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56話
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私の質問に、防衛大臣は少しの呆れを感じさせる表情で言った。
「本来ならば騎士の魔法に見栄えなぞ必要もない。騎士とは国を守る最後の砦となり得る存在だ。そんな存在に必要なのは、何者からも守り切る力。
その観点から言えば、あの魔眼所持者の魔法も悪くはない。
特に、あの動きを止める魔法。あの魔法は赤色の魔眼所持者以下の人間では抵抗が出来ずに、魔法の効果が消えるまで動けなかった。
あの魔法があれば、危険な状況からでも相手が虹色や黒色の魔眼所持者でない限りは、どうにでも出来る力と言える。
しかし、騎士が最も多く護衛する機会があるのは、王族や貴族だ。国王陛下は気にする方ではないが、他の王族の方々や多くの貴族達は、魔法の発動がより分かりやすく強力な魔法を求めるものなのだ。
つまり、あの魔眼所持者の様に強力だが発動が分かりにくい魔法は向かず、騎士フィーナの様に発動が分かりやすく強力な魔法ほど好まれる」
防衛大臣の言葉を聞いて、ようやくアリアが騎士に向かない理由を理解できた。
確かに発動が分かりやすい魔法を使える騎士に守られるのは、肝心な時の安心感が違う。
その事を理解して、私は少しだけ顔を顰めてしまった。
それを見ていた防衛大臣は、小さく笑いアリアを診ながら言った。
「陛下から、あの魔眼所持者はフロービス伯爵に預からせると聞いている。その事に関して、上の人間は反発も殆どない。
しかし、下の者や他の魔眼所持者は違う。そちらの抑え込みは、フロービス伯爵が行ってくれ」
それだけ言うと、防衛大臣はアリアが訓練している方に歩いて行った。
それを眺めながら、私は防衛大臣の話について考えていた。
上の人間というのは、おそらく軍部の人間の中でも、古い家の当主達だろう。
なにせ黒色の魔眼所持者を手放して反発しない様な人間は、通常の貴族関係者や兵士、文官には居ない。
つまり、古い家の当主達の大半は私の味方であるものの、いくつかの貴族家の当主は私の味方ではないという事だろう。
そして、これは防衛大臣が言っていた事ではないが、私達を城に入れなかったのは私の味方ではない古い家の当主だろう。
つまり、私の敵は王族の大半と私に敵意がある上にフロービス伯爵家よりも力を持っている古い家の当主達が筆頭。
下手をすれば、力を持っていないものの大多数の周囲が敵に回る可能性も捨てきれない。
逆に私の味方は国王陛下と大半の古い家の当主達のみ。
総じて力は強いが、数が少ない。
しかも、私とフィーナ、アリアという黒色の魔眼所持者が3人も集まっていれば、魔眼所持者主体の犯罪者集団である『黒の翼』にも目を付けられかねない。
総合しても、今はアリアを強くして、私達に対して手を出せなくするしかない、か。
そこまで考えたところで、防衛大臣に話しかけられたアリアが私達が来ている事に気が付き、私達に助けを求める顔をしていた。
その事に気が付いた私は、軽くため息をつきながらアリアの方に向かって歩きだした。
「本来ならば騎士の魔法に見栄えなぞ必要もない。騎士とは国を守る最後の砦となり得る存在だ。そんな存在に必要なのは、何者からも守り切る力。
その観点から言えば、あの魔眼所持者の魔法も悪くはない。
特に、あの動きを止める魔法。あの魔法は赤色の魔眼所持者以下の人間では抵抗が出来ずに、魔法の効果が消えるまで動けなかった。
あの魔法があれば、危険な状況からでも相手が虹色や黒色の魔眼所持者でない限りは、どうにでも出来る力と言える。
しかし、騎士が最も多く護衛する機会があるのは、王族や貴族だ。国王陛下は気にする方ではないが、他の王族の方々や多くの貴族達は、魔法の発動がより分かりやすく強力な魔法を求めるものなのだ。
つまり、あの魔眼所持者の様に強力だが発動が分かりにくい魔法は向かず、騎士フィーナの様に発動が分かりやすく強力な魔法ほど好まれる」
防衛大臣の言葉を聞いて、ようやくアリアが騎士に向かない理由を理解できた。
確かに発動が分かりやすい魔法を使える騎士に守られるのは、肝心な時の安心感が違う。
その事を理解して、私は少しだけ顔を顰めてしまった。
それを見ていた防衛大臣は、小さく笑いアリアを診ながら言った。
「陛下から、あの魔眼所持者はフロービス伯爵に預からせると聞いている。その事に関して、上の人間は反発も殆どない。
しかし、下の者や他の魔眼所持者は違う。そちらの抑え込みは、フロービス伯爵が行ってくれ」
それだけ言うと、防衛大臣はアリアが訓練している方に歩いて行った。
それを眺めながら、私は防衛大臣の話について考えていた。
上の人間というのは、おそらく軍部の人間の中でも、古い家の当主達だろう。
なにせ黒色の魔眼所持者を手放して反発しない様な人間は、通常の貴族関係者や兵士、文官には居ない。
つまり、古い家の当主達の大半は私の味方であるものの、いくつかの貴族家の当主は私の味方ではないという事だろう。
そして、これは防衛大臣が言っていた事ではないが、私達を城に入れなかったのは私の味方ではない古い家の当主だろう。
つまり、私の敵は王族の大半と私に敵意がある上にフロービス伯爵家よりも力を持っている古い家の当主達が筆頭。
下手をすれば、力を持っていないものの大多数の周囲が敵に回る可能性も捨てきれない。
逆に私の味方は国王陛下と大半の古い家の当主達のみ。
総じて力は強いが、数が少ない。
しかも、私とフィーナ、アリアという黒色の魔眼所持者が3人も集まっていれば、魔眼所持者主体の犯罪者集団である『黒の翼』にも目を付けられかねない。
総合しても、今はアリアを強くして、私達に対して手を出せなくするしかない、か。
そこまで考えたところで、防衛大臣に話しかけられたアリアが私達が来ている事に気が付き、私達に助けを求める顔をしていた。
その事に気が付いた私は、軽くため息をつきながらアリアの方に向かって歩きだした。
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