龍神の『加護』を受けた『口なし姫』の男爵令嬢

ロシキ

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アフターストーリー お茶会編

過去話 第一王子誘拐⑥

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私が司法長様の言った事に目を見開くと、司法長様はため息をつきながら言いました。

「その反応から、貴族刑罰については知らなかった様ですね。流石に貴族刑罰について詳しく知っていた場合は、司法員(裁判員の様な者)が何人か泣く事になるでしょうからね」

司法長様がそう言うと、国王陛下が司法長様の言葉に反応しました。

「どういう事だ?司法長。貴族刑罰について、詳しく知っていた場合は何かあるのか?」

国王陛下の問に司法長様は首を横に振りながら答えた。

「特にはありませんが、司法員の全員が全ての刑罰を覚えておる訳ではありません。もちろん、種類が膨大だという事も関係しますが、司法員は貴族の方と話す機会もそれなりにあるので、最低限の貴族の礼儀作法も覚える事が必要です。

また司法員は貴族の方から様々な事を相談される事があるので、その相談事に司法員が関係しても問題は無いかを即座に判断する必要がある場合があります。

それに加え、相談事が貴族刑罰に書かれている内容(罪)に触れていないか等も、その場で即座に分からなければならないので、貴族刑罰について覚えていなければなりません。

今は貴族刑罰について全て暗記している事が司法員の最低限となります。時折、抜き打ちで覚えている事を確認しているのですが、1年に1人程は不合格になり、司法員見習いになる者がありますからね。

いくら覚えるのが得意だとしても、そんな司法員の状況だとデナータ嬢の覚えの良さは、司法員達からすると、喉から手が出る程欲しい才能なのです」

私はその時、司法長様が言っている事が分からず、首を傾げていました。
司法長様はそんな私を見て簡単に噛み砕いて教えて下さいました。

「とても簡単に言うと、覚えるのが得意な人は司法員に羨ましがられる、と言う事ですよ。なのでデナータ嬢は大人になっても、覚えるのが得意だった場合は司法の仕事に就きやすいですよ」

私は司法長様の言葉をオウム返ししながら呟きました。

「司法の仕事に就きやすい」

私がそう言うと、国王陛下が手を鳴らして注目を集めながら言いました。

「全く司法長は油断も隙もないな。まだ視る事が出来る視者ししゃにデナータ嬢を視て貰っていない為に、完全には信じる事は出来ないが、デナータ嬢は神の『加護』を受けているのだぞ?

それ程の『加護』ならば司法の仕事に就かずとも、いくらでも仕事があるわ。むしろ、『必要な時に仕事をして貰うだけで良いから、ここに居てくれ』と頼む輩も出るぞ。

その為に、ひとまず『加護』の内容を視る事が出来る視者にデナータ嬢の『加護』を確認して貰う。我が国に仕えている視者は『天使』クラスの『加護』だ。よって、その者がデナータ嬢の『加護』も、例え神クラスの『加護』でも内容が判明する。

視者の予定は丁度、この時間は空いている筈だ。よって今から視者をここに連れてこさせ、無理矢理巻き込んでデナータ嬢の事を視て貰う。

神クラスの『加護』が本当だと判明した時は、1番遅い場合はデナータ嬢が成人した年の『加護』学校の卒業記念パーティーの場で発表とし、1番早くとも13歳のデナータ嬢の誕生日パーティーの場でどうだ?デナータ嬢の誕生日パーティーは少し準備が必要だが、どちらも私が参加する事自体は不可能では無いからな」

国王陛下がそう言うと、宰相様がため息をつきながら言いました。

「はぁ~、視者の予定を無理矢理に開けさせたのは陛下でしょう?視者もその周りの人間も、無理をおっしゃる事が少ない陛下が無理をおっしゃったので驚いていましたよ。

まあ、陛下が言う事も理解出来ますが、何にせよ視者にデナータ嬢の『加護』を視て貰ってからですね。今から私が視者を呼んできますので、少し待っていて下さい」

宰相様はそう言って部屋を出て行かれました。
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