まあ仕方ないので、知識にある無礼にならない行為を繋げあわせて、立ち振る舞うしかない。
それらは一応成功したらしく、こちらを見下したような目をしていた貴族達は私の立ち振る舞う姿を見て認識を変えていた。
それにしても、お披露目の会場だけあってパーティーに参加している者はもちろん、警備している人数も凄く多い。
そのせいで、私は常に笑顔を貼り付けていなければならない。
私から全ての視線が外れたタイミングで、何度か気を抜いているので、なんとか繕え続けているけど、一度休まないと私の表情筋が持ちそうにない。
いや、今の私はお披露目のパーティーであるこの会場では一応主役。
会場からバルコニーや庭に出るだけでも、下手に会場から消えれば、何かを勘付かれる可能性も無くはない。
その手の直感や占い等の魔眼も、かなり珍しいもののあるとは聞いているし、下手に動けない。
そう考えてなんとか耐えていると、やっとお披露目のメインがやって来た。
「それではこれより、子供達の魔眼の有無を確認する」
宰相がそう宣言すると、今日魔眼の確認がある子供達は横一列に並ばされた。
そして、その次の瞬間には、私の内側を無理矢理引きずり出される様な感覚が来たあとに、私の中で赤子の頃の中でも最悪だろう記憶と処刑される直前の記憶が走馬灯のように流れた。
前のお披露目では見なかったそれを見て、魔眼の開眼を促すためにトラウマを思い出させているのだと初めて知った。
前からお披露目の際には体調を崩す者が居たが、これが理由か。
もちろん、私以外はトラウマを思い出していることを自覚してもいないだろう。
それほどトラウマを思い出したのは一瞬の間だけで、それもすぐに消えたのだから。
私が考えていた魔眼発現条件は強烈な意志だと思っていた。
恐らくだがそれは正しくもあり間違ってもいるのだろう。
私の体感では魔眼の正しい発現条件は、本人の自覚が有る無しに関わらず死の淵に立った事があるかで、系統はその状態で強烈に望んだ物が現れるのだろう。
それを理解出来た私は、なんと表現していいのかも分からないが最低であることだけは分かる今の心情が、表情に出ないように必死に取り繕っていた。
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