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63話
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あの男が退学になった場合に、兵士として雇う事を決めてからは、すぐに教員室に移動した。
教員室についた後は、扉が開いていたものの、ノックをしてから要件を告げた。
「ローニャ・フロービスです。担任に教員室に立ち寄る様に言われた為、参りました」
私がそう告げると、教員室の中でも一番近くに居た、あまり見ない教員が私達に話しかけてきた。
「ああ、フロービス嬢か。担任の教員達はあそこに居るから、そのまま入ってくれて構わないそうだ」
「了解しました。それでは失礼致します」
私はフィーナとアリアを連れて、私達に答えた教員が示した方に歩いて行った。
そこは教員室の中でも、一番奥にある談笑スペースだった。
ただ談笑スペースと言っても、ここは学年問わずに上級クラスの教員が多い教員室だった事もあり、下位貴族が使用するような椅子や机が使われていた。
その談笑スペースには、私の担任教員と全く見たことが無い教員(俯いているもののガクガクと震えている)が同じソファーに座っており、更に教員全体をまとめる立場の教員長という立場の教員(領地無しの子爵家当主)が廊下側に顔が見える方の誕生日席に座っていた。
しかし、談笑スペースに居るのは、この3人だけでなく、アリアの幼馴染という男ともう一人教員にも見える年齢の男(服装からしたら、教員には見えない)が、教員陣が座っているソファーの後ろに立っていた。
もう一人立っていた男に関しては、全く知らないものの、何処となく幼馴染だという男に似ていたので、親か何かだろう。
私は談笑スペースに歩きながら、すぐに学園側に試されていると理解した。
おそらく、あの幼馴染の男の処分を撤回させない為の物だろう。
黒色の魔眼所持者の機嫌を私が取りたいとなった時に、伯爵家ならば平民の処分を軽くする事も出来る。
しかし、ここは上級クラスの担当教員が多く、結果として伯爵以外子爵以上の家に属している者が多い。
流石に、この場で学園の決定に真っ向から判断するのは難しい。
下手をすると話の流れ次第で、あの幼馴染を兵士として雇うのすら難しくなる可能性もある。
本当に貴族関係者には狸や狐ばかり、いや狸か狐しか居ない可能性もあるか?
そんな事を考えていると、談笑スペースに辿り着いたので、改めて名乗る事にした。
「皆様、こんにちは。ローニャ・フロービスです。ここは学園ですので、フロービス嬢とお呼びください」
本来ならば、名乗らずとも良いものの、同席している人間に、私が知らない人間が居たので、相手を紹介しろという意味で名乗ったのだ。
因みに、学園では貴族の子供を呼ぶ際には名前の後ろに、女子なら『嬢』、男子なら『様』と付けて呼ぶのが常識になっていて、これは学園生徒に限らず、教員も総じて同じ呼び方になっている。
平民に対しては、女子は『さん』で男子は『君』だ。
話を戻し、私が名乗った事の意味を理解している教員長は、ここに居る人間を紹介し始めた。
「フロービス嬢のクラスの担当教員は紹介せずとも良いだろうから、飛ばさせて頂こう。
こちらの座っているのは下級ー3クラスの担当教員、後ろに立っているのはガイ君とその父君だ。
ひとまず、フロービス嬢はそちらの掛けてくれ」
「では、失礼して」
私は教師陣と対面するソファーに座り、平民の生徒として入学したフィーナとメイド枠で来ているアリアは、そのソファーの後ろに立った。
その事を確認した教員長は、一度頷いてから話し始めた。
「さて、今回フロービス嬢に来てもらったのは、そちらのガイ君の処分が決定したからだ」
教員室についた後は、扉が開いていたものの、ノックをしてから要件を告げた。
「ローニャ・フロービスです。担任に教員室に立ち寄る様に言われた為、参りました」
私がそう告げると、教員室の中でも一番近くに居た、あまり見ない教員が私達に話しかけてきた。
「ああ、フロービス嬢か。担任の教員達はあそこに居るから、そのまま入ってくれて構わないそうだ」
「了解しました。それでは失礼致します」
私はフィーナとアリアを連れて、私達に答えた教員が示した方に歩いて行った。
そこは教員室の中でも、一番奥にある談笑スペースだった。
ただ談笑スペースと言っても、ここは学年問わずに上級クラスの教員が多い教員室だった事もあり、下位貴族が使用するような椅子や机が使われていた。
その談笑スペースには、私の担任教員と全く見たことが無い教員(俯いているもののガクガクと震えている)が同じソファーに座っており、更に教員全体をまとめる立場の教員長という立場の教員(領地無しの子爵家当主)が廊下側に顔が見える方の誕生日席に座っていた。
しかし、談笑スペースに居るのは、この3人だけでなく、アリアの幼馴染という男ともう一人教員にも見える年齢の男(服装からしたら、教員には見えない)が、教員陣が座っているソファーの後ろに立っていた。
もう一人立っていた男に関しては、全く知らないものの、何処となく幼馴染だという男に似ていたので、親か何かだろう。
私は談笑スペースに歩きながら、すぐに学園側に試されていると理解した。
おそらく、あの幼馴染の男の処分を撤回させない為の物だろう。
黒色の魔眼所持者の機嫌を私が取りたいとなった時に、伯爵家ならば平民の処分を軽くする事も出来る。
しかし、ここは上級クラスの担当教員が多く、結果として伯爵以外子爵以上の家に属している者が多い。
流石に、この場で学園の決定に真っ向から判断するのは難しい。
下手をすると話の流れ次第で、あの幼馴染を兵士として雇うのすら難しくなる可能性もある。
本当に貴族関係者には狸や狐ばかり、いや狸か狐しか居ない可能性もあるか?
そんな事を考えていると、談笑スペースに辿り着いたので、改めて名乗る事にした。
「皆様、こんにちは。ローニャ・フロービスです。ここは学園ですので、フロービス嬢とお呼びください」
本来ならば、名乗らずとも良いものの、同席している人間に、私が知らない人間が居たので、相手を紹介しろという意味で名乗ったのだ。
因みに、学園では貴族の子供を呼ぶ際には名前の後ろに、女子なら『嬢』、男子なら『様』と付けて呼ぶのが常識になっていて、これは学園生徒に限らず、教員も総じて同じ呼び方になっている。
平民に対しては、女子は『さん』で男子は『君』だ。
話を戻し、私が名乗った事の意味を理解している教員長は、ここに居る人間を紹介し始めた。
「フロービス嬢のクラスの担当教員は紹介せずとも良いだろうから、飛ばさせて頂こう。
こちらの座っているのは下級ー3クラスの担当教員、後ろに立っているのはガイ君とその父君だ。
ひとまず、フロービス嬢はそちらの掛けてくれ」
「では、失礼して」
私は教師陣と対面するソファーに座り、平民の生徒として入学したフィーナとメイド枠で来ているアリアは、そのソファーの後ろに立った。
その事を確認した教員長は、一度頷いてから話し始めた。
「さて、今回フロービス嬢に来てもらったのは、そちらのガイ君の処分が決定したからだ」
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