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横須賀へ……✨✨✨✨
ルナ✨✨(三人称)
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「あまり大きな声では言えないけど……」
少年は声をひそめて辺りを伺った。
他に人通りはない。
「なんだい。僕らは県警のモノですが」
改めて富田は警察手帳を見せた。
「はァ……、刑事さんですか。やっぱ」
少しメガネ少年も安心したようだ。
「ああァ、ッでェ……、お父さんがアレと言うのは」
「いや、かなりのギャンブル依存症で……。負けるとルナに八つ当たりして、殴ったり蹴ったり」
「ンうゥ……、DVですか」富田が眉をひそめて応えた。
「そうですねえェ……。さすがに顔は殴らなかったみたいですけど、いつも腕や脚にアザを作って、怪我ばっかしてて可哀想な子でした」
「なるほど、それで小学校もロクに行かせてもらえなかったと」
矢作も憮然とした顔だ。
「ええェ……、でもスゴくキレイな子でしたよ。
だけどみんな無視してたから。給食の時間だけ現れて……。給食を食べたら、どっか行っちゃって。掃除はしないし。修学旅行とかも行かないし。
しかも給食費を払わないから担任が建て替えてたみたいで。おまけにスマホも持ってないから……。
女子たちもシカトしてましたねえェ」
「なるほど、今でもプアーだとイジメのターゲットにされるんだな」
矢作は辛そうな顔で視線を逸らせた。
「まァ、そうですね。庇えば、こっちもイジメられるので……。仕方なくボクもシカトしてたけど。
マジで悪いことをしたと思いますよ」
「フフゥン」
「そう言えば、ピアノが上手かったンですよ。
ルナは」
「ほォ、ピアノが……」
「ええェ、放課後に一人でピアノを弾いていたみたいで」
「フフゥン、なるほどねえェ……」
「そのルナッて子のフルネームはわかるかな?」
富田が訊いた。
「え、ああァ、苗字は確か……、サカイだったかな」
「ううゥン、サカイ ルナか?」矢作は小さく頷いた。
「いや、違います……。サカキだ。サカキ ルナですよ」
「フフゥン、サカキ ルナねェ……」
「あの、キミ、サカキルナさんの昔のでも良いので、写真か、画像はないかな」
富田は優しい笑顔で訊いた。
「ええェ、まァありますけど……。何枚かは」
「僕は、県警の富田と申します。あとで僕のアカウントへ送って下さい」
名刺を手渡した。
「はァ……、僕は大野です」
「大野君か。悪いけど、そのサカキルナの実家はどこか。わかるかい」
「実家ですか。ンうゥ……、そこの小さな路地を入って少し行くと、二階建ての家があるので、そこがルナの家ですよ」
「ありがとう。大野君」
「でもあのルナが……、セレブの殺人事件に関わりがあるんでしょうか」
「いや、それはまだ、なんとも言えないが……」
「そうですか……。スゴく可哀想な子なんですよ。
小さい時に、お母さんが出て行って」
「はァ……、そうですか」
ほんの少しの間に、矢作たちはルナの悲しい生い立ちを聞いた。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
少年は声をひそめて辺りを伺った。
他に人通りはない。
「なんだい。僕らは県警のモノですが」
改めて富田は警察手帳を見せた。
「はァ……、刑事さんですか。やっぱ」
少しメガネ少年も安心したようだ。
「ああァ、ッでェ……、お父さんがアレと言うのは」
「いや、かなりのギャンブル依存症で……。負けるとルナに八つ当たりして、殴ったり蹴ったり」
「ンうゥ……、DVですか」富田が眉をひそめて応えた。
「そうですねえェ……。さすがに顔は殴らなかったみたいですけど、いつも腕や脚にアザを作って、怪我ばっかしてて可哀想な子でした」
「なるほど、それで小学校もロクに行かせてもらえなかったと」
矢作も憮然とした顔だ。
「ええェ……、でもスゴくキレイな子でしたよ。
だけどみんな無視してたから。給食の時間だけ現れて……。給食を食べたら、どっか行っちゃって。掃除はしないし。修学旅行とかも行かないし。
しかも給食費を払わないから担任が建て替えてたみたいで。おまけにスマホも持ってないから……。
女子たちもシカトしてましたねえェ」
「なるほど、今でもプアーだとイジメのターゲットにされるんだな」
矢作は辛そうな顔で視線を逸らせた。
「まァ、そうですね。庇えば、こっちもイジメられるので……。仕方なくボクもシカトしてたけど。
マジで悪いことをしたと思いますよ」
「フフゥン」
「そう言えば、ピアノが上手かったンですよ。
ルナは」
「ほォ、ピアノが……」
「ええェ、放課後に一人でピアノを弾いていたみたいで」
「フフゥン、なるほどねえェ……」
「そのルナッて子のフルネームはわかるかな?」
富田が訊いた。
「え、ああァ、苗字は確か……、サカイだったかな」
「ううゥン、サカイ ルナか?」矢作は小さく頷いた。
「いや、違います……。サカキだ。サカキ ルナですよ」
「フフゥン、サカキ ルナねェ……」
「あの、キミ、サカキルナさんの昔のでも良いので、写真か、画像はないかな」
富田は優しい笑顔で訊いた。
「ええェ、まァありますけど……。何枚かは」
「僕は、県警の富田と申します。あとで僕のアカウントへ送って下さい」
名刺を手渡した。
「はァ……、僕は大野です」
「大野君か。悪いけど、そのサカキルナの実家はどこか。わかるかい」
「実家ですか。ンうゥ……、そこの小さな路地を入って少し行くと、二階建ての家があるので、そこがルナの家ですよ」
「ありがとう。大野君」
「でもあのルナが……、セレブの殺人事件に関わりがあるんでしょうか」
「いや、それはまだ、なんとも言えないが……」
「そうですか……。スゴく可哀想な子なんですよ。
小さい時に、お母さんが出て行って」
「はァ……、そうですか」
ほんの少しの間に、矢作たちはルナの悲しい生い立ちを聞いた。
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