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僕の決意
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僕はピレネエ・マースロレ、マースロレ王国の第一王子であると同時に勇者だ。
今日は魔族と魔物を統べる王、魔王を討伐した事の詳細を仲間と共に報告するために、王城のある会議室にみんなと共に立っている。
現在は魔王討伐後のパレードやお祭りも終わった後で、詳細と言っても魔王がどんな技を使ってきたかや僕らがその技をどのように相殺したかの報告をして、150年毎に現れる次の魔王に対策を立てるために他国の重鎮も参加する会議のような物だ。
本当なら同じ魔王でも、使ってくる技は違うので意味は無いのだが、使ってくる技の系統が似ていれば対策を立てやすいので、魔王を倒したら毎回こうして会議をしているのだ。
ただ僕は今日、僕の婚約者と他国の重鎮も居るこの場で、あることを告白するつもりだ。
もしも、というかかなり高い確率で、僕は今回の事で表舞台には立てなくなるし、立てても操り人形になるしかなくなるが、それを分っていてもこの気持ちは消せなかった。
だから、今この場で会議が始まる前に僕は前に出て叫んだ。
「僕は!!今回の報酬として僕の婚約者であるサファイス・ターフェン公爵令嬢と婚約を破棄したいと思います!!そして、新たな婚約者は僕の仲間であり聖女であるラセットと結婚をしたいと考えております!!どうか、検討頂けないでしょうか!!」
僕がそう叫んだ瞬間に、会議に出ている3/4の人間が真っ青になった。
僕はその事を一瞬だけ不審に思ったが、後で考えようと思い、僕の後ろにいたパーティーメンバーの中の一人であり聖女であるラセットの前で跪いた。
跪く一瞬前にラセットの顔を見ると、真っ青を通り越して真っ白になっていた気がしたが、気のせいだと考え直して僕はラセットを見上げながら思いの丈を叫んだ。
「ラセット!!僕は今回の魔王討伐の旅で君の優しさと君の一秒、一瞬を心の底から大切にし、会う者全てに慈悲を向ける、その心に惚れた!!だから、どうか僕と結婚してくれないだろうか!!」
僕はこのプロポーズは成功する確率の方が高いと踏んでいた。
正直に言えば、ムードもへったくれも無いとは思う(自分視点では)が、それでもこの会議が終われば正式に僕とサファイスとの結婚が国中に広まるので今でなくてはならないのだ。
それでも旅の中では、ラセットは僕と1番中が良かったと思うし、確認はしていないがそれとなく聞いたときには好感触だった。
だから、この場で告白した。
僕は緊張と大勢に見られながらの告白に恥ずかしさを感じながらも、ラセットの言葉を待った。
しかし、次の瞬間には僕の緊張と恥ずかしさは吹き飛んだ。
「サファイス様!!誠に申し訳ありません!!どうか!!どうか!!私の全てだけお許し願えないでしょうか!?私の尊厳も、心も、体も、魂も、他にも差し出せるものならば、なんでも差し出します!!ですから、どうか私一人だけでお許し下さい!!」
そう言ってラセットは綺麗な土下座をした。
今日は魔族と魔物を統べる王、魔王を討伐した事の詳細を仲間と共に報告するために、王城のある会議室にみんなと共に立っている。
現在は魔王討伐後のパレードやお祭りも終わった後で、詳細と言っても魔王がどんな技を使ってきたかや僕らがその技をどのように相殺したかの報告をして、150年毎に現れる次の魔王に対策を立てるために他国の重鎮も参加する会議のような物だ。
本当なら同じ魔王でも、使ってくる技は違うので意味は無いのだが、使ってくる技の系統が似ていれば対策を立てやすいので、魔王を倒したら毎回こうして会議をしているのだ。
ただ僕は今日、僕の婚約者と他国の重鎮も居るこの場で、あることを告白するつもりだ。
もしも、というかかなり高い確率で、僕は今回の事で表舞台には立てなくなるし、立てても操り人形になるしかなくなるが、それを分っていてもこの気持ちは消せなかった。
だから、今この場で会議が始まる前に僕は前に出て叫んだ。
「僕は!!今回の報酬として僕の婚約者であるサファイス・ターフェン公爵令嬢と婚約を破棄したいと思います!!そして、新たな婚約者は僕の仲間であり聖女であるラセットと結婚をしたいと考えております!!どうか、検討頂けないでしょうか!!」
僕がそう叫んだ瞬間に、会議に出ている3/4の人間が真っ青になった。
僕はその事を一瞬だけ不審に思ったが、後で考えようと思い、僕の後ろにいたパーティーメンバーの中の一人であり聖女であるラセットの前で跪いた。
跪く一瞬前にラセットの顔を見ると、真っ青を通り越して真っ白になっていた気がしたが、気のせいだと考え直して僕はラセットを見上げながら思いの丈を叫んだ。
「ラセット!!僕は今回の魔王討伐の旅で君の優しさと君の一秒、一瞬を心の底から大切にし、会う者全てに慈悲を向ける、その心に惚れた!!だから、どうか僕と結婚してくれないだろうか!!」
僕はこのプロポーズは成功する確率の方が高いと踏んでいた。
正直に言えば、ムードもへったくれも無いとは思う(自分視点では)が、それでもこの会議が終われば正式に僕とサファイスとの結婚が国中に広まるので今でなくてはならないのだ。
それでも旅の中では、ラセットは僕と1番中が良かったと思うし、確認はしていないがそれとなく聞いたときには好感触だった。
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しかし、次の瞬間には僕の緊張と恥ずかしさは吹き飛んだ。
「サファイス様!!誠に申し訳ありません!!どうか!!どうか!!私の全てだけお許し願えないでしょうか!?私の尊厳も、心も、体も、魂も、他にも差し出せるものならば、なんでも差し出します!!ですから、どうか私一人だけでお許し下さい!!」
そう言ってラセットは綺麗な土下座をした。
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