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未来の揚羽の里✨✨✨
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すぐに信乃介が真姫の治療に当たった。
「ぬうぅ、酷いな……」玉のように白く美しかった柔肌には無数の蚯蚓バれがあった。
拷問され鞭で叩かれたのだろう。
同じく座敷牢から清斎も見つかったが、こちらも半死半生だ。見るも無惨な状態だ。意識不明らしい。命があっただけでも見つけものかもしれない。
こちらもすぐに信乃介が治療に取り掛かった。
お蘭も健気に治療を手伝いながら文句を云った。
「もぉ、酷いわ。土蜘蛛衆のヤツ等め。それほど平家に怨みがあるのかしら」
「ああァ……」信乃介も頷いた。
他にも地震による怪我人があとを絶たない。
信乃介も食事をする間もないほど怪我人を手当していた。目が回るほど忙しい。
平家ゆかりの者は、ことごとく血祭りにあげられていた。かろうじて無事なのは清雅くらいだ。
まさに『おごる平家はひさしからず』と云ったところだろう。
ようやく昼過ぎに、信乃介は真姫と二人っきりになり、病床の真姫の元で容態を訊いた。
「どうですか。真姫様。お加減は……?」
「フフ、生きていただけでも幸運なようね」
自嘲気味に笑った。だが痛々しい。身体じゅう包帯だらけだ。
「ええェ……、分家の方は、闇御前、そして兄上の清基様、更に土蜘蛛衆の頭目、将宗様も洞窟内で落盤に遭い、亡くなりました」
「そうですか……」辛そうに目を閉じた。
「本家でも当主清国様はもちろんですが、清貴様も亡くなり、正妻のお律様も……。
平家の血筋では、ただおひとり清雅様が残されただけです」
「清雅様……」
「それほど憎かったのでしょうか」
「え……?」
「どうやら、あの旅籠での一件から間違ったようですね。俺の推理は」
「なんのことでしょうか……」
「真姫様は、ご存知ないですか。旅籠の本陣で闇御前が首を切断され殺され、その傍らに全裸の美鬼が気を失っていた一件を……」
「全裸の美鬼……」
「そうです。本陣は密室状態でした。その中に殺されて首を切断された闇御前と全裸で失神した美鬼がいたんだ」
「……」
「この状況ならば誰が見ても美鬼が闇御前を殺したんじゃないかと思うだろう」
「ええェ……」
「俺は狡猾な彼女がそんな馬鹿な真似はしないと思っていた」
「では違ったのですか……」
「そうですね。でも、ようやく事件の真相に辿り着きました……」
「真相……」
「そうです。おごる平家はひさしからず……。積年の怨みがこの事件の根底にあったんだ」
信乃介が真相を解き明かしていく。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
「ぬうぅ、酷いな……」玉のように白く美しかった柔肌には無数の蚯蚓バれがあった。
拷問され鞭で叩かれたのだろう。
同じく座敷牢から清斎も見つかったが、こちらも半死半生だ。見るも無惨な状態だ。意識不明らしい。命があっただけでも見つけものかもしれない。
こちらもすぐに信乃介が治療に取り掛かった。
お蘭も健気に治療を手伝いながら文句を云った。
「もぉ、酷いわ。土蜘蛛衆のヤツ等め。それほど平家に怨みがあるのかしら」
「ああァ……」信乃介も頷いた。
他にも地震による怪我人があとを絶たない。
信乃介も食事をする間もないほど怪我人を手当していた。目が回るほど忙しい。
平家ゆかりの者は、ことごとく血祭りにあげられていた。かろうじて無事なのは清雅くらいだ。
まさに『おごる平家はひさしからず』と云ったところだろう。
ようやく昼過ぎに、信乃介は真姫と二人っきりになり、病床の真姫の元で容態を訊いた。
「どうですか。真姫様。お加減は……?」
「フフ、生きていただけでも幸運なようね」
自嘲気味に笑った。だが痛々しい。身体じゅう包帯だらけだ。
「ええェ……、分家の方は、闇御前、そして兄上の清基様、更に土蜘蛛衆の頭目、将宗様も洞窟内で落盤に遭い、亡くなりました」
「そうですか……」辛そうに目を閉じた。
「本家でも当主清国様はもちろんですが、清貴様も亡くなり、正妻のお律様も……。
平家の血筋では、ただおひとり清雅様が残されただけです」
「清雅様……」
「それほど憎かったのでしょうか」
「え……?」
「どうやら、あの旅籠での一件から間違ったようですね。俺の推理は」
「なんのことでしょうか……」
「真姫様は、ご存知ないですか。旅籠の本陣で闇御前が首を切断され殺され、その傍らに全裸の美鬼が気を失っていた一件を……」
「全裸の美鬼……」
「そうです。本陣は密室状態でした。その中に殺されて首を切断された闇御前と全裸で失神した美鬼がいたんだ」
「……」
「この状況ならば誰が見ても美鬼が闇御前を殺したんじゃないかと思うだろう」
「ええェ……」
「俺は狡猾な彼女がそんな馬鹿な真似はしないと思っていた」
「では違ったのですか……」
「そうですね。でも、ようやく事件の真相に辿り着きました……」
「真相……」
「そうです。おごる平家はひさしからず……。積年の怨みがこの事件の根底にあったんだ」
信乃介が真相を解き明かしていく。
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