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未来の揚羽の里✨✨✨

揚羽の里……✨✨

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 日差しが眩しい。
 蝉の声と滝の音が響いてきた。

 信乃介の申し出により俺と源内、ヒデ、それにお蝶とお蘭等が紅い花の探索へ向かった。
 俺たちが救助したのは、許嫁の真姫マキではなく土蜘蛛衆の美鬼だったと報らされた。

「あの時の……」俺は唖然とした。本陣の中に全裸で失神して倒れていた美女だ。

 真姫マキと彼女は双子の妹だと云う話しだ。なるほど俺たちにはわからないほどそっくりだ。
 だが、信乃介の目は誤魔化されなかったらしい。


 青く澄んだ空を揚羽蝶が舞っていた。

 俺たちは揚羽蝶に招かれるように滝の裏側へ付いて行った。
 地震で滝の位置が少し変わったのだろうか。滝の裏側に人が通れるような隙間があった。

「ここか……」
 信乃介が美鬼に訊いた。
 
「ええェ、怖いかしら信乃介先生?」
 彼女は妖しく微笑んだ。発見された時とは全く別人のようだ。

「フフゥン、少しな……」信乃介に続き俺たちも滝の裏側を通り隙間のような洞窟へ入った。
 嫌な気分だ。
 ついこの前、地震で洞窟に閉じ込められそうになったので恐怖心が残っている。

「ケッケケ、まだ隠し財宝があったなんて、夢の続きを見た気分だぜ」
 山師のヒデは嬉しそうに笑みを浮かべている。

 洞窟内は涼しくて快適だが、明かりはなく真っ暗だ。頼りは松明だけだ。
 かなり歩くと前方に光りが見えた。
「あそこねェ……」堪えきれず、お蘭が走り出した。

「おい、危ないぞ!!」信乃介や源内が注意をするがお蘭は、洞窟を出た途端、ハッと息を飲んだ。

「ううゥ……、これは!!」
 俺も声がないほど驚愕した。









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