上 下
8 / 14
アフターストーリー お茶会編

過去話 第一王子誘拐⑦

しおりを挟む
宰相様が視者の方を連れて来てからは、とても早かったです。
まず視者到着すると陛下が強権を発動させ、私を視て頂き、視者の方に私が『龍神の加護』を授かっていると確認が取れると、視者の方には口止めをした上で王家の影を付け、視者の方に『デナータ嬢の事を公表する前に誰かに話せば、その次の瞬間には首が無いと思え』と、とても威厳のある声でおっしゃいました。

視者の方は陛下のあまりの迫力に何度も首を縦に振ると、逃げる様に部屋から出て行きました。
その後は陛下や王妃様、近衛騎士団長様に司法長様、お父様が私の事をどの様にするかを話し合って居られました。

え?その時、私はどうしていたか、ですか? 
その時の私は陛下が部屋の外に待機していた者に頼んで持って来て頂いたお菓子や絵本、後は『旧国王歴』と書かれていた国の歴史書や各国の言語が載っていた本を、お話し合いのお邪魔にならない様、お母様と一緒に部屋の隅で読んでいましたよ。

あの時はお母様の表情が引き攣っていたので、なぜかと疑問に思っていたのですが、よく考えてみれば、7歳に国の歴史書や各国の言語の本なんて読ませんよね。

え?急に立ち上がり、どうされたのですか、王妃様、え?「少し陛下と、とてもとても大事なお説教お話が出来ました。馬鹿の誘拐のお話が終わる前には戻るので、お話を続けていて」ですか?分かりました、それでは続きをお話しましょう。

そのお菓子や絵本、歴史書等を読みながらお父様を待っていた私は、『私達は朝一番の登城(謁見する中では)だから、陛下が私の『加護』を確認すれば、すぐに帰れるかな~?』と思っていました。

え?なんですか、聖女様?『今の子供っぽい口調をもう一回お願いします』ですか?・・・は、恥ずかしいので、後一回だけですよ?『私達は朝一番の登城だから、陛下が私の『加護』を確認すれば、すぐに帰れるかな~』と、って!!

聖女様!?急に「モエシヌ!!」?という謎の言葉を発しながら吐血を!?大丈夫ですか!?すぐに治療を!!え?「デナータ様が膝枕をしながら、『よしよし』をして下されば、治療は必要無い」ですか?・・・す、少しだけ、ですよ?


・・・膝枕タイム、え~と何処までお話しました?あ、そうでした、陛下達が私をどうするかと話し合う所まででしたね。その話し合いはお昼頃まで続いていたのですが、私は『まだまだ、かかりそうだな~』なんて考えておりましたが、お父様曰く「その時は殆どの事は決まっていた」そうです。

って!!今度はお鼻から血が出ていますよ、聖女様!!え?なんですか、ラーナ様、今は急いで聖女様の治療を!!え?「聖女様の吐血や鼻血は、不治の病ですからデナータ様がこれ以上近づいてはいけません」ですか?

不治の病ならば、聖女様が危険ではありませんか!!すぐに治療を!!え?「聖女様の病は自然と治りますが、特効薬や治療方等が存在しない為に不治の病と呼ばれているだけです。死にはしませんし、むしろ風邪よりも軽い症状しか出ませんから、放置で構いません」ですか?

・・・そ、それならば話の続きを。朝からお昼頃まで話し合って居られた陛下達のお話し合いが終了になる寸前に、部屋の前にどなたかが走って来ました。ああ、走って来たと分かったのは、音がしたからですよ?外の様子は中からは見えませんし、その逆も出来ませんしね。

さて、その走って来たどなたかは扉を「ドンドン」と凄い勢いで叩きながら叫んでいました。

「申し訳ありません、近衛騎士団所属、ラード・リノールでございます!!陛下、近衛騎士団長様、緊急自体でございます!!」


近衛騎士団の方のかなりの焦りの声が部屋にも響きました。
かなり焦った様な声を聞いた陛下はお父様やお母様、私に言いました。

「セーメマ男爵。今から、この場に近衛騎士を入れる。近衛騎士なので、問題はないと思うが、流石にセーメマ男爵家が朝から昼まで、私達と話していたとバレると勘ぐられる可能性がある。

済まないが、これで隠れながら部屋の隅に居てはくれないか」

陛下はお父様とお母様、私が余裕で隠れられそうな布を何処からともなく取り出し、お父様に渡しました。
お父様とお母様はすぐに「ハッ」と陛下に返答し、私が陛下に返答する前に、陛下に渡された布で壁際に隠れました。

まあ、私はこっそり布の端から部屋の様子を覗き見て居たのですけどね。

それはさて置き、私達が隠れた事を確認した陛下が近衛騎士団長様を見ながら頷きました。
近衛騎士団長様は陛下が頷いたのを確認すると、部屋の扉を開きました。
部屋の扉が開くと、部屋の中に近衛騎士団の騎士の鎧を着た兵士様が入って来ました。

その兵士様は部屋の中に入り、陛下の前で膝を地面に付くと、叫ぶ様に報告しました。

「報告致します!!第一王子殿下のお姿が朝食後より見当たらず、城内を捜索した所、城内に第一王子殿下のお姿がございませんでした!!」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

王太子に婚約破棄され奈落に落とされた伯爵令嬢は、実は聖女で聖獣に溺愛され奈落を開拓することになりました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

悪役令嬢は所詮悪役令嬢

白雪の雫
ファンタジー
「アネット=アンダーソン!貴女の私に対する仕打ちは到底許されるものではありません!殿下、どうかあの平民の女に頭を下げるように言って下さいませ!」 魔力に秀でているという理由で聖女に選ばれてしまったアネットは、平民であるにも関わらず公爵令嬢にして王太子殿下の婚約者である自分を階段から突き落とそうとしただの、冬の池に突き落として凍死させようとしただの、魔物を操って殺そうとしただの──・・・。 リリスが言っている事は全て彼女達による自作自演だ。というより、ゲームの中でリリスがヒロインであるアネットに対して行っていた所業である。 愛しいリリスに縋られたものだから男としての株を上げたい王太子は、アネットが無実だと分かった上で彼女を断罪しようとするのだが、そこに父親である国王と教皇、そして聖女の夫がやって来る──・・・。 悪役令嬢がいい子ちゃん、ヒロインが脳内お花畑のビッチヒドインで『ざまぁ』されるのが多いので、逆にしたらどうなるのか?という思い付きで浮かんだ話です。

【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。

つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。 彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。 なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか? それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。 恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。 その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。 更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。 婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。 生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。 婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。 後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。 「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

「次点の聖女」

手嶋ゆき
恋愛
 何でもかんでも中途半端。万年二番手。どんなに努力しても一位には決してなれない存在。  私は「次点の聖女」と呼ばれていた。  約一万文字強で完結します。  小説家になろう様にも掲載しています。

聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる

夕立悠理
恋愛
 ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。  しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。  しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。 ※小説家になろう様にも投稿しています ※感想をいただけると、とても嬉しいです ※著作権は放棄してません

処理中です...