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42話
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※この話からは番外編の未投稿分に入ります
私は枢機卿の笑顔を胡散臭く思いながらも、苦笑いしつつ答えた。
「そうですか、教会のお願いは理解しました。ですが、私は彼女に自由に選ばせると約束した身。
早々に約束を違える事は、私の心情に反しますので」
私がそれだけ言ってから去る為に、足を動かした瞬間に目の前の枢機卿は懐から、ある紙を取り出した。
その紙は巻いてあったが、その紙が広がらない様に留めてある場所には、国王が王命を出す時だけに使える印が押してあった。
それを見て私は足を止めざるを得なくなり、枢機卿の前から去る事は出来なかった。
枢機卿はそんな私に歩み寄り、紙を私に押し付け、私の耳元で囁いた。
「教会の枢機卿以上の者は『終わり』を討伐して下さった事に感謝しています。
貴方様と騎士フィーナ殿の寿命が来るまでは、我らと王国、帝国は最大限の譲歩をすると、この場を借りて確約致します。しかし、どの勢力も一枚岩ではありませんので、お気をつけください」
それだけ言うと、枢機卿は私から離れ、頭を一度下げてから去って行った。
丁度、枢機卿が見えなくなってから、アリアが降りてきたので、そのまま馬車へと向かった。
馬車の前には少しだけ険しい顔をしたフィーナが立っていたので、すぐに馬車に乗り込み、御者に帰るように言ってから、フィーナに質問した。
「フィーナ、大丈夫?貴方も枢機卿になにか言われた?」
「ローニャ様が王命を持ってくるとだけ聞きました」
「ふぅ~、そっか。やっぱり、これは王命なんだ」
私はそう言いつつ、懐から枢機卿に渡された物を取り出し、王命が書かれているだろう紙を開いた。
その紙には長い文が書いてあり、要約すると私を王命にて、とある役職につけると書いてあった。
その事に驚き、固まっているとフィーナが心配そうに私に質問してきた。
「ローニャ様、どのような王命でしたか?もしや、王族との婚姻でも命じられてしまいましたか?」
「いいえ、違うわ。これはフィーナも読んだほうが早いわ」
それだけ言ってから、私は王命が書かれている紙をフィーナに渡した。
王命を読み始めたフィーナは始めこそ、怪訝な表情をしていたが、次第にその表情を驚愕に染めた。
私とフィーナの反応を見てアリアは、不安そうな顔をして私達に質問してきた。
「あ、あの何か駄目なことが書かれていたんでしょうか?」
「いいえ、どちらかと言えば良い事よ。前例が全く無い事だから、どう動けば良いかを考えていたの」
「前例の無い事、ですか?」
「ええ、王命で私を『魔眼保護大臣』とやらにするそうよ」
「だ、大臣様に!?す、凄いじゃないですか!!」
アリアは大臣という言葉に反応して、目をキラキラとさせていた。
そんなアリアを見ながら、個人的には都合の良い展開であるものの、面倒な事に巻き込まれそうだなと考えながら、言った。
「確かに凄いわね。でも、部下も居ない急増の大臣職でしょうね。多分、私が死んだら、そのまま消えると思うわよ」
私は枢機卿の笑顔を胡散臭く思いながらも、苦笑いしつつ答えた。
「そうですか、教会のお願いは理解しました。ですが、私は彼女に自由に選ばせると約束した身。
早々に約束を違える事は、私の心情に反しますので」
私がそれだけ言ってから去る為に、足を動かした瞬間に目の前の枢機卿は懐から、ある紙を取り出した。
その紙は巻いてあったが、その紙が広がらない様に留めてある場所には、国王が王命を出す時だけに使える印が押してあった。
それを見て私は足を止めざるを得なくなり、枢機卿の前から去る事は出来なかった。
枢機卿はそんな私に歩み寄り、紙を私に押し付け、私の耳元で囁いた。
「教会の枢機卿以上の者は『終わり』を討伐して下さった事に感謝しています。
貴方様と騎士フィーナ殿の寿命が来るまでは、我らと王国、帝国は最大限の譲歩をすると、この場を借りて確約致します。しかし、どの勢力も一枚岩ではありませんので、お気をつけください」
それだけ言うと、枢機卿は私から離れ、頭を一度下げてから去って行った。
丁度、枢機卿が見えなくなってから、アリアが降りてきたので、そのまま馬車へと向かった。
馬車の前には少しだけ険しい顔をしたフィーナが立っていたので、すぐに馬車に乗り込み、御者に帰るように言ってから、フィーナに質問した。
「フィーナ、大丈夫?貴方も枢機卿になにか言われた?」
「ローニャ様が王命を持ってくるとだけ聞きました」
「ふぅ~、そっか。やっぱり、これは王命なんだ」
私はそう言いつつ、懐から枢機卿に渡された物を取り出し、王命が書かれているだろう紙を開いた。
その紙には長い文が書いてあり、要約すると私を王命にて、とある役職につけると書いてあった。
その事に驚き、固まっているとフィーナが心配そうに私に質問してきた。
「ローニャ様、どのような王命でしたか?もしや、王族との婚姻でも命じられてしまいましたか?」
「いいえ、違うわ。これはフィーナも読んだほうが早いわ」
それだけ言ってから、私は王命が書かれている紙をフィーナに渡した。
王命を読み始めたフィーナは始めこそ、怪訝な表情をしていたが、次第にその表情を驚愕に染めた。
私とフィーナの反応を見てアリアは、不安そうな顔をして私達に質問してきた。
「あ、あの何か駄目なことが書かれていたんでしょうか?」
「いいえ、どちらかと言えば良い事よ。前例が全く無い事だから、どう動けば良いかを考えていたの」
「前例の無い事、ですか?」
「ええ、王命で私を『魔眼保護大臣』とやらにするそうよ」
「だ、大臣様に!?す、凄いじゃないですか!!」
アリアは大臣という言葉に反応して、目をキラキラとさせていた。
そんなアリアを見ながら、個人的には都合の良い展開であるものの、面倒な事に巻き込まれそうだなと考えながら、言った。
「確かに凄いわね。でも、部下も居ない急増の大臣職でしょうね。多分、私が死んだら、そのまま消えると思うわよ」
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