上 下
45 / 65

45話

しおりを挟む
私はフィーナの言葉に首を傾げてしまった。

「全ての辻褄が合う?」

「はい。例えばローニャ様の婚約を破棄しなかった件は、ローニャ様が成し遂げた事を考えれば当然の事です。
処刑に関しては、今回のローニャ様が成し遂げた事を成し遂げる筈だった期間を過ぎた為と考えれば、納得が行きます。

逆に昨日の王城の件での不手際は、不手際自体が見えなていなかったからではないでしょうか?
そして、ローニャ様がアリアを保護している事だけは見えていた、あるいは知れていたならば、大臣の任命にも納得が行きます。

総合すると、ローニャ様の魔法の様に、知ろうと思えば全てを知れるのではなく、知る事が出来たことからある程度の事は推論しなければならない魔法なのではないかと思います」

「なるほど。確かにそう考えると、辻褄が合うね。

全てが見えているのだととしたら、前のフロービス伯爵家をあのままにはしていなかった筈だし、魔眼を移植されていた妹殺せば私に黒色の魔眼が戻った訳だしね。

そうなると、国王陛下は私達に有利に動いてくれるとは限らないかな。下手をすれば邪魔になる行動も取るかもね」

「なぜでしょうか?ローニャ様が枢機卿に聞いた話では、国王陛下はローニャ様の有利になるように動いてくれそうですが」

「確かに、有利に動こうとはしてくれるだろうね。でも、未来を一部とはいえ知れる人間が居るなら、話が変わってくるわ。

未来で私達が何かを成したとして、その成した結果が私達が成し遂げたかった結果に沿っているとは限らないわ。

例えば私が100%、つまり完璧な成果を出そうとしていても、国王陛下の知った未来が50%だったなら、その50%を前提に動かれてしまう。

そうなると、行動の食い違いが出て来るだろうから、私の行動も修正して動くしかない。結果として、50%の成果しか出す事が出来ない。

はぁ、全くもって。王家は厄介てしかないね」






「あ、あの、私、ここで寝るんですか?」

アリアは私の寝室に来て、体を大げさに震わせながら質問してきた。
まあ、震えてるのはフロービス伯爵邸についてから、ずっとだけど。

ただ、まだ食べていなかった昼食を食べさせた後、魔法の訓練をするまでは小刻みに震えているだけだった。
しかし、その後湯浴みをさせたあたりから様子がおかしかった。

湯浴みはアリアと共に行い、湯浴み後はこちらで用意した服を着せた。
この辺りからアリアの様子がおかしくなり、私の寝室に来た段階で涙目になっていた。

その様子に首を傾げていると、フィーナが私に耳打ちしてきた。

「おそらく調度品や服の価値をメイド辺りに聞いてしまったのではないでしょうか?

通常の平民ならば、1つでも駄目にすると借金漬けになる程ですから」

私はフィーナの言葉に納得した。
なので、アリアの緊張が解けるように事実を話した。

「安心しなさい、アリア。ここにあるものは平民ならば、一生関われない物ばかりよ。でも、黒色の魔眼所持者なら、ここにある物も魔法を使って仕事をすれば、1ヶ月もあれば稼げる様になるわよ」

「いっ、1ヶ月ですか!?ここの物が!?」

「ええ、魔眼所持者は希少なだけあって、給料は高いわ。特に黒色の魔眼となれば、組織に所属するだけで、給料全部使えば、ここの調度品くらい買えるわよ。

ああ、何か欲しい物があった?魔眼発現祝いで、1つまでならプレゼントするよ?」

「いえ!!要りません!!」

「そ、そう」

食い気味に否定してきたアリアに戸惑いながら言葉を返した。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

俺の初恋幼馴染は、漢前な公爵令嬢

恋愛 / 完結 24h.ポイント:177pt お気に入り:276

ゴーレム転生 瓦礫の中から始めるスローライフ

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:56pt お気に入り:99

前世の因縁は断ち切ります~二度目の人生は幸せに~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:117,477pt お気に入り:5,253

ぺとろさん

ホラー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:4

無能スキルの孤児

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:30

処理中です...