上 下
99 / 119
秘密の洞窟✨✨✨✨

惨劇✨✨✨

しおりを挟む
 揚羽の里に嵐が吹き荒ぶ中、本家、清国の邸内でも惨劇が起こっていた。


『ギャァァァァーー』当主、清国の絶叫が轟いた。
 清国の寝所からだ。一気に邸内が騒然となった。

「ううゥ……、どうしました。お舘様ァァー!!」
 すぐに正妻のお律等が絶叫を聞きつけ寝所へ駆けつけた。
 寝所の前では、ことごとく見張り番も血祭りに上げられている。

「ううゥ……、これは!!」ただ事ではない。
「ゴメン!」すかさず寝所の扉を開けるが、中は更に惨憺たる有り様だ。

「うッわァァーーーー!  お舘様ァーー!!」
 お律も気も狂わんばかりに叫んだ。

 当主、清国は壁に磔《はりつけ》にされ、胸には刀剣が深々と突き刺さっている。血まみれで無惨な姿だ。とても正視に堪えない。
 
 しかもお付きの側妻そばめのお松等も何者かに襲われ失神していた。
「こ、これは……!」お律は、当主、清国の胸に突き刺さっている刀剣に目を凝らして見つめた。

「ぬうぅ、これを見ろ。柄に刻まれた揚羽蝶の家紋。これは平家代々に伝わる刀剣に間違いない。婚礼の儀で、お舘様があの清雅へ授けた刀剣じゃァ!!」
 お律は目ざとく柄の家紋に気がついた。
「ぬうぅ、では……、これは?」他のお付きの女中等も確認した。

「清雅じゃァ!  これは清雅の仕業じゃァ!  清雅が、お舘様を殺したのじゃァーー!」
 お律は狂気を宿した眼差しで叫んだ。

「加助ェ……。加助は居らんかァ!!」
「ハッ、奥方様!  ううゥ……!  これはお舘様!!」
 すぐさま姿を現わした加助も当主の無惨な姿に驚愕した。

「見ろ!  この刀剣を!  昨夜、婚礼の儀でお舘様が清雅へ進呈した先祖代々、平家の刀剣じゃ!!」

「ぬうぅ、奥方様の仰せの通り!」
 加助も当主の胸に深々と突き刺さった刀剣を確認した。


「清雅じゃァ、清雅と信乃介とか申す一行がお舘様を殺したんじゃァーー!  すぐに清雅の首を狩れェ……!   憎き清雅を殺せェーー……!!」
 復讐に燃えたお律が吠えた。

 暴論だが、お律の言葉に手下も勢いずく。
「清雅を殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せェ……」
 恐ろしい集団心理だ。

「祠を護衛する見張り番が清雅様一行に倒されました」

「ぬうぅ、ヤツ等めェ……!  平家の隠し財宝をアイツ等だけでひとり占めする気じゃァ!
 憎ッくき清雅どもは祠じゃァ!  祠に追い詰めて皆殺しじゃァァーー!!」
 お律が清雅討伐のため先頭にたって古井戸のある祠へ向かった。


「清雅を殺せ殺せ殺せ殺せェ……」
 当主を虐殺されたため屋敷の護衛も殺気立っている。









☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚

しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

織田信長IF… 天下統一再び!!

華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。 この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。 主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。 ※この物語はフィクションです。

陣借り狙撃やくざ無情譚(時代小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品)

牛馬走
歴史・時代
(時代小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品)猟師として生きている栄助。ありきたりな日常がいつまでも続くと思っていた。  だが、陣借り無宿というやくざ者たちの出入り――戦に、陣借りする一種の傭兵に従兄弟に誘われる。 その後、栄助は陣借り無宿のひとりとして従兄弟に付き従う。たどりついた宿場で陣借り無宿としての働き、その魔力に栄助は魅入られる。

剣客逓信 ―明治剣戟郵便録―

三條すずしろ
歴史・時代
【第9回歴史・時代小説大賞:痛快! エンタメ剣客賞受賞】 明治6年、警察より早くピストルを装備したのは郵便配達員だった――。 維新の動乱で届くことのなかった手紙や小包。そんな残された思いを配達する「御留郵便御用」の若者と老剣士が、時に不穏な明治の初めをひた走る。 密書や金品を狙う賊を退け大切なものを届ける特命郵便配達人、通称「剣客逓信(けんかくていしん)」。 武装する必要があるほど危険にさらされた初期の郵便時代、二人はやがてさらに大きな動乱に巻き込まれ――。 ※エブリスタでも連載中

滝川家の人びと

卯花月影
歴史・時代
故郷、甲賀で騒動を起こし、国を追われるようにして出奔した 若き日の滝川一益と滝川義太夫、 尾張に流れ着いた二人は織田信長に会い、織田家の一員として 天下布武の一役を担う。二人をとりまく織田家の人々のそれぞれの思惑が からみ、紆余曲折しながらも一益がたどり着く先はどこなのか。

裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する

克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。

蘭癖高家

八島唯
歴史・時代
 一八世紀末、日本では浅間山が大噴火をおこし天明の大飢饉が発生する。当時の権力者田沼意次は一〇代将軍家治の急死とともに失脚し、その後松平定信が老中首座に就任する。  遠く離れたフランスでは革命の意気が揚がる。ロシアは積極的に蝦夷地への進出を進めており、遠くない未来ヨーロッパの船が日本にやってくることが予想された。  時ここに至り、老中松平定信は消極的であるとはいえ、外国への備えを画策する。  大権現家康公の秘中の秘、後に『蘭癖高家』と呼ばれる旗本を登用することを―― ※挿絵はAI作成です。

信忠 ~“奇妙”と呼ばれた男~

佐倉伸哉
歴史・時代
 その男は、幼名を“奇妙丸”という。人の名前につけるような単語ではないが、名付けた父親が父親だけに仕方がないと思われた。  父親の名前は、織田信長。その男の名は――織田信忠。  稀代の英邁を父に持ち、その父から『天下の儀も御与奪なさるべき旨』と認められた。しかし、彼は父と同じ日に命を落としてしまう。  明智勢が本能寺に殺到し、信忠は京から脱出する事も可能だった。それなのに、どうして彼はそれを選ばなかったのか? その決断の裏には、彼の辿って来た道が関係していた――。  ◇この作品は『小説家になろう(https://ncode.syosetu.com/n9394ie/)』『カクヨム(https://kakuyomu.jp/works/16818093085367901420)』でも同時掲載しています◇

旧式戦艦はつせ

古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。

処理中です...